【社会福祉士】高齢者を取り巻く環境の変化と今後の高齢者福祉における課題

高齢者を取り巻く環境は、特に第2次世界大戦後高齢者保険福祉制度の発展を期に加速していった。

国民皆保険制度がスタートし、老人福祉法が制定された。医療の面でも老人保健法が昭和57年に制定され、その後時代背景に沿って、調整と拡充がなされていった。

高齢者を守る様々な制度や法律

高齢者の尊厳を守るために、まずは法律が歴史的に整備されてきた。老人福祉法、高齢者の医療の確保に関する法律、高齢者虐待防止法、権利擁護と成年後見制度などがあげられる。

高齢者を支援する組織も整備されつつある。

指定サービス業者は、介護保険法に基づき都道府県か市町村の指定を受けた事業者である。

国保連は国民健康保険法第83条に基づき各都道府県に1団体ずつ設立されている。

地域包括支援センターは、介護保険法に基づき、市町村か市町村から包括的支援事業委託を受けた法人によって運営される。地域住民の心身の健康の保持および生活の安定のために必要な援助を行い、地域住民の保健医療の工場および福祉の増進を包括的に支援することを目的とする。

社会福祉協議会は、すべての市町村、都道府県、全国段階に設置されており、知己福祉の推進を図ることを目的とする団体として、福祉コミュニティつくりと地域福祉の推進を使命とする俊樹である。

ボランティアやNPOも無償・非営利の有志団体として社会サービスを提供する組織として活躍している。

なぜ高齢者の幸せを大切にするべきなのか?

人生のモデルとして高齢者は社会において重要な存在である。なぜなら若者は将来の自分自身を高齢者の現状に重ねて見るからである。

高齢者福祉はの重要な課題は、科学の発展に伴って人類が昔から望んできた平均寿命の伸びという成果を、社会が肯定するか否定するかに密接に関わる点である。

高齢者が元気であれば、社会全体が活性化する。逆に、高齢者が生きがいをなくし、早くお迎えが来てほしいという暗い余生を送っている姿は、社会全体に暗い影響を与える。介護に関する社会的負担感も増大する。

ソーシャルワーカーは、高齢者の幸せと尊厳を尊重し、ご本人らしい幸せな生涯を送る選択ができるよう社会福祉がサポートできるよう施策やサービスがもつ良好な機能を生かすためのたゆまぬ努力をしていかなければならない。ソーシャルワーカーのそのような活動が、担当する地域だけにとどまらず、ひいては社会全体を幸せにすることに繋がっていくからである。

目下、現代の日本においては少子高齢化が進み、自治体単位での地域包括ケアシステムを形成して病院や施設ではなく、住み慣れた地域や在宅での看取りを目指してケアしていく方向性にシフトしている。

今後特に解決すべき高齢者福祉の課題とは?

その実現に対して、特に医療介護の面で、今後の高齢者福祉における課題は山積されていると考えられる。

まずは、健康な全身状態を維持するための口腔ケア・排泄ケアである。医科歯科連携が進んでいる地域においては、医師と歯科医が緊密に連携できるよう市町村単位で連携スキームが整えられ、口腔ケアの重要性と在宅での訪問診療ケアを勧めている。食べる、という行為は非常に重要であり、食べられない口内環境は拒食や拒薬を招き、全身状態悪化を促進させてしまい、QOLの低下につながる。住み慣れた地域で元気に暮らすためには、自分の歯で食べる喜びを長く維持してあげられるケアが必要である。

また、排泄ケアも同様に重要である。介護者が適切なケアがしてあげられないと、湿気がこもり湿疹や褥そうができ、QOLは著しく低下する。介護負担も大きいことから、薬剤の見直しを含めたオーダーメイドのケアが必要である。この点で精通している医療従事者と介護職員はまだまだ足りないといわれている。

最後に、増える認知症に対する正しい理解とケアの浸透である。認知症は進行するとうつ病や統合失調症と鑑別がしづらく、ご本人とコミュニケーションが取れないことに対して苛立ち、対応を間違えてしまいがちである。このすれ違いにより、ご自宅での介護で問題が発生し、介護負担の増大と介護対象の高齢者の異常行動に拍車がかかり、手に負えなくなるケースが散見される。近時記憶障害のために同じことを聞いてきたり、不安感から物盗られ妄想を呈して介護者に怒りをぶつけるなど、正しい知識がなければ困惑する場面に多数出くわすこととなる。このことに対して怒り返してしまうと、本人は近時記憶としては忘れても、怒りをぶつけられた感情は覚えていて、本来助けてくれている介護者に対して敵対心をもってしまうという悲しい結果になってしまう。

認知症は、終末期ケアにおいても、しばしば看取りがご家族に委ねられ、病院と自宅とで揺れ動くご家族の気持ちに寄り添い、ケアしていく必要がある。夜間の呼び出しや信頼関係構築など、ソーシャルワーカーにとってハードな調整を求められる重要な課題である。

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