【社会福祉士】スーパービジョン

相談援助における記録の意義と具体的な記述方法について、実地研修するなかで学ぶことができた。

特に居宅支援事業所と在宅支援事業所でケアマネージャーや社会福祉士がどのように記録を行っているか、実際に見せていただいた。実に詳細にクライエントの経歴・趣味趣向・職業遍歴・家族構成・病歴・服薬状況・食事と排泄の状況(口腔含む)・認知機能・ADLと実に様々な個人情報が記録されている。特に記録の方法として専門的なのは、ジェノグラムである。一目で家族構成が分かり、誰がキーパーソンかも一目でわかるため、非常に実用的であると感じた。

特別養護老人ホームなどでは、看護師と介護士がそれぞれに医療側と介護側のその日の利用者の情報を記録し、日勤と夜勤の交代時や朝礼などのミーティングを通じて「申し送り」という呼称で情報共有をしている。生活の変化や、褥瘡や転倒などの事故を防ぐために細やかな状況まで記録する。それがターミナルに入り看取りが終わった段階で「サービスに改善する余地はなかったか」という視点で再度すべて振り返りが行われるのである。

ITも積極的に導入されており、情報共有のために専用のソフトがPCにインストールされていて、やり取りされたクライエントのアセスメント票の情報や担当者会議により決定したケアプランの内容などはすぐさまデータ化してセキュリティに守られたデータベースに記録される。それにより、安全に管理できクライエントに関わる人がいつでも最新の情報にアクセスできるようになっている。今日的課題として、ITで共有される個人情報の保護、という問題がある。近年のネット犯罪は高度化しており、セキュリティソフトや対策を導入してもすべてのハッカーの攻撃を防ぎきるのは不可能とされている。そんななか、アセスメント票のように財産にかかわる情報まで記載されている情報が漏洩してしまうと、犯罪に発展しかねない。今後さらにITの面で医療レベルにまで介護の業界も情報リテラシーを高めていくわけだが、その際にはネットセキュリティについてもさらなる強化と教育が必要な時代になってきた。

デイサービスやショートステイ、特別養護老人ホームなどでは、看護師がバイタルチェックをしており、脈・血圧・酸素濃度・呼吸回数・体温を毎日測定する。酸素濃度はSPO2という機器で指先から簡単に測定することが可能になっている。高齢者においては、自身の体調の変化に鈍感になっており、本人に認知症があれば季節感なども自覚がなくなってしまうので、体調管理や水分補給には気を配らなくてはならない。そのために、バイタルを定期的に測定し変化があればすぐ医療につなぐことができる、というのは、介護において欠かせないとても重要な記録であると感じた。

スーパービジョンの目的、機能、あり方についても言及してくださった実習先の社会福祉士の先輩方には感謝してもしきれない。

誰もが最初から同じように相談援助ができ理想的なコミュニケーションをとることができるわけではない。それぞれに経験したクライエントの数だけ実体験のケーススタディが存在している。そんな経験値の乖離をできるだけ早期に埋める目的でスーパービジョンは実施される。

機能としては情報や対処方法の共有・指導と合わせてそれを超えた仕事を通じての生きる上での悩みや課題と向き合うための支援という側面がある。なかには合わない利用者やクライエントとも関係構築を行わなくてはならないなかで、いかに傾聴し、質問し、ニーズを引き出し自覚を促すのか、そのコミュニケーション方法は一朝一夕には習得しえないノウハウであり、継続的なサポートによって体得しえる援助技術である。それらの技術の伝承は、スーパービジョンにより時間をかけて実施されるべきである。また、仕事を通じて倫理的葛藤や仕事に対する姿勢について悩み苦しむ時間が人を育て仕事をより良くする。そのような悩みを抱えた成長するチャンスを逃さず、機会に変えていくことが、スーパービジョンを受けた人の人生をも豊かにする。

つまり、スーパービジョンの在り方とは、その人にただ単に必要事項を伝達し管理監督する、という単純な指導責任者ではなく、担当する新人の人生の充実を視野に入れたある意味での相談援助の一環としてとらえ、長期的視野をもって寄り添っていくということである。それを実現するためには指導する側の成長もなくてはならない要素であり、非常に難しいことだが、もしそのような在り方を実現できたなら、指導を受けた新人だけでなく、指導する先輩にとっても大きな財産になるだろう。

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