【依存症】年末年始で再飲酒してしまった話

こんにちは、ちあき です。今年も、もうあと少しですね。

この年末年始という季節は、実家に帰ったり、旧友と会う約束があったりして、つい羽目を外したくなるし、「1杯くらいいいじゃないの」という甘い誘惑に誘われたりして、どんなにこれまで頑張ってきていても、再飲酒(スリップ)してしまうことがありますよね。

そんな危機について、今回は振り返りつつ私の考えを書いてみようと思います。

正月に再飲酒(スリップ)してしまった私のケース

2017年1月1日。

私の場合は、義理の実家に帰省していた時でした。

義理の実家は緊張しますよね。ただでさえアウェーなのに、お酒がずらりと並ぶ年末年始。

「アルコール依存症」という私の病気を理解している人はまだまだ少ないので、『もう治ったんだろう』とか『病気だなんて考え過ぎだろう』みたいな軽い気持ちで、私の目の前でどんどんお酒を飲みます。

断酒して半年ほどだった私にとって、その環境は地獄でした。

事前に相談のうえで、妻と一緒に飼っている愛犬を一緒に連れて帰ったのですが、赤ちゃん連れの義姉夫婦が、まるでばい菌の塊であるかのように愛犬をあしらったのがすごくつらかったので、イライラが募りました。

わたしたちは「連れてきていいよ」と言われたから連れて帰ったのに、なんだよそれは!と。でも、義理の実家とはいえ他人の皆に当時の私はそんなことは言えませんでした。

極めつけに、1月1日に義理のお父さんがお酒を勧めてきました。

「正月くらいいいんじゃないんか?」と。

やめておきます、と答えた私に、義姉の旦那(義理の兄)が、

「酒も飲めないなんてつまんないですよね」と義父にニヤつきながら話したのを聞いて、もうブチ切れました。

「そんなに勧めてくれるなら飲もうかな」

そう言って、ビールを空けたら、もう止まりませんでした。

皆さんに、と持ってきた30缶の350mlビールをすべて自分で飲み切り、ブラックアウトしました。(つまり、10.5ℓのビールを、ひとりで飲みました…)

そのあともまだ酒を飲ませろと怒り狂い、義兄に「おら、俺より飲んでみろや、このクソやろうが!うちの犬をクソ扱いしやがって!」などと怒号を浴びせまくった挙句、さんざん手をかけさせた後で、轟くような大イビキをかきながら寝たようです。(翌日青筋を立てている妻から聞きました。)

結論:飲んでも全くいいことはない

ストレスをすべて酒にぶつけた私が翌日どうなったかは、想像に難くないでしょう。

二日酔いで体調は最悪。義姉夫婦はカンカン。気まずい空気のなか、1月2日以降の正月休みが過ぎていきました。

こちとら飲みたいのを1日1日薄氷を踏むような気持ちで一生懸命日々断酒しているのに、「1杯くらいいんじゃないの?」「正月なのに」「飲まないなんてノリが悪い」「つまんないやつだな」こんなこと言われたら、そりゃストレスがたまるでしょう。私は死ぬほどたまりました。だから死ぬほど飲みました。そして、死ぬほど後悔しました。

それを、断酒しているみんなには、味わってほしくないな、と心底思います。

飲んでも、何にもいいことはありませんでした。

結局、飲ませようとしてきた誰かや、飲みたいと思うような気に障ることをしてきた誰かは、私のことなど考えていないひとたちです。

自分のことは、自分で大事にするしかありません。

そんなひとたちのために、大切な自分が守ってきたものを差し出す必要はない。

だから、そっと、そういう場から離れてしまったほうがいい。

そんな人たちに嫌われても、馬鹿にされても、どうせ私たちのことをそんなに真剣に考えていないのだから、そんなどーでもいい人たちに好かれようとしなくていいのです。

その人たちが私たちのことをどうでもいいように、私たちだってその人たちにどう思われようが気にする必要ないですもん。

だから、あなたは、あなたがしたように振舞っていいし、NOと言っていい、と私は思います。

もし再飲酒(スリップ)してしまったとしても

「いや、もう飲んじゃったんだよね…」という、そこのあなた。

飲んでもいいことないってわかってたって、飲んでしまう気持ち、わかります。

私たちはそういう病気だから。

大丈夫。

よくがんばった、えらいよ、と私は言いたい。

あなたがダメなわけではない。辛い病気になったもんですよね、お互い。

逆に考えてみていただきたいのが、スリップするということは、それまで断酒を継続していたからです。

断酒する、というとてもハードな道を歩む決意をして、それを歩んできたから、「再飲酒」という事象が発生しうるわけで、その決意や努力が無ければ、スリップなんて元からないわけですから。飲み続けてれば、もっと最悪な未来が待っていたのを、あなたは今日までよくがんばってきた、と思います。

それまで断酒してきたこと、努力してきたことは、別に消えてなくなったわけではありません。

確かに、あなたが努力してきたことを、私は知っている。

だって、私は同じように再飲酒(スリップ)して、ここにいるのだから。

再飲酒(スリップ)は辛いです。

もう、死んでしまいたいと思うでしょう。このまま消えてしまいたい、と思うでしょう。

私はとても思いました。恥ずかしくて情けなくて惨めで、もう消えてしまいたい、と思って涙が出ました。

だから、再飲酒(スリップ)したとしても、私はあなたを尊敬します。

多くの問題飲酒をしている人たちが断酒に踏み切れないなか、あなたはそれに踏み切った。

エチルアルコールという薬物を欲しくなる、飲まなくては平静ではいられない病気でありながら、1日1日と、酒を断つ日々を乗り越えてきた。

そんなことは、できないひとのほうが、実は多いのです。

皆、「酒を控えるなんて当たり前だ」「社会人としての自覚がないからだ」「だらしないからそんなことになるんだ」などと、見当違いなことを言うでしょうが、同じように病気になって断酒してみろ、と言われて何%のひとが断酒に踏み切れるでしょうか。

おそらく一握りです。それだけ、私たちは狂気に満ちた道を歩もうとしています。

そして、その修羅の道に踏み出すことができたあなたは、周囲の、まだエチルアルコールという合法薬物に狂っていながら私たちを見下す人たちよりも、努力している。

間違いなく、努力している。それを忘れないでほしい。

だから、また一緒に歩んでいきませんか?と言いたい。

もう一度立ち上がるのはすっごく苦しいし、無理にポジティブになれとは言えません。私はなれなかったし、「前向きに」とか言われたら殴ってやろうかと思うくらいイライラしましたし。

スリップしても、少なくとも私はあなたをダメだなんて思わない。

そういう断酒の道を歩む仲間がいるってことを、忘れないでくださいね。

アルコール依存症ではないあなたへ

ここまで読んでくれて、「私はアルコール依存症じゃないんだよね…」という人がいたら、最後にこれだけ守ってあげてほしい。

『無理に酒を勧めない』

私は飲んでいたころ、無理にお酒を勧める筆頭みたいな最悪なやつでした。

「同じだけ飲め」とか「飲まないやつはサムい」とか「酒の席なのに飲まないなんて失礼だ」とか。いわゆる『アルハラ』してました。後悔しかない…。

そんなん、おかしな話だから。

シラフなのに飲み会に来てくれてるだけで、神様みたいに心広いよ。

だって、あんなつまんない、同じ話でくだを巻く臭いおじさんおばさんが集まった会合に、ニコニコして出てきてくれるんだよ?

飲んでないからっていって、送迎までしてくれたりするんだよ?

やばいよ。もう、生き仏だよ。

だから、大事にしてあげて。

飲まない人は、何か理由があって飲まないんだよ。

体質的に飲めないのかもしれないし、妊娠してるのかもしれないし、病気なのかもしれない。そういう背景があるから、飲まないっていう選択をしつつも、あなた方との時間が大事だから、わざわざシラフで参加しようとしてくれてるんです。

それだけで、ありがたいじゃないですか。

無理やり飲ませたり、飲まないのを責めたりしないであげてください。

どうかよろしくお願いします。

飲む人も、飲まない人も、良い年末年始になりますように。

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