【依存症】めんどくさい依存症専門用語(略語)をわかりやすく解説する話

こんにちは、ちあき です。

女優の沢尻エリカさんが逮捕されましたが、「反省して二度と薬物に手を出さないように」なーんて、どや顔で漫画ワンピースのハンコックかってくらい上から目線のメッセージを言っちゃうようなひと、いませんよね…?

依存症について、私も知らないことがたくさんあります。

特に略語。

何かを決めたとき、日本でも海外でもわかりやすいように略語にしますが、逆によくわかんなくなりますよね。それにイライラしたので、まとめてみました。

1、「SBIRTS」=早めに程度を調べて、治療や自助に繋がろう

はい。

早めにスクリーニングして、問題の程度を確認しときましょう ってことですね。

今までは結構「底付き」「底打ち」と言って、そりゃーもうボロ雑巾のようにボロボロになって、家族も財産も仕事も生きがいも何もかも失ってからようやく「アルコールを断つか、死ぬしかないかな( ^ω^)・・・(白目」という感じで専門病院に入院する、というパターンが王道でした。

尊厳もくそもないです。人として生きててすみませんレベルで自尊心も基本的人権もすべて引き剥がされてからの治療スタートです。正直しんどいです。つらすぎてくじけます。

家族も本人も疲弊しつくしてからではなくて、最初に問題を確認しておけば、被害が少なくて済みますもんね。みなさん、毎年だいたい健康診断するでしょ。あれです。

最初に定期的にスクリーニングテスト(血圧測定・血糖値測定)なんかをしておいて、異常が有ったり問題が有ったりしたら、とりあえず介入(診察・血圧管理・血糖コントロール)しますよね?それが現代の医療の在り方、と言われれば、まさに依存症も病気なんですから、そうあるべきなんですよね。たしかにたしかに。

Screening・スクリーニング
…「飲酒度」を「ふるい分ける」(「AUDIT」,「KAST」,「CAGE」等スクリーニングテスト実施)

Brief Intervention
… 簡易介入 “危険な飲酒”患者には、節酒を勧め、“乱用”や“依存症”患者には断酒を勧める

Referral to Treatment
…専門治療への紹介 専門治療の必要な患者には「紹介」を行う

Self-help group
…自助グループへの紹介 医療機関や健康診断機関のスタッフが強力に自助グループへ紹介する

1.SBIRT は専門医療機関においては、早期発見から早期治療のためのコンセプトとして定着した手法であるが、SBIRTS は、これに自助グループ(Self-help-group)の「S」を連結した考え方である。

2.アルコール依存症は進行性の慢性疾患であり、医学的治療の進歩により短期的予後は改善しても長期的な回復を持続することは難しい。アルコール依存症の受診患者が順調な長期的回復を実現するためには、自助グループに参加することが望ましい。

3.そのためには、治療にあたる医師が、積極的に、患者と自助グループの構成員との出会いの場を演出し、患者自身の持つ偏見を取り除き、自助グループへの抵抗を和らげるよう寄り添うことが大切である。視点を変えれば、医師による治療のための出会いの場という側面と、自助グループによる医師への治療支援という二つの側面があるといえる。

出典:https://www.dansyu-renmei.or.jp/news/pdf/SBIRTS.pdf

2、「ハームリダクション」=最悪使っちゃってもいいからせめて減らそう

ハームリダクションとは、「その使用を中止することが不可能・不本意である薬物使用のダメージを減らすことを目的とし,合法・違法にかかわらず精神作用性物質について、必ずしもその使用量が減少または中止することがなくとも,その使用により生じる健康・社会・経済上の悪影響を減少させることを主たる目的とする政策・プログラムとその実践である。」

つまり、使ってもいいから悪影響とダメージを減らすとこから始めましょう、ってことですね。

ハームリダクションは,薬物使用者,家族,コミュニティに対して,寛容さをもって問題を軽減するきわめて現実的な政策・プログラムであるとされ、欧州,オーストラリア,カナダなどを中心に,最も成功している効果的な薬物政策として広がっていますが、東南アジア、日本を含めた東アジアなど反対する国は少なくないそうです。

ハームリダクションは、薬物の使用量減少や中止を主目的とはしておらず,薬物使用を止めることよりも,ダメージを防ぐことに焦点を当てます。

薬物を使っているか否か,それが違法薬物であるか否かは問われない.ハームリダクションは,科学的に実証された,公衆衛生に基づく,人権を尊重した人道的で効果的な政策であり,個人と社会の健康と安全を高めることを目的とします。

このアプローチは,公衆衛生と基本的人権への非常に強いコミットメント(誓約)を基盤としています。尊厳はすべての人にあり,薬物使用を繰り返す依存症者であっても基本的人権と尊厳は守られ,薬物のコントロールや予防対策の名のもとで,彼らの尊厳と基本的人権をスティグマによって蔑ろにすることは許されないという哲学に基づいています。

ハームリダクションの考え方とは ~人権を尊重した支援~

日本は、薬物問題に「ダメ.ゼッタイ.」に象徴される「不寛容・厳罰主義」を一貫して進めてきた、先進国では稀有な国なんですよね。

これらは、「薬物依存症は病気」とする視点とは対極にあり、臨床的には「不寛容・厳罰主義」では治療にならないどころか、「反治療的」な行為です。さらには,偏見や人権侵害を助長し,スティグマを強化する可能性すらあります。

薬物依存症の治療・回復支援を考えた場合,ハームリダクションの考え方は、「当たり前のこと」。そもそも「不寛容・厳罰主義」は刑事司法の考え方であり,医療・福祉の考え方ではありません。
世界の先進国もかつては厳罰主義で対応していましたが、それではうまくいかなかった反省に立って、大きく方向転換をしてきた歴史があります。それが米国を中心としたドラッグコート(西海岸の薬物裁判所)であり、欧州を中心とした、この「ハームリダクション」であると言われています。

出典:ハームリダクションアプローチ やめさせようとしない依存症治療の実践

3、「SMARPP」=再発しないためにみんなで集まって素直に勉強しようぜ

「SMARPP」とは、解散した某アイドルグループを彷彿とさせるスペルですが、「せりがや覚せい剤依存再発防止プログラムSerigaya Methamphetamine Relapse Prevention Program」の略で、神奈川県立精神医療センターせりがや病院にて開発された『認知行動療法型の外来依存症治療プログラム』のことです。

このプログラムは2006年より、松本俊彦先生(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 薬物依存研究部部長 同センター病院薬物依存症センター センター長)が中心となって開発されました。

なんでか?

コカインや覚せい剤などの薬物だと、中枢神経抑制薬であるヘロインやアルコールのような薬物と薬理特性が違って、重篤な身体合併症や離脱症状がないので、どんどん途中で退院して外来診療からドロップアウトしてしまうことが問題になっていたから。

つまり、覚せい剤の場合は、ちょっと入院したら「もうしんどくないし、めんどいしいいや」と来なくなっちゃうんですね、病院に。

それじゃまた再発しちゃってるし、やっぱいかんやろ、ということで、このSMARPPで再発防止に取り組むというわけです。

で、じゃあ、このSMARPPは、具体的には何をするのか?

週1回24週の外来集団治療プログラムで、認知行動療法・依存症の生理学的知識をまとめた教科書(ワークブック)を用いて、10人くらいで集まって、主に平日昼間に外来で一緒に勉強します。

このとき、カウンセラーやグループが、当事者に対して支持的・受容的であることが重要です。

尿検査もしますが、治療状況の把握のみにとどまり、結果が陽性であっても決して警察に通報しません。正直であること、素直に向き合えることを最優先します。むしろ治療につながる重要な介入のチャンスととらえ、一緒に乱用を防げなかったことを省みて、再発防止プランを再考するようにします。

この方法は、平成22年から24年度の計3年間の厚生労働科学研究班「薬物依存症に対する認知行動療法プログラムの開発と効果に関する研究」により、平成28年度の診療報酬改定にて、SMARPPは依存症集団療法として診療報酬加算が認められました。研究の成果に基づいて、診療報酬を計上できるくらいの効果的な治療としてエビデンスを有している、と言えます。

出典:特集 認知行動療法と社会との接点「統合的外来薬物依存治療プログラムーSMARPPの試みー」(小林桜児)精神経誌(2010)112巻9号

結局、依存症は慢性疾患なので、先に挙げたように、高血圧や糖尿病と一緒なんですよね。

高血圧や糖尿病の人だって、単に薬物療法していれば治るわけじゃない。食事・運動療法などの非薬物療法を取り入れながらやらないと、治療継続できないし、結果的に改善しないことがほとんどです。

一回入院すれば、高血圧や糖尿病が完治するわけではないですよね。

それは、依存症も同じ。

一回入院したり、一回逮捕されて刑務所行ったら、もう二度と手を出さないはず!だって反省してるんだから!なんて、ちゃんちゃらおかしい話なんですよ。

病気になったことを反省して薬1ヶ月だけ飲んだら、血圧ずっと下がる?血糖ずっと下がる?いやー下がらないでしょ。笑

だから血圧の薬や糖尿病の薬飲みながら、先生に「またラーメン汁まで飲んで!」ってたまに叱られながら、コツコツ通院してる人が、全国各地にたくさんいるんじゃないですか。笑

定期的に検査して早めに治療につながること、繋がったら脱落しないように治療継続すること、何よりも依存症の人の基本的人権や尊厳を軽視しないこと、これ、実は当たり前のことですよね。

だって、慢性疾患の患者という意味で、薬物依存症の患者さんは、生活習慣病の患者さんと一緒なんだから。

しかも、本当に誰でもなる可能性のある身近な疾患なんだから。

高血圧なだけで、糖尿病なだけで、「だらしないから手を出すんだ」とか「病気になるのは意志が弱いからだ」とか、差別される世の中なんて嫌だよね?

それと同じなんですよね。

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