結局、私がやっていたのは「要らないものをつくって売る」という詐欺に加担することだったんだな、と思う。
私は製薬業界に転職してきたとき、希望に満ち溢れていた。
世の中の困っている人々の役に立つ大事な仕事だと思って入社した。
国のチェックが入る試験を3回もして世の中に出てくるのだから、ましてや人の命に係わるものなんだから、いい加減なものや有害なものは創らないだろう、と思った。
ましてや国内トップクラスの会社なら、他の小さい会社では多少そんなことがあっても、いろんな意味でちゃんとしているだろうと思った。
科学を信じていた。
事実を客観的に確認するためにエビデンスがあり、それを根拠に間違いの少ない誠実に仕事ができると思った。
でも、ふたを開けてみれば、全部でたらめだった。
科学は宗教だった。
「確からしさ」を分析するためだったはずの科学は、「それっぽさ」で他人を納得させるために、金で舗装されているものが、科学の正体だった。
統計の解析方法、試験の条件設定次第で、いくらでも都合よく統計学的に有意な差を示すことが可能だと知った。どんなデータも、なんの保障にもなりはしない。方法としてすでに腐敗していた。
主要評価項目で満足いく結果がでなければ、副次評価項目やサブ解析でなんとかほしい結果をひねり出す。それをもとに「いい薬です」と言ってこいと会社からは命令された。
そもそも現代の医療がインチキだった。
西洋医学から出発するあらゆる治療法は、人間本来の在り方から逸脱させる人工化合物を投与することで、別の病気を生むだけだった。
良くするどころか、悪くするだけ。
mRNA遺伝子製剤だけではない。PPIもARBも、スタチンも抗がん剤も、SSRIもSNRIも。もう何もかも信用できない。
製薬会社は所詮、売り上げを上げて利益を生むことしか、考えていない。
新薬をつくり高値で売りさばき、病んだ人が多ければ「市場性がある」と喜んで要らない薬を大量に処方するように、医師や薬剤師に提案する。
本来、薬は飲まなくていいなら飲まないほうがいい。
自然界に存在しない、余計なものを身体に入れないほうがいいに決まっている。
であるならば、ビジネスとしては拡大するより縮小したほうが望ましいのだ、人々の健康にとって。成長産業になるということは、それだけ社会が病んでいる、ということだ。
つまり、病む人が大量に発生するような社会に問題があり、私たちが本当にアプローチすべきは、マクロでは「その社会をどう適切な在り方に導くか」、ミクロでは「病んだ社会とどう距離を取るか」ということに他ならない。
自然に生まれて、不安や恐れや欲望に振り回されることなく、「今ココ」の生の喜びを享受して、自然に死ぬ。土から生まれ、土に還る。
その生命のサイクルを無理にひき伸ばそうとしたり、経済的な尺度で人の存在価値を評価する歪んだ社会に不自然に適応させようすることは、その人らしさを蔑ろにしている。生命の倫理に反する。
しかし、そんなことは製薬会社にいる人間の多くが全く考えない。考えが及ばない。
彼らの頭の中にあるのは「自分の給料をもっと増やそう」とか「もっといいポジションに就くために組織で認められよう」という私利私欲。その割合はおそらく90%以上だ。だいたい自分のことしか考えていない。自分が売った薬で他人が苦しもうが、知ったコトではない。自分と自分の身内が金銭的に豊かであればそれでいい。それが彼らの本音だ。
社会のことや他人のことを自分事としてとらえて、真面目に働くとバカをみる。
希望は、ほどなくして絶望に変わった。
勤務して10年。ここで私がしたいことは、もはや何もないと悟った。
結局は、彼らの思考や行動は、すべて金だ。
金が儲かるかどうかが全て。自分たちが得をするかどうかが全て。
口では「患者さんファースト」だの「人々の健康のために」だのとのたまっているが、中身は腐りきっていた。
金を儲けるためではない、というのなら、本当に必要最小限の患者さんに必要最低限の処方をしてもらうべきだ。
薬価は限りなく低く設定し、治療費で医療保険制度を圧迫しないように、他の必要な社会保障に財源が回せるようにするだろう。
売上や計画達成率などでMRやチームにランキングをつける必要もない。
売上が小さくなるほどその地域は薬を必要としていない=病んでいない、ということだ。
計画を設定されてその達成率でボーナスが変わるなら、MRは無理をして売ってくる。そういう倫理に反する行動を誘発しかねないシステムを導入しないはずだ。
あくまでも副作用の報告を収集したり、使い方がわからない医師からの求めに応じて必要な薬剤特性を伝達すればよく、それで充分職務を全うしている。その労働に見合う対価を支払えばいいだけだ。
つまり、本来必要なくなることが最善であるサービスでありビジネス。それが製薬業界だ。
それなのに事業規模を拡大し、取締役が億を超える役員報酬を得ている。
MRの目の前にニンジンをぶら下げて、不必要に処方されるよう暗に促す。
それでつくるのがmRNAのような毒なんだから、目も当てられない。
本当にこの世界に神様がいるなら、こんな悪行にはいずれ天罰が下るだろう。
そうでないなら、神などいないということだろう。
これだけ私利私欲に塗れ、人を不幸にし、命すら奪って私腹を肥やす業界が潰れないなら、文字通り神も仏もない。
おそらくMRをはじめ国内の従業員はこれから大量解雇がはじまるだろう。特に国内は。
もうすでに医療関係者からハエか蚊のような扱いを受けている。しつこく売り込みにくるスーツ野郎として通常診療の邪魔者扱いされて久しい。価値を感じられていない。当然だ。
AIやデジタルの導入が加速している。しかもMRに目標を課して自分の墓を自分で掘らせている。製薬会社は株主配当と役員報酬の確保のために必ず人減らしをする。人間より機械のほうが管理しやすく、ランニングコストもかからない。まずは手始めにこの春、事務員から首を切られていくだろう。
金のことしか考えていない製薬会社だ、必ずそうする。絶対にそうなる。この流れは変わらない。
このプランデミックで多くの人が「医療は詐欺である」と気づいたと思うが、そうなれば医療は信頼されなくなるだろう。少なくとも地頭の賢い人々は利用しなくなる。
ということは、医療業界が衰退していく。それにともなって、紐づいた製薬業界も衰退していく。
西洋医学という宗教を信じる信者たちは、これからも今まで通りありがたがって毒を買い毒を飲み苦しみながら死んでいくだろうが。
つまり、もう産業としても会社としてもオワコン確定なうえに、このコロナ騒動に関わってしまっている時点で、世界が正常な方向に向かうとすれば、戦犯扱いされる惨めな末路は避けられない。
正常な方向に世界が向かわないとしても、私はこれ以上悪事に加担するのは耐えられない。良心の呵責がすさまじくてとてもじゃないけど仕事にならない。
今から製薬会社に行こうなどと思うひとはいないだろうが、絶対に行かないほうがいい。
待っているのは、暗い未来だけだ。自分の経歴に泥を塗るだけだ。マジでやめておいたほうがいい。
今はまだかろうじて羽振りがいいこの業界だが、気づいている人はそんなにいないのかもしれない。少し先までは見えていたとしても、背景にある資本主義経済社会システムが諸悪の根源であること、哲学を失った虚しい営みであることには思い至らないだろう。
思い至っていれば、私のように思い悩み、病んでいるはずだから。