【依存症】厚労省監修の依存症啓発漫画がスゴすぎる件

韓国の金浦空港で航空会社の職員に暴行、警察に拘束された、厚生労働省のキャリア課長のニュースが話題になっていますね。

酔って空港に到着し、ホテルに帰ると言い出したり、殴りかかったり。

これら酩酊状態で行った行為を「覚えていない」ということでした。

これは「ブラックアウト」と呼ばれる状態です。

酔って行動したことについて記憶がない状態で、医学的には「異常酩酊」という酩酊状態だったといえます。

安易に非難する前に

「もしかしたら『お酒をやめられない病気』なのでは?」

と思い至った人は、世の中にどれだけいるのでしょうか?

話は変わりますが、

「厚生労働省 依存症対策推進室」監修による

「だらしない夫じゃなくてアルコール依存症でした」

という三森みさ先生が描いた漫画が巷で今、大変話題になっています。

この漫画が本当に素晴らしく、我が家は感動しっぱなしでした。

依存症当事者や家族がどんな点が共感され、高く評価されているのか、

恐縮ですがすこしだけ感想を交えながら紹介してみたいと思います。

作品紹介

題 : 「だらしない夫じゃなくて依存症でした」

略称 : だら夫

作・画 : 三森みさ https://mimorimisa.com

監修 : 厚生労働省 依存症対策推進室、特定非営利活動法人アスク、時事通信社

取材協力 : 琉球GAIA、那覇断酒会、Karma

趣旨 :

「この漫画は、依存症全般に関する知識を普及する目的で制作しています。

アルコールの摂取・文化を否定する意図はありません。

また、この物語の登場人物は全て架空の人物ですが

依存症者・関係者の方の実体験談・見聞を参考に造形しております。」

とあります。

つまり、内容自体は、リアルな体験から語られたノンフィクションだということですね!

しかも三森先生によれば「聞いた話を希釈して、内容を読みやすいようライトにしている」とのこと。

壮絶な体験からエッセンスを抽出して読みやすくするのは、相当な苦労だったと想像します。

あらすじ :

大学の頃から付き合って結婚した「山下ショウ」と「山下ユリ」。

どこにでもある普通の夫婦の日常は、少しずつ影を落としていた。

ユリは気になる悩みがあった。

ショウが就職して社会人になり、お酒の付き合いがだんだん増えてきたころ、少しずつ彼のお酒の飲み方が変化してきたことだった…。

何よりもストーリーと登場人物がおもしろい

主人公的立ち位置の2人以外にも登場するキャラクターそれぞれに個性があり、それぞれが「あぁ、こういう人いるいる!」という親近感があります。

武田: ユリの勤務先の憧れの先輩。面倒見よくて社交的で明るくて優しくて気遣い抜群でしかもお酒飲まない。野球で小中高と抜群の成績を残し推薦で体育大学へ進むも、結果が出せなくなった不安からパチンコにのめり込み始める。ギャンブル依存症。

マユ:ユリの幼馴染。美大出身のアーティスト。個展を開くほど作品が評価されているプロ。育ってきた家庭環境が複雑。母親の再婚相手からのDV経験あり。薬物依存症。モデルは実際に活動されているフリーランスのプロカメラマンでミュージシャン・シンガーでもあるkarma(カルマ)さん。児童福祉×芸術をテーマにした「educart」でdirectorをなさってます。https://mobile.twitter.com/k6rm6

新藤:ショウの会社の先輩で、大学時代の武田の先輩でもあり、武田にパチンコを教えた人。お酒を飲むのが好きな面倒見の良い先輩キャラ。依存症について知らなかったが、後輩の武田からアルコール依存症やイネイブリングについて教えてもらい…。

これらの人々のピースが少しずつ合わさり、依存症からの回復に向かっていくのですが、毎回きになる終わり方をします。

続きが気になってたまんなくなります。

8話の終わりなんて…なぁ。

最後の一行で悶絶すること間違いなしです。

当事者と家族の両サイドの気持ちが描写されている

「依存症者の家族」のユリちゃんの視点、「依存症当事者」ショウちゃんの視点、それぞれの主観で物語が構築されていて、ココが「家族も当事者も共感できる」という最大のシナジー効果を生み出しています。

片側の描写のみで描かれる素晴らしい作品は今までにもありら私が好きな代表的な作品としては、以下の作品がとても勉強になりました。

◾︎当事者サイドの作品

まんしゅうきつこ先生の「アル中ワンダーランド」

吾妻ひでお先生の「失踪日記」「アル中病棟」

◽︎家族サイドの作品

菊池真理子先生の「酔うと化け物になる父がつらい」

古野崎ちち子先生の「りこんみち」

依存症に悩む家庭では、当事者も家族もそれぞれに辛さを抱えていますが、病気についての正しい知識や周囲の理解がなくては、お互いのことを考え「許す」ことなど、到底できない修羅の中にあります。

いえ、正しい知識を持っていたとしても、もう一度愛したいのに、どうしても消せない記憶と憎しみと後悔を抱えて、パートナーとの深い溝を埋められずにいる依存症患者と家族のほうが多いでしょう。

私自身、アルコール依存症を患い、断酒を始めて4年。スリップ(再飲酒)を4回していて、直近の連続断酒期間もうすぐ2年になります。

毎週断酒会に通い、支えてくれている妻の気持ちを分かったような気になっていました。

何も分かっていなかったのだ、とこの作品を通じて痛感しました。

妻と2人でこの作品を読みながら泣きました。

どんなサポートが望ましいか、具体的に書かれている

ユリちゃんは本当にすごすぎます。

正直、ここまで理想的な姿はなかなかできないし、ご家族は本人より辛い、と言われているので、出来なくても誰も攻めることなどできません。

「イネイブリングを止めるのはすっごく辛い(妻談)」のに、共感してアイメッセージで気持ちをアサーティブに伝えるなどして、ショウちゃんと共に回復する道を歩いて行く姿は、妻はすごく勉強になった、と言っていました。当事者にとっても、ご家族の気持ちと今までの言動の数々の背景を知る上で重要であり、ユリちゃんとショウちゃんを涙無くして応援できないでしょう。

依存症からの回復には、本人・家族、そして、周囲の理解が必要不可欠です。

アルコール依存症は過去「アル中」などと呼ばれて揶揄されてきました。

作中でもユリちゃんの最初のアルコール依存症に対する考えは以下の通りでした。

「私は『酔っ払うと暴力を振るって、飲んでばかりで仕事もせず、酒が切れると手が震える。』ろくでもない人がアルコール依存症になると思い込んでいた。」

他にも、

「意志が弱いやつがなる病気」

「だらしないダメなやつがなる病気」

「依存症になったらもう社会的に終わり」

という間違ったステレオタイプの依存症患者のイメージが先行していました。

この作品は、

「依存症は誰でもなる可能性がある病気」

「心の穴を埋めるためになってしまう病気」

「回復を目指すことができる病気」

という、

当事者たちではない方々にも依存症を正しく知ってもらうことを考えて構成してくれています。

新藤先輩が、そのモデルケースの最たるものです。

依存症について知らなくて、後輩のショウちゃんが凹んだら良かれと思って飲みに誘う、どこにでもいる面倒見のいい先輩。

私は、断酒を継続して1年半を越えたころに立候補して時間をもらい、「私は依存症です」と会社の同僚全員に定例会議で10分間のプレゼンで病気を公表して社内で勉強会をすることで、理解してもらえる環境を自分から整えようとしました。

しかし、この方法はすごく精神的にシンドイのでお勧めできません。(笑)

プレゼンでは緊張で口がカラカラになって唾も飲み込めないし、脂汗が止まらなかったです。

全く理解してもらえていなくて辛かった時期、

「飲まなくなってつまらなくなったなぁ」

「本当は飲めるのに飲まないなんて失礼」

「酒も仕事のうちなのに、できねーやつ」

「依存症ってほどじゃないよ普通でしょ」

こんな言葉を常に投げかけられる毎日でした。

面倒見の良い新藤先輩みたいな優しい人ほど

「本当は飲みたいのに我慢しててかわいそう」

とか

「酒癖が悪いだけだから気にしない方がいい」

とか

言ってしまいやすいことを、この作品はよーく踏まえています。

そのうえで、先輩が正しい知識を知り、本来持っている優しさをどう発揮すれば本人のためになるか、理想的な姿が描かれています。

私の妻が

「こんな先輩が一社に1人、一家に一台みたいな感じでいてくれたら、すごくいいのに!」

と叫んだほどです。笑

ハラスメントがさかんに取り沙汰される現代。アルハラも例外ではありません。

会社のマネージャークラスは必見、といっても過言ではないでしょう。

また、ご家族が陥りやすい「イネイブリング」についても、丁寧に描かれています。

「次、飲んだら、離婚だから」

「何回同じこと繰り返すの?」

「いっそ事故で死んでくれたらいいのに」

「あなたには断酒なんて無理」

「妻の私のことなんてお酒以下なの?」

今まで突き刺さってきたこれらの言葉は、家族も悩み苦しみ、本人のためを思って必死にやってきた結果なのだと、当事者である私たちも理解できます。

私はユリちゃんを妻に重ねて、純粋にただ感謝しかないな、と思い至り、救われた気持ちになりました。

アルコールだけでなくいろいろな依存症を知ることができる!

私はアルコール依存症については当事者なので勉強してきましたが、ギャンブル依存症や薬物依存症についてはあまり知りませんでした。

この漫画を読んで「あぁ、おんなじだ」と思いました。

依存対象が違うだけで、スリップの仕方とか、全く同じでした。

武田先輩のスリップの話、すごく共感しました。

「節酒でいけるんじゃないか?」って試すんですよ。

最初は1缶でやめられて「なんだ節酒できるじゃん」って思います。

でも翌日から2缶になり、

その翌日には1ケースになり、

1週間で元通り。

頭の回路が故障してる事を体感します。

ギャンブル依存症も同じなんだなーってすごく共感できました。

いかがでしたか?

依存症に悩んでいる人も、

「ひょっとして私も?」と揺れている人も、

全然関係ないや、と無関心だった人も、

全てのひとに、知ってもらいたい。

できるだけ多くの人に、読んでもらいたい。

作者の三森先生のTwitterをリアルタイムで読ませていただいて、キャラクターとストーリーに文字通り命を削りながら魂を込めて下さったのだと、胸が熱くなりました。

本当に頭が下がります。

キャラクターに感情移入しすぎてメンタル持っていかれかけながらも、執筆してくださった三森先生には感謝してもしきれません。

本当に、本当に、ありがとうございます。

素晴らしい作品を世に出してくれて。

私たちのことを理解してくれて。

未だ見ぬ人たちに道を指し示してくれて。

こんなにも心揺さぶられる作品を、見なきゃ損ですよ!

なんと!

こちらから無料で読むことができます。

こんな素晴らしい作品が無料?!

https://www.jiji.com/ad/korosho/izonsho_manga_v01.html

番外編が近日公開予定!

最後まで見逃せません…!

では、また!


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