このたび、私は2年間かけて社会福祉士という国家資格に挑みました。
働きながら国家資格(社会福祉士)を取るってどんな感じなの?
特に何を押さえればいいの?
という疑問にこたえようと、まとめてみました。
「社会福祉士」とは?
社会福祉士は、いわゆる「ソーシャルワーカー」と呼ばれる社会福祉専門職の国家資格です。
身体的・精神的・経済的なハンディキャップのある人から相談を受け、日常生活がスムーズに営めるように支援を行ったり、困っていることを解決できるように支えたりすることが主な仕事となります。
また、他分野の専門職などと連携して包括的に支援を進めたり、社会資源などを開発したりする役割も求められます。地域を基盤として、さまざまな場所で活躍しています。
1987年の「社会福祉士及び介護福祉士法」制定と同時に誕生し、少子高齢社会がすすみ、さまざまな福祉的課題が注目される現在、社会福祉士への期待はますます高まってきています。
※国家資格には「名称独占」と「業務独占」の2種類の資格がありますが、社会福祉士の資格は「名称独占」です。資格を持っている人だけが「社会福祉士」と名乗れますが、業務に関しては資格を持っていない人も行うことが可能です。医師や看護師などの資格は「業務独占」となります。
仕事の内容は?
社会福祉士の仕事の範囲や対象は多岐にわたります。
お年寄りや身体・知的障害者、ひとり親家庭などの相談にのり、それぞれの状況に応じた支援を行います。また、行政や医療機関など各関連施設をつなぐ役割も担います。
社会福祉士資格取得者が働く職場としては社会福祉施設等が多く、その他社会福祉協議会、医療機関、行政機関、独立型社会福祉士事務所等が代表的なものです。
資格を取るまでの道のりは?
社会福祉士の資格を得るためには、「社会福祉士国家試験」に合格しなければなりません。
国家試験を受けるまでにはさまざまな道のりがありますが、大きくは大学等で指定科目を履修する、短大等で指定科目を履修して実務1~2年を経験する、養成施設を経る、指定施設で実務を5年以上経験するという4つのルートに分けられます。
※受験資格の詳細は、公益財団法人社会福祉振興・試験センターを参照ください。
つまり、現在働いている人で全く福祉にかかわりがなかった人で、4年制大学を卒業している人は、社会福祉士一般養成施設(実習込みの福祉系専門学校)に1年以上行けば国家試験を受ける権利を得ることができる、ということです。
社会福祉士国家試験について
国家試験は、年1回2月初旬に行われます。
筆記試験のみで、5つの選択肢から原則、正しいもの(適切なもの)を選ぶ形式です。
だいたい毎年4万人くらいが受験して、1万人くらいが合格(合格率25~30%)の試験です。
■第31回(2018年度)受験データ(厚生労働省発表)
受験者数/41,639名(43,937名)
合格者数/12,456名(13,288名)
合格率/29.9%(30.2%)
*( )内は前年データ。
働きながら通える通信制専門学校
1年8ヶ月、私は専門学校生となり、無事卒業しました。
肝心な学費は、トータル 36~40万円前後でした。(教科書・実習費用込み)
「スクーリング」という学校へ実際に行き、講義を受ける日が11日間あります。いずれも、土日や大型連休に合わせて、仕事に支障があまりないようにスケジューリングされています。
「レポート」の提出が通学の証明となります。2か月に1回4通、40回ほど、約2000字のレポートを提出しました。これは仕事をしながら、空いた時間を見つけて書きます。テキストを読み、設問に対応する小論文を作成するようなイメージです。これで、100点満点中60点以上を毎回とれば、無事卒業となります。
「相談援助実習」が、働いている人には一番厄介です。
入学時に実務経験が1年未満の方(2020年3月31日時点で実務経験が1年以上ない方)は「相談援助実習」の履修が必要です。社会福祉の現場で実習を行い、相談援助に関する専門知識や専門援助技術、関連知識を学びます。
実習は、学校が指定する施設において、180時間以上(23日間)実施します。
時期は、スクーリング「相談援助実習指導(実習前)」受講後、だいたい1月~8月となります。
参考:日本福祉教育専門学校HP 四国中央医療福祉総合学院HP
押さえるべきポイント1:あらかじめ上司に了解を取る
事前に許可を取らなくてはならないのは、「相談援助実習」の実習期間、休みをいただくことです。
180時間以上(23日間)というと、ほぼ1ヶ月まるまる職場を離れることになります。なぜなら、実習は可能な限り連続して経験しなくてはいけないからです。
なので、どうしても出席しなくてはいけない会議以外はすべて有給休暇や代休を繋げて休ませてもらうことに、上司に了解をもらわなくてはなりません。
有給休暇は労働者の義務なので、本来であれば自由に取る権利があります。なので、上司が「困る」と言ったとしても、権利を行使して強行することは可能です。
しかし、現実的には一応了解をとるのが一般常識とされているので、事前に相談しておきましょう。あとあと「聞いていなかった!」などと騒がれて実習中に連絡されても迷惑ですし。
ちなみに、私は事前に直属の上司とその上長とその上にも了解を取り入学手続きをしたにもかかわらず、夏が来て休むことを改めて確認したとき「聞いてない!」と言われ、呆れ返りました。聞いていないわけないだろ、アホか。
押さえるべきポイント2:あえて仕事を詰めこみ過ぎない
実は、レポートが結構大変です。
学校によっては、手書きを強要されたりします。(コピペ防止のため)
私の通っていた学校も途中まで手書きでした。私は課題をため込む典型的なサボりタイプなので、2か月ごとに2000字×4通=8000字のレポートを一晩で書いたりする羽目になり、泣きそうになりながら腱鞘炎一歩手前の手を引きずり、なんとか卒業した感があります。
真面目な皆さんにおかれましては、こんなことはないかもしれませんが、日ごろの仕事を詰め込み過ぎると、こんなことになってしまうかもしれません。
私は仕事で手を抜くことが当時、とても下手っぴだったので、全力でやって夜は泥のように眠り、土日は疲れて何もできない、ということになっていました。
なので、学校に通いだしたら、少し仕事のスケジュールは楽をするようなイメージでスケジューリングして、レポートを書く時間を少し開けるくらいの余裕があったほうが、いいなと思います。
土日にやろうと思っても、結構やれません。家庭の用事が入ったり、スクーリングが入ったり、結構時間ないです。平日にやれるように、調整したほうが無難です。
押さえるべきポイント3:試験対策は3ヶ月前からはじめると楽
せっかく2年近く学校に通っても、国家試験に合格できなくては当初目的としていた「社会福祉士」は取れません。
なので、国家試験の試験勉強はしっかりやる時間を必ず確保しましょう。
19科目あり、そのどれかで0点科目があると無条件で落ちます。
合計で60%が合格ラインとされていますが、その年の難易度により合格ラインは上下します。
だいたい100点以上取れていれば確実ですが、そうすると67%、約70%点数を取れなくてはなりません。この点数は過去問を見ていただいたら分かると思うのですが、結構勉強しないと取れません。
少なくとも3ヶ月は真面目に勉強する時間を設けたほうが無難です。
私の参考にならない試験対策レポートを、以前ブログにあげたので、もしよかったらご覧ください。勉強方法だけは参考になるかもしれません。
↓
【社会福祉士】私はこうして5日間で合格率30%の国家試験に合格した(2020年最新版)
押さえるべきポイント4:学費サポートを活用する
- 失敗したのがこれです。
- 「専門実践教育訓練給付金」というのがあります。
「学費クッソ高いやん…」と思った方。ちゃんと卒業したら、お金50%戻ってきます。
教育訓練経費(学費)の50%に相当する額(最大40万円)が支給されます。さらに、資格取得をし、かつ修了した日の翌日から1年以内に一般被保険者として雇用された場合、教育訓練経費(学費)の20%(上限16万円)が追加で支給されます。
私はこれの申請時期をうっかり逃してしまいました。妻にめっちゃ怒られました。学費が40万円だったら、20万円返ってくるからです。
これはマジで本当に後悔しているので、専門学校の人によく話を聞き、ハローワークで現職の勤務状況と照らし合わせて支給対象になるか確認に行きましょう。ハローワークで所定の手続きが必要だからです。
※制度に関する詳細は最寄のハローワークへお問い合わせください。
まとめ:仕事をしながら資格取得するのは楽しい
「仕事をしながら学校なんて通えるかな」
「私はそんな余裕ないから」
と思って、興味がある資格取得を諦めかけている、そこのあなた。
やる前から諦めてしまったら、もったいないですよ。
あなたなら、できます。大丈夫。
- 資格取得のために通学する学校では、同じように働きながら資格取得を目指す仲間に会えます。本当にみんないろいろな仕事をしていて、異なる人生経験を積んでいます。全く知らなかった世界が開けます。それだけでも、学費を出して知らない世界に飛び込む価値があります。
- トライすることに意味があります。応援しています。