【社会福祉士】ソーシャルワーカーである社会福祉士の役割とは?

社会福祉士はソーシャルワーカーのひとり

ソーシャルワーカーである社会福祉士としての役割は、異業種多職種と協同し総合的・包括的な相談援助を実現する課題抽出技術とソリューションの提案技術を駆使し、複数の制度やサービスを組み合わせクライエントの権利の保障を具現化する活動が行えるという専門性を有した専門家として、人々やさまざまな構造に働きかけ社会変革・社会開発を促進するという大きな使命を長期的な視野では目指しつつ、実務的にはあくまでクライエントのニーズに沿って自立・自己決定・自己選択を推し進めることであると言える。

ソーシャルワーカーとは、社会福祉士だけではない。

社会福祉学を基盤に、ソーシャルワーク実践を行う専門職のことである。

国際的にはソーシャルワーク専門職のグローバル定義が、2014年7月に、国際ソーシャルワーカー連盟と国際ソーシャルワーク学校連盟の総会・合同会議において採択されている。「ソーシャルワークは、社会変革と社会開発、社会的結束、および人々のエンパワメントと開放を促進する、実践に基づいた専門職であり学問である。社会正義、人権、集団的責任、および多様性の尊重の諸原理は、ソーシャルワークの中核をなす。ソーシャルワークは、生活課題に取り組みウェルビーイングを高めるよう、人々やさまざまな構造に働きかける。」と定義されている。

ソーシャルワーカーの代表が、社会福祉士・精神保険福祉士であり、相談員や相談支援専門員、児童指導員、サービス管理責任者なども、広くソーシャルワーカーと位置づけられ、分野、施設、機関によって呼び方は異なることもある。相談支援事業所・ホームヘルパー施設・訪問看護施設・障害者支援施設・社会福祉協議会・地域包括支援センター・地域サロンなどが、ソーシャルワーカーが所属する施設や分野や機関であるといえる。

ソーシャルワーカーに必要な「技術」

ソーシャルワーカーに専門性が求められる理由は、援助を必要とする個々のクライエントやその家族との信頼関係を築き、直面している状況や抱えている問題を適切に把握し、その状況や問題の改善、解決に向けて適切な援助活動を行うためには、どうしても専門的な知識や技術および価値や倫理等の、すなわち援助者としての専門性が必要になり、ソーシャルワーカーが対人援助の専門職である以上、その専門性を高める努力を怠ってはいけないのである。

ソーシャルワーク実践をしていく上で、「技術」とは、知識を基に信頼関係とネットワークを形成し、長期にわたり生活とコーディネート支援ができる対人援助スキルである。その専門的技術の養成には、社会福祉現場を想定した演習と、実際の社会福祉の現場における実習が求められ、そのように養成された「技術」でなければ、クライエントに適切な援助活動ができないのであって、ソーシャルワーカーの「技術」は、その存在意義の実現可能性を左右するという重大な意味を持っている。

しかし、ソーシャルワーカーは「技術」だけに頼り、「技術」のみに終始してはならない。どれだけ高い技術を持っていたとしても、尊重すべきはクライエント本人の意思であり、私たちはあくまでクライエントのエンパワメントと解放を価値として、総合的かつ包括的な相談援助により「支援する立場」なのだという己の位置づけについて常に留意すべきである。相談援助の場面等においては、相談をする側と相談をされる側との関係が固定的になり、時として依存的な関係になる危険性があるからである。

社会福祉学を基盤とした高等教育の知識を持っている専門家として、人権を尊重し社会正義に則り相互援助の心で多様性を尊重するというソーシャルワークの価値観・倫理観を実現する、という非常に良心的かつ積極的に集団的責任を果たす社会構成員として大きな存在意義を持ちながら、クライエントと同じように、自らが置かれた状況の中で社会、組織や家族のなかで役割を持ち、周りの者との相互作用のなかで、助け助けられの相互援助を促進していく「相談援助」の理念を、自ら体現する一個の小さな存在であるとも言える。

今こそ求められているのは、ソーシャルワーカー(社会福祉士)

現代社会において、家族や地域の支え合い機能が低下し、家族に代わり高齢者や認知症患者など社会的弱者を支える機能の補完的・代替的な存在が必要とされている。そのような社会的要請を受け、社会福祉士は、社会的弱者が自己決定を可能にする環境への働きかけを行うべきである。自己責任をクライエントの自己決定の前提条件だと考えず、自己決定の結果を体験しているクライエントを引き続きサポートするとともに、やり直しができる状況を作ることが、クライエントの自己決定を可能にするといえよう。

クライエントの文化、風習、生活様式などを十分理解し、クライエントらしさやクライエントがもともと持っている強さや能力や可能性を尊重した支援を行うことで、その人らしい安心のある生活を送れるよう自立を支援する存在として、ソーシャルワーカーは真価を発揮するのである。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする