【メンタル】あなたの脂質異常はストレスのせいかも?

こんにちは、 ちあき です。

健康的な食生活を心がけ、週3回以上の運動を習慣化して取り組んでいるのに、なぜか脂質だけが引っかかる…。そんな経験はありませんか?

私は、血圧・血糖・尿酸の値は正常値なのに、高コレステロール血症だけが健康診断でいつも引っかかってしまいます。

スポーツジムで週3回ウエイトトレーニングと有酸素運動を合計1時間/回実施し、毎日炭水化物を摂るのは朝のみのローカーボ食を採用して食事制限をしているにもかかわらず、です。

今回は脂質異常症、特に高コレステロール血症に悩む社会人のみなさんにとっての一つの可能性を探ってみたいと思います。

そもそも、高コレステロール血症って?

高コレステロール血症とは、文字通りコレステロールが高い状態を言いますが、具体的な基準値としてLDL-C、HDL-Cの数値を用いて診断します。

「LDL-C」=いわゆる悪玉コレステロール。中性脂肪がリッチなこのコレステロール。この数値は70~139が基準値で、これより高いとよくありません。

「HDL-C」=いわゆる善玉コレステロール。中性脂肪の比率が少なく、血管内を循環する際中性脂肪を吸収して肝臓に帰っていくため、善玉と言われています。男性は40~80・女性は40~90が基準値で、これより少ないと脂質のバランスが良くない状態といえます。

ちっちゃいLDLを含めて診断できるトレンドの検査数値:Non-HDL

最近では、Non-HDL-C(HDLではないコレステロールの総量)を基準にする考え方が実臨床において一般的になりました。

Non-HDL-C=総コレステロール-HDL-C(基準値:)

メタボリックシンドロームや糖尿病など生活習慣病を合併している患者さんの場合、LDL-CのちっちゃいVerである「small dense-LDL-C」が増えて、単純にLDL-Cの数値では計測できないからです。

この「small dense-LDL-C」が怖いのは、血管壁の細かい傷にくっつき、プラークという血管内にできる油の塊になりやすいのです。このプラークが大きくなる(肥大化する)と、動脈が狭くなり、動脈硬化が進んでしまいます。プラークに免疫細胞が寄ってきて炎症が起き、ますます大きくなると、その場で血管をふさいでしまうか、突然破裂して細かい血管をふさいでしまうリスクがあります。

また、Non-HDL-Cは2つの論文でその有用性が証明されたため、循環器の専門医だけでなく非専門医にも注目されるようになりました。

①Health Professional Follow Uup study において、non-HDL-Cが高ければ高いほど、心血管イベント(心筋梗塞や狭心症など)が上昇することが示されました。

②Women’s Health Study において non-HDLコレステロールが 果たして心血管イベントを予測しうるかどうかということも重要なポイントですが、このstudyでLDLコ レステロールよりもnon-HDLコレステ ロールのほうが予測因子として重要であったということがいわれております。

こうした学術的背景と、small dence LDL-C も計測できる現代の身体状況に即した測定が可能なことから、「Non-HDL-C」は、重要です。みなさんやご家族も健康診断の結果をよく見ておいたほうがよいでしょう。

ストレスでコレステロール高値を呈した自衛隊の論文

陸上自衛隊には、レンジャーという部隊があります。隊員の中でも特別な訓練を受けた精鋭集団で、有事の際には困難なミッションを遂行する特殊部隊です。

そんなレンジャー隊員において、レンジャー訓練後に高コレステロール血症が認められるという報告があります。

17名のレンジャー隊員に対し、想定訓練前後の健康診断時に循環器検診項目の採血検査を実施した。82%(14/17)の隊員で訓練後に高コレステロール血症を認めた。 総コレステロール(TC)は,訓練前平均160±26mg/dlから訓練後平均248±37mg/dlに上昇し、その増加率は,平均55%であった。 中性脂肪、HDLコレステロール、LDLコレステロールは、全て上昇し、増加率はそれぞれ平均74%,65%,63%であった。血中コレステロール濃度を規定しているのは、肝臓におけるコレステロール代謝と皮下や内臓の脂肪組織からのコレステロール動員である。 米陸軍レンジャー訓練における報告においても、訓練後にTCは上昇し、その原因を半飢餓状態における甲状腺機能低下及びインスリン分泌の低下とインスリン抵抗性増大を伴う糖尿病様状態としている。我々は、レンジャー訓練後に認めた高TC血症を、摂食制限、不眠不休によるレンジャー訓練のストレスが、これら内分泌学的変化を惹起し、肝臓におけるコレステロール代謝及び脂肪組織からのコレステロール動員に影響を与えた結果と考察した。 (著者抄録) Hypercholesterolemia after ranger training (レンジャー訓練後に認めた高コレステロール血症について) より

レンジャー訓練は壮絶で、普通に「あー、ストレスだなぁ」ぐらいのものではなく、「このままじゃ本当に死ぬ」というくらいの重圧を昼となく夜となくかけられ続ける状態ですから、そこまで追い込まれてはじめてコレステロールに影響を及ぼす、ということでしょう。

まとめ:厳格な食事制限・運動療法をしていてもコレステロールが高い場合は、もしかしてストレスかも?と考えてみる

もしも、あなたが強いストレスを抱えている状態がずっと続いていて、脂質のみ異常値をきたしているとしたら、それはストレスホルモンの過剰生成によるものかもしれません。

食事制限・ハードなトレーニングをしているのに何故?と思い、個人的に調べてみました。しかし、基本的には主治医の診断と治療方針にしたがってくださいね。治療中なのに、自己判断で服薬をやめたり通院を止めることは絶対にしないでくださいね。

ただ、近年ではバターコーヒー に代表されるように、良質な脂質を摂ることは動脈硬化をはじめ心血管イベントに悪影響を及ぼさない、ということが示され、新常識となっています。自らの身体を知る意味でも、常に新しい情報を得ていく努力は必要ですね。

では、また!

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