アルコール依存症の治療には、再飲酒はつきものであると言ってよい。
飲酒すると確実に病気は悪化するし、失うものも多い。
しかし、この病衣期は何回か失敗しないと、本当に酒をやめる気にはならないものである。
大切なことは、飲酒を今後のために活かせるかどうかである。
飲酒した場合には、自分のどこに問題があったかを考えて、それを改めるようにしていくとよい。
次にチェック項目を挙げてみよう。
①アルコールに対してコントロールが効かないことを認めているだろうか?
量を過ごさないように飲めばよいと思っていれば、その考えを改めない限り、何回でも酒による失敗を繰り返すであろう。
アルコール依存症とはどんな病気であるかよく学び、他ならぬ自分がその病気にかかっているということを認めることが大切である。
②自分ひとりの力でやめ続けられると考えていないだろうか?
AAや断酒会に出席しない限り断酒継続は難しい。
自力に頼っている間は、しばらくはお酒をやめることはできても、長期の断酒はできないと思ったほうがよい。
この分野では、なぜAAや断酒会が発達してきたのかを考えてみよう。
③友人の整理はついているだろうか?
飲み友達が訪ねてきたり、あの人は酒が好きだからといって、親せきや職場の同僚が酒を勧めに来るようでは断酒はできない。
絶対に酒は飲まないということを、周囲にもわかってもらうべきである。
そのためには飲み友達とは付き合わないようにし、自分は一滴の酒も飲まないということを周りの人にはっきり告げる事である。
④家族は治療に参加しているだろうか?
アルコール依存症は家族全体がやられていく病気である。
家族自身にも多くの問題点があり、それを直していかないと、アルコール依存症者の断酒も難しくなるし、たとえ断酒したとしても家庭の平和を取り戻すことはできないのである。
家族自身が病院の家族教室や、自助集団の家族会に出席することが大事である。
⑤感情の動揺を飲酒で解決しようとしていないだろうか?
腹が立ったらすぐに酒に走るとか、イライラするので一杯飲んでスッキリさせようという類のことである。
不快な感情をアルコールや酒に頼ることなくやり過ごすにはどうしたらよいか考えてみよう。
⑥もう治ったと思っていないだろうか?
これは1年以上断酒した人に多く見られる。
長いこと飲んでいないから、コントロールの効かない体質もよくなったのではないか、と思って少量のつもりで飲み始める。
しかし、たちまちのうちに以前と同じ問題飲酒の状態になるのである。
20年以上経って飲酒してあっという間に元に戻ったという人もいるのである。
⑦すべてがわかっていても失敗することがある
頭ではわかっていても断酒を実行するのは大変なことである。
回復の途中で、ふとした気のゆるみなどで、何回かは飲酒してしまうこともあるだろう。
この場合は、失敗をいつまでも悔やまず、再度挑戦すればよい。
まとめ:失敗しないほうがいいけれど、失敗したって道はある
一度飲酒してしまうと、無事に酔いが醒めるかどうかは全くわからない、アルコール依存症はそういう難しい病気である。
だから、もっともよいことは、一回で気が付いて失敗することなく回復の道を歩み続けることである。
また、飲んでしまったけれども、幸いにアルコールが切れた場合には、そのことを最大限に活かすように努めるべきであろう。
大丈夫。
私は何度も再飲酒している。そのつらさや苦しさは、少しはわかるつもりである。
そして失敗しても道はある、ということを、私はこれからの人生をかけて示していきたい。