【依存症】禁煙したいひとへ②:論理的に「習慣」と「依存」を排除する方法

こんにちは、 ちあき です。

前回、

【依存症】禁煙したいひとへ①:タバコの実害を論理的に考えてみよう

と題して、タバコやアイコスのデメリットについてまとめました。

禁煙を決意する前、これらの話は耳が痛くて、正直当時は避けてきました。

でも、事実を踏まえて行動を変革することが、賢い人間がすることであり、禁煙したいと思っている賢い皆さんならできる事だと思います。

今回は、タバコをやめようと決意したきっかけのエピソードと、なぜ私たちならやめられるのかを逆説的に説明し、最後に方法論を紹介したいと思います。

私がタバコをやめようと思ったきっかけ

突然ですが、私は今の会社で「懲戒処分」になったことがあります。

タバコではなく、お酒が原因です。

私はアルコール依存症です。一度飲みだしたら止まりません。ある日、大事な日の前日に遅くまで酒を飲み、泥酔した状態で仕事に来て、大問題になりました。上司は本社の偉い人から「どういう教育をしているのか」とこっ酷く怒られ、青い顔をしていました。

当然私に対する憎悪はすさまじく、上司は、「こんなやつはもういらん」と懲戒解雇すべく証拠集めに乗り出します。

こういうときには埃を出し尽くそうと、いかに成果が上がっていなかったか、活動ができていなかったか、書類に不備があるか、等の点を列挙します。そして、叩きに叩かれます。

「お前がいなくなったらどれほど気が休まるか、はあ」

「辞めてくれ、と口に出さなければ意味がわからないほど馬鹿なのか?」

「お前が会社に残ったとしても数年でいられなくなるぞ」

他の社員とは連絡を取らせないよう情報を制限して孤立させて追い込み、依願退職という形を引き出そうとします。少し出社させて、何の仕事もなく誰に話しかけても無視される環境を作り、精神的に追い詰めます。

それが、大企業が人をやめさせたいときの常套手段です。実に合理的です。

それでも耐え続けて酒を断ち、辞めなかった私は、ある日支店長に呼び出されました。

上司の上司である支店長は、喫煙しますが飲酒はしない人でした。

アルコール依存症患者が断酒するのがどれほど大変なことか理解できない人でした。

彼が言った言葉が、私に禁煙を決意させました。彼は言いました。

「人の本質は変わらない。ゆえに、私はお前を認めることはない。

あれだけのことをして、酒を止めるのは当たり前だ。

朝早く起きて会社に行くのも当たり前だ。

成果を出してなければ、変わっていないのと同じだ。

周りが、私が、評価しなければ、お前は頑張っていないのと同じだ。

私はお前が成果を出していると思わないし、変わったと評価していない。

変わったかどうかは、他人が決めるのだ。

評価するかどうかは、他人が決めるのだ。

つまり、私が決めるのだ。だから、お前は頑張っていない。

何でもすると言ってすがりついたくせに、何も成していない。

私たち会社のことを考えるなら、私たちに少しでも恩返ししたいなら、

あのとき、決断してくれた方が、私はずっと良かったのに。 」

今まで、「申し訳ありません」しか言わなかった私も、このときばかりはキレました。

「それは、どういう意味ですか?」

こいつには、俺の何も、わかりはしない、と確信しました。
当時、仕事を干された状態で、得意先は一切回れませんでした。
書類整理など窓際に追いやられ、ただただ雑用すら願い出て、頭を下げてやらせてもらい、泥水をすすりながら、酒を断ち4ヶ月過ごしていたところでした。
「今、なんと言った? 今、なんと言った? 成果を出していない?
その冷遇状態を知っていて、成果を上げなければ認めない、だと?」
そう思った瞬間、全身の毛が逆立ち、血が逆流し、身体がカタカタと怒りで震えました。

あぁ。こいつは俺を認める気なんか1ミリもない。

そんなら、俺はこいつを全身全霊で全否定してやる。

死んでも絶対に、タバコを止めてやる。

目の前で偉そうに踏ん反り返っている、

こいつには、絶対に復讐してやる。

こいつには、絶対に目に物を見せてやる。

支店長が止められないタバコをやめて、支店長が知らない酒を断ち続けて、

絶対、絶対、絶対に、いつか絶対に、こう言ってやろう、と

紙に書いて持ち歩いていた言葉があります。

吸いたくなったとき、繰り返し読み返して車の中で音読しました。

「タバコなんか、止めるのは簡単だったな。

断酒の方が死ぬほどキツいよ。

まぁ、同じ立場ならあんたにはどっちもできないだろうけどな。

まだあんなもん吸ってんのか?

それなら、お前は俺に比べて成果を出していないことになるぞ?

成果を出してなかったら、『頑張ってない』んだろ?

ほら、悔しかったら今日からやめてみろよ。

俺に「断酒は当たり前」と言い切ったんだ、それより簡単なタバコくらい、スパッとやめられて当然だよな?

え?できない?別にそれでもいいよ、お前ごときは、そうなんだろ。

ただ、お前は俺に何もいう資格はなかったな。

ほら、俺をコケにしたことを泣きながら土下座して詫びろよ、根性なし。」

この悔しさが、断酒4ヶ月でドライドランク状態のなか、禁煙できるだけのマインドを形成してくれました。

止められない人ほど、逆に『意志が強い』から成功する!

実は、タバコをやめられない人は、意志が強いのです。

「いやいや、やめようと思っても止められないんだから意志弱いでしょ」と思うでしょ?

しかし、意志が弱い人なら、こんなに健康に悪くて、家族や職場から嫌な顔をされて、少ない小遣いを圧迫するような物を何年も買い続けられないと思いませんか?

様々な障壁があるにも関わらず「タバコを吸いたい」という一念を貫き通す人のほうが、周りに言われて「じゃあいいや」と止められる人に比べて、『意志の強さ』自体は明らかに強いのです。

つまり、「タバコを止めたい」という一念を貫き通す方向にベクトルをシフトすれば、これだけ強靭な意志の力を振り向ければ、必ず止められます。

今まであなたは、本気で止めようと思っていなかっただけです。

あなたが私と同じ意志の強いなかなかやめられなかった人なら、必ず止められます。

私が試して成功した方法・失敗した方法

では、どのようにしてやめたのか?を紹介します。いろいろ試したので、成功した方法と失敗した方法をそれぞれ紹介します。

①成功した禁煙方法

・繰り返し繰り返し、タバコで味わった悔しさを思い出す

何でもいいので馬鹿にされたときのことや、タバコに対して何か言われたことを、いつ誰に何を言われたか、克明に記載しておき、何度も読み返します。

タバコが吸いたくなっても、吸いたくなったら、毎回音読して悔しさを鮮明に呼び戻します。

そうすれば、タバコが吸いたくなったら自然と音読していた言葉を思い出せるようになります。当時の悔しさや血が逆流するような怒りを瞬時に思い出せるようになります。

その連想回路が成立すれば、次第に吸いたいと思うこと自体に嫌悪感を感じるようになります。そうなれば、「タバコを吸いたい」を自然に回避できるようになります。

・ミンティア・ガムで口寂しさを軽減し「習慣」を断つ

喫煙の習慣がある場合、「起きた時」「コーヒーを飲むとき」「この喫煙所についたら」「食事を終えた後に」「セックスをした後に」「仕事終わりに」「運転しているときに」など、決まったタイミングで『タバコを咥え火をつける』というルーティーンが脳に刷り込まれています。

これが厄介で、特に吸う気がなくても、ある場面・あるタイミングになると勝手に脳が『ここでタバコでニコチンが摂取できる』と経験から連想して、タバコに手が伸びてしまう原因になります。

この習慣を変えるには、別のルーティーンに置き換える必要があります。

おススメなのは、ミンティアやBLACKガムなどのミント系の菓子類です。

これらは糖類を多少含んでいるものの依存性がないため、ルーティーンに置き換えても別の依存を生むリスクが少ないためです。

糖分が多いものにシフトしてしまうと、糖質の過剰摂取はインスリンの分泌過多を招き、食原性の低血糖症状を招きます。食原性低血糖は、抑うつ症状や不安障害の原因になります。

・襲いかかる眠気をカフェインで覚醒させて1ヶ月乗り切る

ニコチンを繰り返し摂取すると、脳にニコチン性アセチルコリン(nACh)受容体が形成されます。

喫煙者は、常にニコチンの血中濃度を高めておくことで、このnACh受容体が覚醒・興奮を促すドパミンを放出させるので、覚醒レベルが高く保たれているわけです。

しかし、ニコチンの摂取をやめると、このnACh受容体にニコチンが結合できなくなるため、ドパミン濃度が低下してしまいます。

したがって、覚醒レベルが低下して、強い眠気が襲いかかります。

眠気が1ヶ月程度続きますが、これは、脳がnAChの受容体の量を喫煙以前の受容体の数にリニューアルするために必要な期間が1ヶ月程度だからだと言われています。

ニコチンが枯渇して「ああ、もうニコチンは入ってこないからちゃんと他の回路でドパミン分泌を促さないといけないな」と脳が諦めて構造改革を行うのには、1ヶ月必要なのです。

それまで眠気と戦うために、一時的にカフェインに頼りましょう。

しかし、カフェインの過剰摂取は健康によくなく、頭痛や不眠の原因になります。

欧州食品安全機関(EFSA)が発表した成人において安全とみなされる量は3.0mg~5.7mg/kg。60kgの人だと180~342mg/回となります。インスタントコーヒー1杯で約60mgのカフェイン含有量なので、3~5杯/回が限度です。

また、カフェインの血中半減期は4~6時間で、短時間にコーヒーやエナジードリンクをがぶ飲みするのはよくありません。よく注意してください。

特に、最近出ているエナジードリンクには1本で120~140mgのカフェインを含有しているものが発売されています。これを2本飲むともう飲みすぎですが、これはあまり意識されていないので、特に気を付けましょう。

・禁煙アプリで節約できたお金や健康に良い効果を計測する

近年では、様々な禁煙アプリがあります。中には「これだけお金が節約できました」「これだけ髪の毛を守れました」「これだけ健康寿命が延びました」とカウントしてくれるアプリがあります。

ダウンロードして、今こうしてタバコを我慢している間にも着々と体やお財布に良い効果が起こっているんだ、ということを喜びとして実感しながら禁煙すると、充実感があります。

・現在禁煙してどんな身体的メリットが発生しているか確認する

これからどんどん体が健康になり、今までに失ったものを取り戻せるような気がして、「なんのためにやめてるんだろ」という虚無感に襲われたときに、継続する手助けをしてくれます。

②失敗した禁煙方法

・禁煙パイポ・ニコチンの入っていないリキッドタイプの電子タバコ

これは、前述した『口に咥える習慣』をなくすことが大切なのに、いつまでもそこから抜け出せないので、結局咥えるものをタバコにシフトしてしまいやすくなります。

私は禁煙を決意する前に、止めてみようとこの方法を試しましたが、結局ニコチン入りのリキッドに手を出したり、タバコに戻ってしまったりで失敗しました。

・ニコチンパッチ・ニコチンガム

これは、ニコチン依存が変わらないので、いつまでも苦しいだけです。脳がタバコを欲するのは、「習慣」と「ニコチン」に対する2重依存なので、片方だけでは文字通り片手落ちです。

「習慣」と「ニコチン」の両方を同時に断ち、脳に「もうニコチンには頼れない」と信じ込ませる必要があります。そうしないと、なかなかnACh受容体が減らず、脳の報酬系回路が変わってくれないので、長く苦しむことになります。

いかがでしょうか。

あくまで私が試し成功した・失敗した方法なので、もしかして読んでくださったあなたには合わないかもしれません。しかし、確実に止めて今解放されている私の実体験なので、決してウソではありません。

毎朝タバコでえづいたり、階段を上るたびに息が切れたり、臭くないか気にしながら会議室に戻ったり、デート中にイライラしたり…。

そんな毎日にさよならするチャンスは、すぐ目の前にあります。

では、また!

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