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【依存症】頑張って断酒してきたのに長期連休でくじけそう…そんなあなたにおすすめの漫画

こんにちは、ちあき です。

連休が続くと、時間がある→いろいろ考えてしまう→マイナス思考に陥る→飲酒欲求↑という負のサイクルで、どうしてもスリップ(再飲酒)しやすくなります。

家族がいる場合は抑止力になってくれますが、独りで断酒している方などは、誰も見ていないから、という悪魔のささやきが聞こえてきてしまいます。

そんなときに、おすすめの漫画があるので、今日は紹介させてください。

 

その漫画は「はじめの一歩」

作者:森川ジョージ 先生

■作品概要 (wikipediaより)

母子家庭いじめられっ子であり、釣り船屋を親子で支えている主人公・幕之内一歩が、プロボクサー鷹村守との出会いをきっかけに鴨川ボクシングジムに入門。「強いとは何か?」という問いの答えを求め、プロボクサーとして、また人間としても成長していく過程を、周囲との交流やライバル達との戦いを通じて描いてゆく。主人公のみならず脇役である仲間やライバル達の戦いも詳細に描いている点が特徴的であり、作者は「登場人物全員が主人公です」とコメントしている。

登場人物の多くにボクシングの歴史を彩った実在選手の姿が投影されている。作者自身も実際にボクシングジムのオーナーで著名なプロボクサー達と親交があり、『週刊少年マガジン』誌上でも若手を応援するコメントなどを載せている。

ボクシング漫画の金字塔ともいうべき、有名な漫画ですよね。

非常に長いストーリーのなかで「この戦いがすごく断酒の励ましになる!」というエピソードを独断と偏見で選び紹介していきます。

 

①戦後編 鴨川源二 vs ラルフ・アンダーソン

原作45~46巻(鷹村VSホーク戦直後)、アニメ第3期「Rising」の第22~25話(鷹村VSイーグル戦直後)までが該当します。

 

 

敗戦国となった日本、「拳闘」が主流だった当時。
階級が上のアメリカ人に、親友の敵討ちで試合を申し込み、挑みます。
日本人、特に若者に、この話を読んでほしいです。
こんなどん底から、我らが祖先は今の日本を創り上げたのです。
それが、どれだけ“強い”ことだったか。
目頭が熱くなります。
この試合は、私が「断酒を貫く」意思の具体化したイメージであり、今も精神的支えになっています。
どんな障害さ あろうと
初志を貫徹する・・・鉄の意志
意志を貫くためには
何も恐れない
死ぬことになろうが恐れはしない
何も恐れない
すなわち「勇気」!!
それがヤツの武器だニ!
体格的にも階級が一回り上のラルフに何度も上から右を食らいながら
絶対に折れない鉄の意志で耐え、ボディを狙う試合展開は圧巻です。

②宮田一郎 vs アーニー・グレゴリー

原作36巻~37巻までが該当します。

 

カウンターを持ち味とする「雷神」宮田一郎。

逆に左のジャブを意図的に出すアーニーの作戦にまんまとハマり、カウンターを誘われてボコボコにされます。

自慢のカウンターをコケにされ、プライドをズタズタにされ、自慢のスピードも地に落ち、体力も残り少ない…

精神的にも肉体的にも追い詰められてしまいます。

もう慎重にやっても無理、負けるなら玉砕覚悟で手数を出すしかないか…と、

半ば自棄になる一郎に、セコンドの父が言う名言が心に響きます。

振り回してラッキーパンチを狙うか!?

お前のことだ。自分の状態がどれほどかよく理解しているだろう

クレバーと言われているが その実 誰よりも気が強い

煮え切らない判定よりまず玉砕を選ぶ

最近になってわかったコトがある

何十年もボクシングにたずわさってようやく気づいた

無論 現役の時には納得できなかったが…

ボクシングに ラッキーパンチはない!!

結果的に偶然当たったパンチにせよ それは…

練習で何百何千と振った拳だ

その拳は『生きている』のだ

試合を投げて適当に振ったパンチなど決して当たらん

当たったとしても死んだ拳では人は倒せん

現役の時 ラッキーパンチに泣かされ嘆いた時もある

しかし それは間違いだった

選手を育てる立場になってようやく気づいたよ

ある者は名誉のため ある者は金のため

様々な理由のために 辛い練習を耐え抜く

何千何万とサンドバッグを叩き

思いのたけ全てを両の拳にこめる

最後の最後まであきらめない

そういう生きた拳こそが

奇跡を産むのだ!!

断酒をしていても、くじけそうになるときがあります。

もうしんどいし、自分が大切にしていたものも無くなったし、

いいじゃんもう…と思うとき。

約束を果たすために、成し遂げたい思いのために、今まで血反吐を吐きながら頑張ってきたのではなかったか。

困難を突破し、理想を形にする『生きた拳』。

断酒でも同じで、最後の最後まであきらめない『生きた魂』こそが、飲むことをやめられない病気にもかかわらず酒を断つという一種の狂気ともいえる「断酒」という奇跡を産みます。

 

 

③鷹村守 vs ブライアン・ホーク

原作では43巻~44巻、アニメで2期「NewChallenger」の21話~24話が該当します。

作中でも最も評価されてる試合の一つともいわれています。

 

 

急遽決まった世界戦。

この鴨川会長の名言はこの試合の前に鷹村に放った言葉です。

努力したものが全て報られるとは限らん。

しかし!

成功した者は皆すべからく努力しておる!

厳しい減量に耐え、鷹村は試合に臨みますが、死闘を極めます。

しかし、本当に苦しい最後の場面で支えになるのは、「ボクシングにだけは…ウソつきたくねぇんだ」と言い、毎日毎日サンドバッグを叩き走り込み、何千何万とミットを叩いた鷹村のバックボーン。

倒れてたよ……

きつかった……

支えがなきゃ、倒れてたよ。

ずっと、支えててくれたんだな。

やっと、わかったよ

鷹村のこのセリフで泣きました。

本当に苦しくて何度も倒れそうになっているときに力をくれるのは、支えてくれる仲間たちの存在、というところが、断酒会やSNSの皆さんとの繋がりを彷彿とさせます。

④幕之内一歩 vs 千堂武士

日本フェザー級タイトルマッチで、チャンピオンの千堂に幕ノ内が挑みます。

ハードパンチャー同士の「LALLAPALLOOZA(ララパルーザ、“地鳴り”の意)」と冠した試合名通りの凄まじい攻防は必見です。

 

 

ガードの上からでも一歩の鼻から出血するほどのハードパンに一歩は前のめりに崩れ落ちるダウンをとられます。
もう寝てしまえば楽になれる…。そう考える一歩。
何を考えてるんだ 僕はー!!

これじゃあ あの時と同じじゃないか!

あの時と 同じ想いを またしたいのか!?

伊達さんに負けてから 鍛えに鍛えたんだ

ボクはあの時と同じじゃない!!

同じじゃない!!
一度スリップしたことのある人なら、この言葉はすごく響くんじゃないでしょうか。
あのときと同じ思いをしないために
対策を立てて、苦しくても頑張ってきた。
昔の自分と同じじゃない!
同じ後悔をもう二度としたくない!
そういって立ち上がる一歩の姿に、私は断酒から立ち上がる仲間の背中を見る気がします。
いかがでしたか?
もし興味があったら読んでみてくださいね。
強くなれ!
おれたち!

 


アルコール依存症ランキング

【依存症】依存症と依存症の疑いの違いと様々な定義

こんにちは、ちあき です。

AAAの浦田直也氏の暴行事件が報道され、SNSで触れられることが多くなっています。

逃げた女性、追いかけて蹴る…AAA浦田容疑者

人気グループ「AAA(トリプル・エー)」のリーダー浦田直也容疑者(36)が暴行容疑で逮捕された事件で、浦田容疑者が逃げる女性を追いかけ、蹴っていたことが捜査関係者への取材でわかった。浦田容疑者は21日、東京地検に送検された後、釈放された。警視庁月島署が今後、任意で捜査を続ける。

捜査関係者によると、浦田容疑者は19日午前5時頃、東京都中央区のコンビニ店で、面識のない20歳代の女性に「飲みに行かないか。自分はAAAのメンバーだけど知らないか」と声をかけた。女性が「知らない」と答えると、平手で頬を殴り、店外に逃げた女性を追いかけて足を蹴ったという。

浦田容疑者は21日夜、所属事務所で記者会見し、「被害者に大変なご迷惑をおかけしたことを心よりおわびします」と謝罪した。事件前日の18日夜はウイスキーやワインなどを20杯以上飲んだといい、「最後は自分が何を飲んでいたのかもわからない状態だった。事件のことは記憶になく、警察から言われて知った」と話した。

出典:読売新聞記事

「彼はアルコール依存症か、そうでないか」について意見が結構分かれています。

依存症か、そうじゃないか、ってどういう基準で判断できるんでしょうか?

なんとなくモヤモヤしたので、エビデンスのある事実をもとに、考えをまとめてみたいと思います。

 

最新のアルコール・薬物使用障害の診断治療ガイドラインでの考え方

アルコール依存症の治療に関連して、新しいガイドラインが2018年に公開されました。

新ガイドラインは、プライマリケア医や内科医、研修医が治療に応じる機会の多いと思われる初期のアルコール依存症患者に焦点をあて、精神科などの専門医療機関でなくても対応が可能となることを目的として作成されています。

なぜなら、アルコール依存症は専門医療機関に紹介することが望ましいとされてきましたが、実際には専門医療機関の数が少ないといった医療資源の課題や、専門医療機関への紹介の同意が得られない方、遠方のために通院ができない方が一定数存在するといった患者要因などから、プライマリケア医や内科医、研修医が初期対応を行う必要があるからです。

また初期対応が可能になることでアルコール依存症の早期発見・治療につながること、ひいては治療のギャップを少なくすることに有用と考えられます。

今までアルコール依存症の治療は断酒の達成とその継続を目標とし、アルコール依存症の専門医療機関を中心に行われてきました。

しかしながら、断酒を治療目標とする事に抵抗感を持つ患者(特に初期のアルコール依存症患者)が多くいたことが、上記の治療のギャップの原因の1つと考えられます。

これに対し、近年、すぐに飲酒をやめることができない場合は飲酒量を減らすことから始め、飲酒による害をできるだけ減らすという“ハームリダクション”の概念が提唱されています。

この概念は、アルコール依存症の治療のギャップを少なくすることに有用と考えられ、わが国においても欧米に遅れることなく飲酒量低減という治療選択肢を加えた新アルコール・薬物使用障害の診断治療ガイドラインとして2018年に公開されたのです。

※「ハームリダクション」は、すぐに断酒できない場合の段階的に「減らす」中間目標であり、最終的には断酒がゴールになります。現在の医療において断酒ではなく節酒を推奨するという解釈は正しくありません。あくまで、初期のアルコール依存症の段階で治療から離脱してしまわないために、取り入れられた考え方です。

出典:新アルコール・薬物使用障害の診断治療ガイドラインに基づいたアルコール依存症の診断治療の手引き【第1版】

 

医師が依存症と診断する基準は2つ 「ICD-10」と「DSM-5」

アルコール依存症の診断は、主に『 ICD-10 精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン(新訂版)(医学書院)』が用いられます。

ICD-10に記載されている「依存症候群」は、ある物質を使用することが、他の行動よりもはるかに優先するようになる生理的、行動的、認知的な現象のことを指します。

精神作用物質(薬物など)、アルコール、タバコを使用したいという欲望が非常に強くなり、時に抵抗できないほど高まる状態です。

例として、アルコール依存症は、平日・週末を問わず、飲酒しなければ我慢しがたい欲求に駆られます。症状が重くなると、入手可能な物質ならどのようなものでも使用したいという衝動を常に感じ、使用を絶つと苦悩、感情の激しい高ぶりなどが見られるようになります。

 

■「ICD-10」診断基準

以下の 6 項目のうち、過去 1 年間に 3 項目以上が同時に 1 カ月以上続いたか、または繰り返し出現した場合 “アルコール依存症” と診断されます。

 

1、渇望:物質を摂取したいという強い欲望あるいは強迫感。

2、飲酒行動のコントロール:物質使用の開始、終了、あるいは使用量に関して、その物質摂取行動を統制することが困難。

3、離脱症状:物質使用を中止もしくは減量した時の生理学的離脱状態。その物質に特徴的な離脱症候群の出現や、離脱症状を軽減するか避ける意図で同じ物質(もしくは近縁の物質)を使用することが証拠となる。

4、耐性の増大:はじめはより少量で得られたその精神作用物質の効果を得るために、使用量を増やさなければならないような耐性の証拠(この顕著な例は、アルコールとアヘンの依存者に認められる。彼らは、耐性のない使用者には耐えられないか、あるいは致死的な量を毎日摂取することがある)

5、飲酒中心の生活:精神作用物質使用のために、それに代わる楽しみや興味を次第に無視するようになり、その物質を摂取せざるを得ない時間や、その効果からの回復に要する時間が延長する。

6、有害な使用に対する抑制の喪失:明らかに有害な結果が起きているにもかかわらず、依然として物質を使用する。例えば、過度の飲酒による肝臓障害、ある期間物質を大量使用した結果としての抑うつ気分状態、薬物に関連した認知機能の障害などの害。使用者がその害の性質と大きさに実際に気付いていることを(予測にしろ)確定するよう努力しなければならない。

彼は会見で「もうお酒は飲まない」と公言しましたが、もし再度飲み始めて1ヶ月経過しまった場合、1・2・6に該当するので、医師がその時点で診断するとしたら、「アルコール依存症」でしょう。

 

もう一つ、『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル(医学書院)』があります。

DSM-5では「物質使用障害」として、同様の疾患について記載されています。アルコール、大麻、幻覚薬、吸入剤、オピオイド、鎮静薬、睡眠薬、抗不安薬、神経刺激薬、タバコ、その他のすべてにおいて、強烈な渇望を抱くようになる状態を指します。

 

■「DSM-5」診断基準

診断基準は、「制御障害」「社会的障害」「危険な使用」「薬理学的基準」の4群に分けて考えることができる。一般的な評価として、2~3つの症状が当てはまれば軽症。4~5つの症状が当てはまれば中等度、6つ以上は重度の物質使用障害と考えられる。

 

基準1 その人は当初意図していたよりも、より多量にまたはより長期間、物質を使用するかもしれない。

基準2 その人は物質の使用を減量または制御しようという希望を持続的に表明しているかもしれないし、使用量を減らしたり使用の中断を試みたりした時の失敗を報告するかもしれない。

基準3 その人は非常に多くの時間を、物質の獲得、物質の使用、物質の作用からの回復に費やす場合がある。

基準4 渇望は薬物に対する強烈な欲求または衝動となって表れ、それはいかなる時も出現することがあるが、特に出現しやすいのは、かつて薬物を獲得したり使用したりした環境においてである。

基準5 物質使用を繰り返した結果、職場、学校、または家庭で果たすべき重要な役割責任を果たすことができなくなることがある。

基準6 物質の作用によって引き起こされたり、悪化したりした、社会上のまたは対人関係上の問題が持続したり、繰り返されたりしてもなお、その人は物質使用を続けるかもしれない。

基準7 物質使用の結果、重要な社会的、職業的あるいは娯楽的な活動が放棄されたり、縮小されたりするかもしれない。

基準8 身体的に危険な状況で物質を繰り返し使用するという形をとる場合がある。

基準9 持続的または反復性の身体的または精神的な問題が物質によって引き起こされた、あるいは悪化したらしいとわかっていても、その人は物質使用を続けることがある。

基準10 望むような効果を得るために必要な物質の量が著明に増大するか、または通常量を摂取した際の効果が著明に減弱する。

基準11 離脱。物質を長期にわたって大量に摂取していた人において、血中あるいは組織内の物質の濃度が減少した時に生じる症候。

 

つまり、「社会的障害」の項目である、5・6・7に当てはまるので、「軽度アルコール使用障害」と診断される可能性があります。

 

医学的には、この2つの基準の項目にあてはまる可能性が場合(自己診断ではなく、客観的にみて当てはまるという意味で)、「アルコール依存症の疑い」となり、「アルコール依存症」の病名が付くかつかないかは、医療機関で医師が診て決めます。

 

したがって、医学的には「依存症かそうでないか」を判断できるのは、『診断をする医師だけであり、私たち素人が無責任に、依存症かそうではないかを判断するべきではない』といえます。

 

「疑いがあるかどうか」はどう判断するの?

では、その前段階、「アルコール依存症の疑い」は、どう判断するのでしょうか?

一般的にアルコール依存症のスクリーニングには3種類のテストがあり、『新久里浜式アルコール症スクリーニングテスト』、『CAGEテスト』、『AUDIT』があります。

新久里浜式・CAGE テスト サイトリンク

AUDIT テスト サイトリンク

新久里浜式やCAGEはアルコール依存症専門病院で診断に使用されてきた実績があり、医療機関のHPによく掲載される傾向にあります。

おもしろいことに、AUDITはWHOが作成しているのですが、アルコール飲料製造メーカーが好んでHPに掲載しています。

メディアで得られる情報は限られますし真偽のほどがわからないのでこれは正確ではないかもしれませんが、得られた情報だけでスクリーニングテストを実施擦れると、いずれのスクリーニングでも浦田直也氏はハイリスクだと判断できます。

つまり、スクリーニングテストの観点で考えれば、彼は「アルコール依存症の疑い」であると言えます。

しかし、今回のケースは「ビンジ飲酒」によるものであり、アルコール依存症ではないのでは?という見解もあります。

 

「ビンジ飲酒」とは何か?

ビンジ(binge)とは、「大量に短時間で」という意味の形容詞です。

つまり、「ビンジ飲酒」とは、「大量に短時間で飲酒する行為」を指します。

では、大量・短時間の定義はなんなのか?

内閣府で平成27年6月12日に行われたアルコール健康障害対策関係者会議において、久里浜医療センターの樋口進委員が次のように用語を説明しています。

ビンジ飲酒(Binge drinking)

・ 短時間に大量に飲酒すること(日本におけるコンセンサスなし)
・ WHOでは「heavy episodic drinking(大量機会飲酒)」を、1回
60グラム以上の飲酒を30日に1回以上する飲酒と定義
・ 米国NIAAAは、「アルコール血中濃度が0.08g/dLに達する飲
酒」と定義。通常の男性は5ドリンク(70g)、女性は4ドリンク
(56g)を2時間以内に飲酒した場合」(米国の1ドリンクは14g)

 

アルコール60gとは、どのくらいの量なのでしょうか?

 

■アルコール20gに相当するアルコール飲料の量

 

日本酒なら、3合

ビールなら、1.5リットル

ウイスキーなら、ダブル3杯

缶酎ハイなら、4.5缶

これくらい空けてしまう日が月1回でもあったら、「ビンジ飲酒」です。

 

浦田直也氏は当時、朝まで飲んでいて酩酊状態になり、記憶がなくなっている状態です。

「ビンジ飲酒」により、記憶をなくす=「ブラックアウト」を起こしています。

このように、酔い方に異常があるケースを、「異常酩酊」と定義します。

 

酔い方の異常「異常酩酊」は2種類

飲酒してアルコール血中濃度に応じた通常の酩酊を単純酩酊と言います。

一方で血中濃度に対応しないような著しい興奮や幻覚などの精神症状を伴うような酔い方があり、異常酩酊として区別されます。一般的に酒乱と呼ばれる酔い方はこれに含まれます。

日本で使用されている代表的な酩酊分類にBinderの分類があります。

普通の酔っている状態から病的な酩酊状態までを3つに分けています。

そこでは単純酩酊と異常酩酊に大きく二分され、

異常酩酊はさらに

単純酩酊と量的に異なる複雑酩酊 

単純酩酊と質的に異なる病的酩酊 に 2種類に分類されています。

このような分類は、客観的な身体的指標によって決定することができず、症候学的な観察に基づいています。

 

複雑酩酊は、飲酒によって気分の刺激性が高じて、著しい興奮が出現します。持続時間はかなり長く、一時的に鎮まっても興奮が再燃して波状的な経過を辿ることがあります。平常時では抑えられている脳機能の衝動性や未熟性がアルコールによって賦活されたと考えられます。重大な情動犯罪や突発的な自殺につながることもしばしばあります。酩酊時の記憶は断片的であることが多いですが、概括的な記憶は保持されており、限定刑事責任能力が認められます。

 

病的酩酊は、意識障害があり、単純酩酊や複雑酩酊とは質的に異なる状態像を呈します。幻覚が生じたり見当識が失われて、周囲の状況への認知はほとんど不可能になっています。周囲から見ると了解不可能な言動を繰り返し、幻覚・妄想や状況の根本的な誤認から重大な犯罪に及ぶこともあります。刑事責任は原則的には無能力が認定されます。

 

ここで勘違いしてはいけないのは、刑事責任についてです。

「酔っていて覚えていないから責任能力は問われない」というわけではありません。

米国の全国司法統計の有罪者(14,000人余り)の約60%が犯行時にアルコールか薬物を使用し、約30%はアルコール単独の使用群であったという報告があります。

酩酊時の犯罪は一般に暴力や性犯罪につながりやすいことが知られています。

最近では、飲酒行動そのものは本人の自由意志に基づくものなので、その結果としての犯罪行為についても「原因においては自由な行為」という考えから、酩酊犯罪の責任能力に関して刑事政策的にかなり厳しい態度がとられる傾向にあります。

 

また、異常酩酊の基盤や誘引としては、遺伝的な素因・アルコール依存症・脳挫傷や脳梗塞などの脳器質性障害・極度の疲労や衰弱状態などが考えられています。

異常酩酊は繰り返すことが多く、事故や事件に繋がる危険性が高いため、断酒を始めることが必要とされます。

まとめ:なんかいろいろ書いてあるけど、結局どっちなの?

ビンジ飲酒であっても、異常酩酊であっても、その定義によって「アルコール依存症ではない」とは結論付けることはできません。
事実から言えることは、まとめると以下の通りです。
今回の事件を起こした本人は「異常酩酊」になっていた、それは「ビンジ飲酒」という飲むスピードと量の異常が直接的原因で引き起こされた。
そのような「異常酩酊」の背景(基盤・誘因)のひとつには、アルコール依存症が考えられるので、
「アルコール依存症」かどうかは、病院で医師の診断を受けなくては決定できないが、
「アルコール依存症の疑い」があると
医学的かつ客観的にスクリーニングと事件の状況からは、判断できる。
また、異常酩酊は繰り返すことが多いため、断酒を始めることが必要であると考えられる。
これに似た状況に、元サッカー選手の前園真聖さんのケースがあります。
厚生労働省の依存症啓発イベントにも参加している前園真聖さんはアルコール依存症ではないのでしょうか?
「アルコール依存症の疑い」ではあっても、専門病院で医師の診断がつかなければ、厳密にいえば「アルコール依存症」ではない、といえるのが、彼の状況だといえます。
■前園真聖さん 飲酒トラブル概要
2013年10月13日午前9時15分ごろ、自宅近くの路上で、タクシー運転手の男性の右頬を殴った後、右太ももを蹴った疑いで逮捕されたが、男性にケガはなく、その後釈放された。
また会見で報道陣から、過去の飲酒トラブルを聞かれると「昨年10月にも飲酒後、タクシー運転手とトラブルを起こしていた」と初めてではないことを明らかに。「(運転手の)物の言い方などに腹を立て、強い言葉を言った」と経緯を説明。このときはタクシーを手配した知人に運転手が苦情を入れ、前園氏本人が直接謝罪し解決した。
会見したこの日は、もともと香川県でサッカースクールがあり「酒で仕事を飛ばすとは…」と痛恨の面持ち。「言い訳できない。飲もうが飲むまいが、しっかりしなければいけない」と言った上で「断ちます。お酒は」と強い口調で宣言した。
以来、素晴らしいことに断酒をずっと継続しておられます。
専門病院による確定診断・通院・投薬などが行われていないという意味で、「アルコール依存症ではない」といえるでしょう。
しかし、本当に重要なのは、依存症か否か、なのでしょうか?
「アルコール依存症でないから、その人の人格の問題?」
「アルコール依存症だから、病気のせい?」
いやー、違いますよね。
「アルコール依存症であろうとなかろうと、犯した本人の罪は変わらない」
「アルコールで異常酩酊を繰り返す場合は、社会的責任を果たせないので断酒を始める必要がある」
この2つがまぎれもない事実です。
だから、AAAリーダーである彼はこれから被害者の方に対して犯した罪を償わなくてはいけないし、今後、自分のためにも断酒に取り組み始める必要があります。
病気や飲酒の有無は、犯罪の事実のとらえ方を変えるファクターにはなりえない。
病気でないからといって、彼を否定したり非難する権利は被害者以外には、誰にもない。
ただ犯した罪とその再発を防ぐためのメソッドとしての断酒があり、それができない場合の医学的アプローチとして「アルコール依存症」と分類したうえで診断・治療があるのです。
なんだか問題が混在している気がしたので、長くなりましたがまとめてみました。

とにかくまずは被害者の方の回復。

そして彼本人の回復を願ってやみません。

疲れたー。寝よ。


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【依存症】「松村断酒語録」に学ぶ『断酒』の心得とは?

こんにちは、ちあき です。

私たちの地域の断酒会では、「断酒の誓い」を参加者全員で声に出して読んでみる、ということを会の始まりに毎回やっています。

他の地域の断酒会はどうなんでしょうか?

私はまだひとつの地域しかしらないのですが、地域によっては断酒会のなかでもそれぞれのスタイルがあるとか。

おもしろいですね。

今日は、私たちの断酒会に参加すると配られる紙に「松村断酒語録」という53の言葉が載っていたので少し調べてみました。

 

松村春繁 というひと

松村断酒語録は、断酒会の創始者であり全日本断酒連盟初代会長である「松村春繁」の言葉を集めたものと言われています。

 

松村春繁はアルコール依存症患者です。

享年65歳(1905(明治38)年4月1日~1970(昭和45)年1月30日)。すでに亡くなっています。

後免町(現・南国市)の診療所・川田内科より紹介されて来院、下司孝麿が勤務する町田病院精神科外来を受診。1950年~1956年の6年間、高知市内帯屋町二丁目の町田病院内科に5回の入院を繰り返します。

『兄のアルコール依存症死』にも『今際の母の手が振り払った拒絶』にも『妻文子に常子の誕生』にも断酒できず、『主治医のなんともいえない顔』にこれは見捨てられては大変だと、ようやく断酒につながります。医師が医療の敗北を認め、そのとき松村に始めて断酒の意思が芽生えました。

凄絶な酒害体験を経て酒をやめたのは昭和32年、彼が52歳の時。以後65歳で亡くなるまで渾身の力で活動し、断酒会活動に身を捧げました。

昭和38年11月、全日本断酒連盟が高知で結成されたのは、彼の功績があってこそと言われており、いわば日本における『断酒会の始祖』です。

それまで日本では、アルコール依存症患者は「アル中」と呼ばれ、人格的な問題であり治らないもの、と見なされていました。その認識が偏見であることを日本中に知らしめたのが、松村春繁氏でした。

 

松村語録は、全国の仲間達がそんな松村春繁氏より得た、最も感銘の深かった言葉を53に集約し、以後「松村語録」として伝えています。

なお、全断連発刊の『指針と規範』は、この松村語録をもとに作成されています。

 

松村断酒語録

  1. 例会には必ず出席しよう。
  2. 一人で止めることはできない、無駄な抵抗は止めよう。
  3. 断酒に卒業なし。
  4. 今日一日だけ止めよう。そして、その一日一日を積み重ねよう。
  5. 前向きの断酒をしよう。
  6. 例会には夫婦共に出席しよう。
  7. 例会の二時間は断酒の話のみ真剣に。
  8. 自分の断酒の道を見出だそう。
  9. 断酒優先をいつも考えよう。
  10. アル中は心身の病気である。
  11. 例会で宗教や政治の宣伝をしてはいけない。
  12. 酒害者の最大の敵は自分自身であり酒ではない。
  13. 自信過剰は失敗のもと。
  14. 失敗したらすぐ例会へ。
  15. アル中は一家の病気である。
  16. 断酒会は、酒害者の酒害者による酒害者のための会である。
  17. 酒害者は酒のため墓場へ行くか、断酒会で酒を断つか二つの道しかない。
  18. 会員は断酒歴に関係なく平等である。
  19. 自覚なき酒呑みの多い中で入会された勇気に敬意を表する。
  20. 断酒会員には普通の人より何か優れたところがある。
  21. 節酒は出来ないが断酒は出来る。
  22. 飲酒に近づく予防のため自己の酒害を常に認識しよう。
  23. 酒害者に対する奉仕は自分の断酒の糧である。
  24. 仲間の体験をよく聞き、自分の断酒を再確認しよう。
  25. 家族、同僚の協力を得るために、絶対飲んではいけない。
  26. 断酒会に入会すること。
  27. 最初の一杯に口をつけないこと。
  28. 時間励行。
  29. 仲間に励ましの手紙を書こう。
  30. 全国組織の拡大につとめよう。
  31. 厳しさのないところに断酒なし。
  32. 実践第一。
  33. 他力による断酒ではなく、自力、自覚の上に立つ断酒であること。
  34. 失敗しても悲観するな、成功への糧とせよ。
  35. 消極的だが初心者は酒席に出ないこと。
  36. 姓名を堂々と名乗り、断酒会員であることを明確にせよ。
  37. 各人の性格の相違を認め、各人が自らの体験を通じて体得せよ。
  38. お互いが欠点や失敗を話し合って、裸の触れ合いが出来るように努めること。
  39. 酒の奴隷になるな。
  40. 断酒会員であることを誇りに思え。
  41. どんなことがあっても会から離れるな。
  42. 条件をつけて断酒をするな。
  43. 酒害者の最後の一人までも残すな。
  44. 素直な心で話を聞こう。
  45. 一年半したら会の運営に参加しよう。
  46. 私の屍を乗り越えて断酒会を益々発展させて下さい。
  47. 一県、一断酒会。
  48. 会員は人に疑われるような場所に行くな。
  49. 初志貫徹。
  50. 君と僕は同じ体質だ。断酒するより他に生きる道はない。
  51. 語るは最高の治療。
  52. 例会は体験発表に始まり体験発表に終わる。
  53. 聞くは最高の治療。

引用:公益社団法人 全日本断酒連盟 ホームページ

https://www.dansyu-renmei.or.jp/zendanren/goroku.html

 

いかがだったでしょうか。

この語録、その時々、回復の段階で心に響く箇所が変わるような気がするので、おもしろいです。

今見返してみても、「そうだなー」と思うことは変化しているように感じます。

スリップして打ちひしがれていたとき目に飛び込んできたのは、

「一人で止めることはできない、無駄な抵抗は止めよう。」だったなー、とか思い出します。笑

参考になれば幸いです。

 

ではまた。

【依存症】コントロール不可能なことをコントロールしようとしてません?

こんにちは、ちあき です。

今日は断酒会でした。同じ依存症でも、本当にいろいろなひとがいますね。

断酒会の話は秘匿義務があり会のメンバーじゃないと話せないんですが、みんなに知ってもらいたいくらい本当におもしろいそれぞれのストーリーがあります。

Twitterで「市販の物差しで測れるような単位で生きてる人ばかりじゃないンだよ、それぞれ特注」というコメントを拝見してすごく心に響いたので、今日はそんな話をしたいと思います。

 

「許せないこと」はどんなこと?

私は、いろいろ許せませんでした。

例えば、ゴルフ。

明日は接待ゴルフです。私は2年前、明日と同じ得意先との接待ゴルフが嫌で嫌でスリップしました。

「次飲んだら離婚」って妻に言われていたのに、ハイボール3リットル近く飲みました。

 

得意先はゴルフに厳しいタイプでした。

「スコア100切れないのは、真剣に練習していないからだ。練習しろよ~。」

「体鍛えてんのに、こんなにゴルフ下手なんて信じられない、何のために鍛えてるの?」

そんなことを言いながらガハハと笑って断酒してる私の前でビール飲みまくる顧客。

殺意を覚えました。笑

 

でも、一番許せなくて大嫌いだったのは、「自分自身」でした。

ゴルフが下手なかっこ悪い自分。

過去の失敗で降格された惨めな自分。

何より、馬鹿にされても言い返せない、こんなにも情けない自分。

 

そういう大嫌いな自分を見たくなくて、飲みました。

 

帰り道は、後悔で心の中はドロドロでした。

風呂に入っても、サウナに入っても、全然抜けないお酒(3リットル飲んだらそりゃ抜けないよね)。

息も臭い。体中がお酒の匂い。

絶対バレる。

バレたら離婚。

いや、バレないんじゃ…?

というかとても言えない…

でも言わないと…また信用を裏切った

嘘ついた時のあの悲しい顔をまたみるのか…

それは嫌だ

でも正直に言うのも怖い…

 

ぐるぐるぐるぐる。いくら考えても、「飲んだ」っていう事実は変わらないのに。

何度も間違える自分が、最も許せない存在でした。

 

その「許せない」って、コントロールできないことじゃない?

でも、自分は「自分」でしかないんですよね。

 

アルコールに負け続けてきた自分。

人に嫌われることが恐ろしくてたまらない自分。

自分の言いたいことも言えない自分。

誰かに認めてもらわないと安心できない自分。

 

ぜーんぶひっくるめて、私は「私」でしかない。

 

人の生き方も個性も、それぞれ全部『特注品』なのだから、

一つも欠けてない人間なんていないし、全部正しくできるわけない。

 

「世間的に」「常識的に」正しいか間違っているかを判断するのは、実は簡単です。

自分にとって「正しい」かどうか、それが自分や自分以外の人にとって「優しい」かどうかを判断することのほうが、よっぽど難しいことです。

 

「自分が許せない」と思ってきた私は、「自分をコントロールできる」と思い込んでいたと思います。

そんなこと、できなくて当たり前だったのに。

いろいろな人が関わって私の人生や私は形作られていくのに、それをコントロールしようとすることは、関わる全ての事象や人物をコントロールしよう、と考えることです。

 

今日、妻と娘と愛犬2匹で散歩をしているときに、娘の将来の話になりました。

私「娘ちゃんはどんな人生を生きるんだろうか」

私「俺みたいにお酒で失敗しないといいけど…」といった私に、

( ̄∇ ̄;)ハッハッハ、そうだね~ と言いながら妻は次のように言いました。

妻「でも、娘ちゃんが生きる人生だから、本人が決めるよ。飲むか、飲まないかも、本人が決めて、経験して生きていくんだから、私たちには結局コントロールすることなんてできないよね。伝えることと、信じることの2つくらいしか、親だけど他人の私たち二人にできることなんてないのよ。」

何気なく言われたこの言葉に、ガーンと頭殴られたみたいでした。

 

あんなにあれやこれや言ってきて私をコントロールしようとしてきた共依存の自覚がない実母を憎んでいたのに、同じようなことを考えていたんだな、と。

 

自分の人生すら、こんなに波乱万丈でコントロールできたことなんて何にもないのに、

いわんや他人の人生をや、ですよね。笑

娘といえど、妻といえど、息子といえど、自分ですら、ないのだから。

コントロールすることなど、できるはずがないのです。

 

コントロールしたくなるのは、結果が欲しいから。

結果が欲しいのは、自己肯定感がないから。

自己肯定感は、「〇〇ができているから自分は価値がある」ではないんですよね。

「こんなに欠けてばかりの自分も悪くない、こんなのでも、そのままで安心して生きていてもいいんだよね」と思えることですから。

 

結果的には、どんな人生でも、一生懸命生きている限り、それぞれ特注のストーリーがあり、特注に値する価値がある。

なぜなら、存在するということは、それすなわち影響する、ということだからです。

この世界に、影響を少なからず及ぼしている。それは、まぎれもない価値です。

だから、どんなに欠けていても、どんなに至らなくても、それは貴重な「特注品」なんですね。

 

まとめ:コントロールできなくても、いいじゃない

私は、お酒でたくさんの人に迷惑を掛けました。

会社で最下層まで降格されましたし「辞めてほしい」と何度も言われたことがあります。

めったに泣かない妻を泣かせ何度も裏切りました。

だけど、その根本は、コントロールできないものに一生懸命力を注いで疲れ切ったから。

なんで一生懸命力を注いだか?

一生懸命この辛い人生を自分なりに生きようとしたからじゃあ、なかったか?

 

じゃあ、やってきたことは間違っていたけれど、もともと思っていた私の素直な気持ちは、素直な私はそんなに悪いやつじゃなかったんじゃないの?

そう思ったら、俺みたいなのでも素直に生きててもいいんだな、ってやっと思えました。

ゴルフが下手でも、いいじゃない。

仕事が完璧じゃなくたって、いいじゃない。

ゴルフなんてただの玉打ち遊びなんだし、仕事も人生のほんの一部なんだから。

そんなことに怯えながら、キョロキョロおどおど、しなくていいじゃない。

自分に素直に生きたほうが、私の場合は、お酒を飲んでいたころより幸せなことに気づきました。

飲まないで生きている今のほうが、飲んでいた時よりも幸せだなんて!

断酒し始めは信じられませんでしたよ。

「あー、唯一の支えを頼れなくなった…オワタ」と思ってました。

「あとの人生は何の楽しみもないけど生きないといけないから生きる消化試合」みたいな。笑

そう思って断酒辛くなる時、あるじゃないですか。

でも、私の場合は、断酒して1年9ヶ月の『今が一番幸せ』だと思います。

だから、私は断酒してよかった、と思うし、これからも断酒して生きていきたい、と思うのです。

 

今日はこれまで。

読んでくださってありがとうございました。

 


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【依存症】断酒会ってどんなことするの?(アルコール依存症)

こんにちは、ちあき です。

昨日は久しぶりに断酒会に行けました。よかったー!

私が通院している病院の断酒会は毎週土曜日にあるんですが、研究会のお手伝いやらゴルフやら花見やら、この季節は本当に得意先の行事が多すぎて土日がほぼ潰れるんですよね…。

何を隠そう、私はこの断酒会に繋がれたおかげで断酒が継続できるようになりましたし、逆に離れたことによって1回スリップしています。

そんな私にとってかけがえのない断酒会という会、いったいどんな会なの?ということで今回は書いてみたいと思います。

 

断酒会=アルコール依存症からの回復を目指す「自助グループ」

自助グループ、という言葉も聞きなれないかと思います。

こちらの過去記事 で展開過程やどのような作用が期待できるのか、社会福祉士としての視点でまとめています。

簡単に言えば、「やめたいと思っている依存症当事者やその家族が自ら主体的にお互いを助け合うためのグループ」です。

特に依存症からの回復には、自助グループの力が欠かせないと言われています。

 

断酒会って、具体的には何するところなの?

こちらが私たちの断酒会のタイムスケジュールです。

19:00 集合 会がスタート

断酒の誓い を皆で唱和する

①家族側 の酒害体験を話す

②当事者側 の酒害体験を話す

21:00 終了 解散

当事者やその家族が、正直な気持ちや、失敗について振り返り、話す会です。

特徴的なのが、「聞きっぱなし」「言いっぱなし」です。

誰が何を話しても、黙って聞くだけ。否定したりしません。

逆に、何を話しても否定されることはありません。

だから、自分がその時に感じていること、

たとえば「正直言って今すぐにでも飲みたい」とか

「家族が憎くて毎日首を絞めてしまいたいと思っていた」とか

とにかく話して、とにかく聞く。

 

これだけ?これだけで何が変わるの?

 

と思うでしょう?

 

私も参加する前はそう思っていました。

「こんな人生踏み外したアル中ばっかり集まって、何を話したって無駄だ」

「何、傷の舐めあいしてんだよ、くだらねーな」

「みんな断酒してるとか言って本当は裏で酒飲んでんじゃねーのかよ」

って、正直思ってました。(笑)

 

でも、ずっとみんなの話を聞いていて、

私の話をする番が来て、

もうどうしたらいいかわからなくてたどり着いたことを話して、

何も言わずに同じような悩みで苦しんできた人がただ黙って聞いてくれて、

それだけで、帰り道、涙がとまりませんでした。

 

「ああ、ひとりじゃなかったんだ」

 

って、心底思いました。

だって、その断酒会には、たくさんいたからです。

苦しんだ自分、酒をまだ飲みたい自分。

自分と同じ気持ちで、それでも自分に向き合っている「もう一人の私」がたくさんいたからです。

世間の常識でも間違っている、私も間違っていると思っている、

でもどうしようもないこの感情を、そのまま話してそのまま聞いてくれる。

「そういうこともあるよね、わかるよ。」という心が、言葉でなくても感じる。

私は私が思っていることを自分自身でも、受け容れられていなくて

でも誰かに受け容れてほしかった、私自身も受け容れたかったんだ、と。

 

私たち夫婦が入室した時、老夫婦がニコニコしながら迎えてくれました。

その人たちは壮絶な酒害体験を経て、今26年断酒して夫婦仲良く暮らしていました。

「こんな未来があるのか」「まだ死ななくてもいいのかもしれない」

私たちにとって、その後姿が、どれだけ救いになったことでしょう。

 

「理解と共感で心の穴が埋まる」

「安心できる居場所ができる」

 

そんな風に、私たちにとっては、素敵な出会いが断酒会にはありました。

 

お金はかかるの?誰でも参加できるの?どこで探せばいいの?

断酒会は、「断酒会」と「家族会」など、いくつか酒類があります。

  • 断酒会…依存症当事者とその家族が参加する会(本記事で取り上げている会)
  • 家族会…当事者は居なく、家族だけで集まる会
  • 女性の会…女性だけで当事者や家族が集まる会

本人がいる前では話せない人や、女性だけでないと話しにくい内容がある人も素直に話ができるように、様々な形式があります。

 

そして、断酒会は会費制です。

私の会では、毎月500円ですね。そんなに負担にはなりません。

「世話人」と呼ばれるリーダー役の人がいます。

司会などを担当してくれていますが、その人に会費を毎月月初に渡すかたちです。

特に参加資格などはなく、事前の連絡も必要ありません。

ちょっと早めに来て、「今日は初めてです」と言えば、快く受け入れてくれます。

安心して覗いてみてください。

 

公益社団法人全日本断酒連盟

☝全国にそれぞれ断酒会がありますので、お住まいの地域で近いところを探してみてください。

断酒会も雰囲気がそれぞれ違うので、素直に話しにくいな、とか、ここで話を聞いているとつらいな、ということもあると思います。

もしそう感じたら、「自分が安心できる断酒会」を探していくつか顔を出してみてください。

貴方の居場所はどこかに必ずあると信じています。

 

だらしない夫じゃなくて依存症でした 第6話

☝この漫画がわかりやすく自助グループについてまとめてくださっています。

ここまで読んでみて、ちょっととっつきにくいな、と感じた人は、ぜひ読んでみてください。

もっとわかりやすく書いてくださってます。

 

まとめ:断酒の誓い

いかがだったでしょうか?

最後に、いつも断酒会で言葉に出す「断酒の誓い」と書いて締めくくりたいと思います。

いつも、この言葉は新しい発見があって、奥が深いなぁと感じます。

 

一、私たちは酒に対して無力であり、自分ひとりの力だけではどうにもならなかったことを認めます。

一、私たちは断酒例会に出席し、自分を率直に語ります。

一、私たちは酒害体験を掘り起こし、過去の過ちを素直に認めます。

一、私たちは自分を改革する努力をし、新しい人生を創ります。

一、私たちは家族はもとより、迷惑をかけた人たちに償いをします。

一、私たちは断酒の喜びを酒害に悩む人たちに伝えます。

 


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では、また!

【依存症】アルコール依存症という病をつらくて受け容れられないときは

こんにちは、 ちあき です。

 

突然ですが、今日は詩を紹介したいと思います。

少し前のドラマで話題になった詩です。ご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか?

「オランダへようこそ」は、1987年、ダウン症児のお母さんであるエミリー・パール・キングスレーさんが書かれた文章です。

私は、この詩を読んで、私たち夫婦は子供の「出生前診断」をしないことに決めました。

そして、この詩を私はアルコール依存症になった自分に重ね合わせて読むことで、アルコール依存症を受け容れられた気がします。

 

まずは、読んでみてください。

 

「オランダへようこそ」

 

私はよく障害を持つ子供を育てるって、どんな感じか聞かれることがあります。

 

障害児を育てるというユニークな体験をしたことがない人が理解できるように、どんな感じか想像できるようにこんな話をします。

 

赤ちゃんの誕生を待つことは、すてきな旅行の計画をすることに似ています。

 

そう、旅行先はイタリア。

ガイドブックをどっさり買い込み、現地での素敵な計画を立てます。

ローマのコロッセオ。

ミケランジェロのダビデ像。

ベニスのゴンドラ。

 

簡単なイタリア語を覚えるかも知れません。それはどれも、ワクワクすることです。

そして、期待を胸にいっぱいに、数ヶ月の後、待ちに待ったその日がやってきます。

カバンに荷物を詰め込み、さあ出発です。

 

数時間後、飛行機が着陸します。

スチュワーデスがやって来て、告げるのです。

 

「オランダへようこそ」と。

 

「オランダですって?」とあなたは驚き聞き返します。

 

「オランダってどういうこと?私はイタリアへ行くはずだったのよ!これまでずっと私はイタリアを夢見てきたのに!」

 

しかし、飛行計画が変更になったのです。

オランダへ着陸したのです。

あなたはそこに滞在しなければならないのです。

 

ここで考えて欲しいのは、あなたが連れてこられた場所は、疫病や、飢饉や、病気が蔓延する、恐ろしく、ひどく、ゾッとするような所でははないと言うことです。

 

ただ、そこは、ちょっと違う場所なのです。

 

だから、あなたは新しいガイドブックを買いに外に出て行かなくちゃいけません。

それから、新しい言葉も覚えなくちゃいけません。

 

そうすれば、あなたにはこれまで出逢ったことのない人々と出逢うことでしょう。

 

ちょっと違う場所へ来ただけなのです。

 

イタリアに比べて、時はゆっくりと過ぎていき、イタリアのような華やかさはありません。

 

でもしばらくここにいて、深く息を吸いこんで、周りをみわたすと…

オランダには風車があることに気がつきます。

 

チューリップにも気が付きます。

 

そして、オランダにはレンブラントの絵もあることに気が付くでしょう。

 

 

 

でも、あなたの知人たちは、イタリアに行ったり来たりでせわしなくしていて、皆、イタリアでどんなに素敵な時を過ごしてきたかを自慢するのです。

 

そして、あなたはこの先もずっと

 

「そうなの、イタリアは私も行くはずだった場所なの。私が計画していたのはイタリア行きだったの。」

 

と、言い続けるでしょう。

 

 

イタリアへ行けなかった痛みは決して消えることのないものでしょう。

なぜなら、失った夢はあまりにも大きすぎるからです。

 

 

しかし、イタリアに行けなかったことをこの先もずっと嘆いていたら、

オランダのすばらしさや、美しさを心から楽しむことは決してできないでしょう。

 

アルコール依存症者にとってのイタリアとオランダ

私は、正直この詩を読むたびに、今でも涙が出るのです。

 

イタリアは、適度に酒を楽しめる、今はもうあり得ない酒とともにある「偽り」の人生。

 

オランダは、アルコール依存症で、いろいろ、本当に大切なものを無くして、酒は一生飲まないと誓った、世間一般とは少し違う、しかし「本当の自分」としての人生。

 

ここで重要なのは、イタリアに行きたかったってことから目を背けないことです。

 

最初イタリアへ行くはずだった、イタリアへ行けなかったことに痛みを感じている、という素直な気持ちを否定しないことです。

正直、アルコールで酩酊し続けていた時というのは、化学物質で脳内麻薬がドバドバ出ていた状態です。

 

「飲んでいたころは楽しかった」

「あんなに気分が高揚することはない」

「お酒の代わりになる楽しみが見つからない」

 

そりゃそうです。

そうなります。

そう思っても悪いこと、何にもないです。

ナチュラルに生きていては得られない、度を越したアルコールによる快楽物質に、私たちの脳はずっと浸ってきたんですから。

毎日ドーピングしてきたのに、ナチュラルな世界にスッと戻ってきたからといって、そんな簡単に、一朝一夕に「ああ、シラフって楽しいな」とは思えなくて当然です。

 

しかし、私たちは生きていくことを選びました。

イタリアで緩やかに自殺することはしたくないから、

断酒して人間らしい生活をすることを選んで、オランダに来たのです。

 

酒を好きなだけ飲めたけれど破滅する、あのイタリアにはもう、戻れないんです。

私たちが今いるのが、予定外のオランダだとしても、私たちはもう、オランダに着いてしまったのだから。

 

イタリアがいいと泣き叫んでも、イタリアの良さを羨ましがっても、私たちがいるのはオランダで、もうイタリアには行けないのです。

 

でも、到着地が少し予定と違っただけ。

 

オランダのすばらしさや美しさは、逆にイタリアに住むみんなにはわからないように、断酒の良さは断酒している人にしかわかりません。

 

 

オランダの良さも、

イタリアの良さも、

両方知っているということは、とても素晴らしい経験だったと、いつか思えるはずだから、我々は断酒して生きているのだと思います。

今日は、そんなことを思い出しました。

 

では、また!


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【依存症】アルコール依存症:どん底のときの日記を振り返ってみた

こんにちは、 ちあき です。

私は断酒を始めてから、日記がてらamebloにブログを書いて更新していました。

amebloは便利なもので、「1年前の今日」とか「2年前の今日」とかいう記事を振り返り投稿できるように案内してくれます。

先日、ちょうど3回目のスリップを経験した日のブログが案内されて内容を読んでいて当時のことを思い出したので、少し振り返ってみようと思います。

 

生きている価値がないと思っていた

当時、こんなことを書いていました。

アルコール依存性です。

妻から、次やったら離婚だからね、と言われていたのに、
また隠れて飲みました。
匂いですぐにバレました。

もう、情けなくて消えてなくなりたい。
早く終わりにしたい。
あと何十年も、こんな自分で生きて行かなくてはいけない。

どうしても、飲んだ時の酩酊状態に勝る、趣味や息抜きが見つけられない。
最終的に飲酒を望む、この頭はもう病気なのだ。
昨日、死ぬほど恥ずかしいけど、もう自分では無理だと悟った。
妻にも、病気だから病院にいこう、と言われた。

本当にそうだ。

妻に幸せになってほしいのに、全く逆に苦しめるだけの自分など、消えたほうがいいと思う反面、結婚までしてくれた、一度はまた信じてくれた妻がいる限り、絶対諦めてはいけない、と踏ん張る自分がいる。

人が嫌いで、自分がもっと嫌いで、心踊ることは一つもなくて、
毎日悪夢で手足が動くのを薬で押さえつけて。
信じてくれた人を裏切ってまで隠れて飲んで。
私とは一体なんなんだろう。
何回、間違えば気がすむのだろう。
どれだけ、愚かなことを続けるのだろう。

生きて行かなくてはいけないのに、
生きているのは、こんなにも情けなくて恥ずかしくて辛い。
周りにはもっと不遇でも人生を前向きに生きている人がたくさんいるのに、
わたしは弱くて狡くて、こんなにも下らない。

陽が当たらないところで、一生謝りながら生きていくなんて嫌だ。
でも何回も間違える。負ける。

俺は、生きていたいはずだ。
反面、義務さえ果たして終わらせてしまいたいとも思っている。

生きているのって、何がたのしいのだろう。

 

2017年04月24日(月) 10時25分00秒

https://ameblo.jp/bee0669/entry-12268462003.html

 

暗い!!

超絶暗い!

絶望しか感じさせないこの文章。

 

当時、「生きていたいかどうか」すら、わからない状態でした。

「私は生きている価値がないのではないか?」

「こんなに苦しみながら生きることに意味はあるのか?」

自己肯定感は欠片もなく、とにかく生きているのが苦しくて辛くてもうやめたい、

というのが率直な気持ちだったと思います。

三森みさ先生の「だらしない夫じゃなくて依存症でした」でも描写がありましたが、

シラフの世界がすごくしんどくて

なのにもうお酒なしで生きることを考えると

ずっと消えたかったな

という依存症者本人のショウちゃんと同じ心境でした。

 

違いは「独り」か「独りじゃない」か

スリップする前の記事に、こんなことを書いています。

生きてさえいれば、まだ感じることができる。

死んでしまってはおしまいだけど、
生きてさえいれば、喜びも悲しみも味わうことができる。
自分自身を生きることに躊躇している暇はない。
誰かに気を使って我慢しながら生きられるほど、人の一生に余裕はない。

生まれてきたことに意味はないかもしれない。
生まれたからには生きる権利と責任はある。
産んでくれた人に恩を返す責任ではない。
自分自身に向き合って正直に生き切る権利と責任が、
私たち一人ひとりにある。

だから、他人がどうであれ、
自分自身を裏切って誤魔化しながら生きるな。
生きるからには、言い訳しながら周りばかり伺うな。
私が、あなたが、主人公であり、
自分自身だけが、
一番自分自身を大切にしてやれる存在だということを忘れるな。

誰かのために生きるな。
誰かに、せっかくもらったたった一つの命を預けるな。
生きる権利を大切に。
同じように生きる他人を尊重し、
自分自身の人生を一歩も譲らない。

それでいい。
そうでなくては、生きているとは言えない。
周りに『生きている振り』をしているだけだ。

自分に負けるな。
他人を気にするな。
自分の声を無視しないであげてほしい。

2017年04月21日(金) 23時42分00秒

https://ameblo.jp/bee0669/entry-12267787324.html

 

こう考えていることは間違いではなかったし、

このように悩みを言語化して書いているということは、

生きたい、生きよう、としていたのでしょう。

でも、足りなかった。

 

「独りでは無力なんだ」という認識が足りなかった。

 

「独りでなんとかしなければ」と思っていたのです。

私は社会人なんだから・成人しているいい大人なんだから、

他人に頼ってはいけない、と思っていたのが間違いでした。

『義務感』で「ちゃんと正しく生きなくては」と思っていました。

 

人は、そんなに正しくないし、強くない。

独りでできる事など、限られているのです。

だから、断酒会に初めて参加したときのことを、こんな風に書いています。

 

アルコール依存症の院内例会(断酒会)に参加した。

私がたくさんいた。いてくれた。
同じ惨めさや苦しみを味わったことのある、
理解者たちがそこはたくさんいた。

理由は様々だし、入院したり警察沙汰になったり、
プライバシーなので詳しくはかけないが、
私より凄まじい体験をしていながら、
20年以上断酒を続けている先輩方がそこにはたくさんいた。

あぁ、よかった。

私はアルコール依存症になってよかった。

苦しんで死ぬか生きるか悩んでよかった。

どうしようもない苦しみを味わったから、
ありのままの自分を認めることができた。

自分を許せたから、本当に他人を信じることができるようになった。

俺だけじゃなかった。

2017年05月18日(木) 21時31分00秒

https://ameblo.jp/bee0669/entry-12275871595.html

 

まだここからいろいろ思い悩むんですが、「ここで救われたなー」と今振り返ると思います。

「俺だけじゃなかった」

っていう一言にすべてが集約されていて、

この感覚を今まで感じることができなかったから、

拭い去れない孤独感を感じて、

それがきっかけでお酒に頼ることになった。

ASDで理解されなくて孤立して「あいつはおかしい」とクスクス後ろ指を指されて

他人を頼らず信用せず生きてきたひとつの結果が、アルコール依存症だった。

でも、その病気のおかげで、一番欠けていた「心の穴」に気づけた。

だから、私はアルコール依存症になってよかった、と書いたんだと思います。

 

誰でもない、自分自身が、自分を許していないから、

自分のまま自分がやりたいように生きていくのが怖かった。

「正しさ」という『許可証』が必要だと思い込んでいたのでした。

だから他人が自由に生きているのも許せなかったし、

正しくないことに対して尋常でない怒りを抱いていました。

 

そういう束縛から解き放たれる最も最初のきっかけが、

「断酒会」という自助グループへの参加であり、

同じ悩みを持つ仲間との交流でした。

 

だから、今悩んでいる人に伝えたいことは。

「独りで悩まないでいい。私たちを信じて、一度相談してみてください。」ということ。

ダメ元でもいい、悩んでいるなら、相談してみる価値はあると思います。

全国の精神保健福祉センター一覧(厚生労働省HP)

 

あなたは、本当はひとりじゃない。

その寂しさを分かってくれる人が、すぐ近くに、きっといます。

私が、そうだったように。


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【依存症】今までやらかしたスリップ(再飲酒)を全て告白するよ!

こんにちは、ちあき です。

この時期はスリップ(再飲酒)が多くなりやすいですね。

社会人では、異動という環境変化に伴い、送別会や歓迎会があります。

今回は、私がやらかしてきたしくじり(再飲酒)と

専門病院や断酒会に繋がるまでを赤裸々に書き綴りたいと思います。

 

 

○2015年3月1日 運命の日

断酒に真剣に取り組み始めた日。

泥酔して仕事現場に来たことが上層部の人間の逆鱗に触れる。

酒による失敗の積み重ねから、

「もうこいつはダメだ」と懲戒解雇すべく上司や会社が動く。

数週間、自宅謹慎。出社停止。

仕事を干されてやる事がなく、

ただただ謝り続ける日々が続く。

その後、懲戒処分「戒告」を受ける。

罵詈雑言を浴びつつも粛々と仕事に励む。

 

○2015年 9月 入籍

 

○2015年11月 挙式

 

○2016年4月 転勤

 

○2016年6月 再飲酒(スリップ)1回目

懲戒処分事情を噂で知った同期に、

同期会でバカにされ飲酒をしつこく勧められたことに耐えかね、再飲酒。

その日からたびたび、体裁上口をつけ、

後で喉に手を入れて嘔吐する悪癖がつくようになる。

同期会を皮切りに、宴会やゴルフ接待でも勧められたら断ることができなくなる。

自宅に飲酒運転でたびたび帰宅していた。

妻は、匂いで気づいていたが、

まだ当時はアルコール依存症だとは想像していなかったという。

 

○2016年7月 アルコールに対する意識が低下

自分の実家に帰省した際、出先で妻の慰労をしたとき、旅館で飲酒。

私も妻も病識がまだ甘かった。節酒できるのではないか、という驕りがあった。

そこから、たびたび機会飲酒状態となる。

 

○2017年1月1日 大スリップ(2回目)

「正月なんだし1日くらいいいんじゃないんか?」

そう勧められて、

ストレスがピークに達していたことを口実に完全に自分から乗り、

妻の実家でビールを1ケース(24本)開けた。

ブラックアウト。

止まらなかった。

記憶が飛んだ間に、我慢してきた怒りが爆発。

罵詈雑言を撒き散らした。醜態。

 

○2017年4月末 スリップ(3回目)

スコアに煩い得意先とのゴルフコンペが嫌でたまらなく、

プレッシャーに押し潰されそうになり、

それを口実にアルコールに手をつけ、嫌悪感から目を背けようとした。

気づけば酒量はハイボール3リットルに及び、

帰宅時にも呼気に残り、体からも臭っていた。

完全に飲酒運転。

帰ってきて、妻に即バレする。

捕まっていたら懲戒解雇。

「次飲んだら離婚」と言われていたのに飲んだことは、

妻にとって途轍もなくショックな出来事であったため、

この時初めて、妻が泣きながら調べてくれた。

アルコール依存症専門病院があることを知った私たち夫婦は、病院の門を叩いた。

 

○2017年7月末 隠れ酒してスリップ(4回目)

妻が友人の結婚式で地元に旅立ち、1人になり、

虚無感に襲われ、妻がいない隙にちょっとだけなら、と鎌首をもたげ、スリップ。

飲酒欲求を鎮めるため、当時ストレス解消方法だったスポーツジムに行き、

瞑想にも取り組んだが、スリップした。

この1人では抗えなかった事実から、通院、薬物治療、断酒会。

この三本柱が要だと理解した。

断酒会から遠ざかり、薬物治療も継続していなかったことを反省した。

同時に、断酒3ヶ月から1年にかけて、

『ドライドランク』という症状が発現しやすく、

激しい焦燥感やイライラ、不安、抑鬱、過信に目を眩まされやすいことを学んだ。

それ以来、毎週土曜に開催される断酒会に妻と毎回出席。(仕事で行けない日以外)

シアナマイドを毎朝服薬。

月に1回、アルコール依存症専門病院と心療内科に通院している。

ドライドランクから来る精神症状である

「不安感」「焦燥感」「イライラ」「希死想念」に

薬剤による対症療法を行いながら断酒を継続。

現在に至る。

 

いかがでしたか?

なかなか一筋縄ではいかないのが、この病気の難しいところですよね。

スリップしてしまって落ち込み、恥ずかしくて情けなくてもう消えてしまいたい、

とスリップするたびに何回も思いました。

その度に「こういう時スリップしやすいな」という経験値を重ねられたので、

今、スリップを回避できています。

そう。

スリップという失敗は、失敗じゃない。

活かせば今までの止めた時間は無駄ではない。

そう言い聞かせて、一日一日、やっていけたらな、と思います。

 

では、また!


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【依存症】知ってますか?急性離脱後症候群(Post Acute Withdrawal Syndrome:PAWS)

こんにちは! ちあき です。

今回は、ドライドランクにまつわる自分の失敗(再飲酒)から学んだある症状について、書いてみようと思います。

急性離脱後症候群(Post Acute Withdrawal Syndrome:PAWS)

耳慣れない言葉ですが、みなさんご存知ですか?

私は最初に断酒をはじめて1年3ヶ月後、スリップ(再飲酒)しました。
それからは3ヶ月~6ヶ月くらいの間隔で、なぜか繰り返しスリップするようになってしまいました。

断酒して1ヶ月~3ヶ月は、体調が回復してきて、清々しい朝を迎えられる有難みを感じて、幸せな気持ちになれます。

しかし、3ヶ月を超えてから

 

 

なぜか不安になる、なぜか苛々する…

当時の私は、PAWSの特徴である下記の項目に該当していました。

 

急性離脱後症候群(PAWS)の特徴

症状は断酒開始後3~6ヵ月目で最も強くなり、6ヵ月~2年で回復する。

○思考プロセス障害(脳の働きにムラがある; 頑なで諄(くど)い思考、因果関係を理解できない)

○情動障害(情動の揺れ)

○記憶障害(短期記憶の障害)

○睡眠障害

○身体的協働性に問題

○ストレス感受性に変化

特に私の場合は、思考プロセス障害、睡眠障害、情動障害、ストレス感受性 の順番に陥りやすい傾向にありました。
とにかく拘りが強く頑なになり、毎朝○時に起きる、夜は○時からトレーニングをする、などの自分で決めたルーティーンが1回でもちゃんとできないと落ち着かなかったりしました。
寝言をはっきり喋る、寝ているときに夢と同じように体が動いてしまう、などの症状が特徴の「REM睡眠行動障害」を併発していて、毎日悪夢(だいたい殴り合いや拷問を受けたりしている夢)をみていました。
いきなり叫びだしたり、壁を殴って痛みで目が覚めたり、

妻に寝たまま膝蹴りをしてキレた妻にベッドから蹴り落とされて目が覚めたり…。笑

あなたがもしも、そんな苦しみの中にいるなら、とにもかくにも「1年」を目指しましょう。
堂々と、無理をしないで、一番楽なようにしていて、いいんです。
仕事なんて、できなくてもいい。後でいくらでもできます。私がそうでした。保証します。
ぜんぜん、焦らなくてもいいんです。
心を落ち着けて休むのが今はあなたにとって最も重要な「仕事」です。
「絶対に無理をしないこと」
「焦っても絶対にがんばりすぎないこと」
私は自分自身のしくじりを通じて、
断酒3ヶ月目~6か月目は、本当に無理しないことだけに徹すればよかった、と反省しています。
とにかく1年間経てば、かなり楽になります。
私は度重なるありがたいしくじり経験のおかげ(笑)で「1年経つと体も心もスッと楽になる感覚」を 合計2回 味わっているので、経験から、これは確からしい、と考えています。
「今感じている苦しみは、この時期のこういう症状なのか」
と自分が置かれている状況を認識できれば、思考の偏りを客観的に分析することができるので、誰よりまず自分が納得できます。
それが、断酒生活を送り続けるために重要な視点になります。
日々、一歩一歩、一日一日。焦らずにいきましょう。
私も、まだまだ断酒に取り組みだしてから3年の若輩者です。無理なく論理的に考え、進んでいきたいものです。お互い、あきらめずにマイペースで取り組んでいきたいですね。
では、また!


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【依存症】アルコール依存症「ドライドランク」自己診断チェックリスト

こんにちは、 ちあき です!

今回は、病院から教えてもらった、ドライドランクの自己診断チェックリストを公開します。

当てはまるものにチェックします。

何個以上などという基準はなく、当てはまったらドライドランクの可能性あり。

こういう思考になるのは、アルコールのせい、ドライドランクのせいであり、

決して、あなたの性格が悪いのではありません。

そのことに気づいていただくための、チェックリストであるといえます。

 

ドライドランク自己診断チェックリスト

 

1 ( ) 周囲の人のやることなすことに腹が立つ

2 ( ) 自分のつらさを分ってくれる人なんて誰もいないと思う

3 ( ) もう一生酒を飲めない自分はとても不幸だと思う

4 ( ) うれしいことがあると浮かれやすくなった

5 ( ) 思いのほか口が達者になって人と話し始めたら止まらない

6 ( ) 断酒が続いているのを家族が褒めてくれないので面白くない

7 ( ) 家族の中で自分の立場がなく、情けない

8 ( ) 気分がよくなったので仕事に復帰しても大丈夫と自信がある

9 ( ) 仕事上のブランクを早く取り戻したいと焦りがある

10 ( ) 酒のせいで出世コースから外れた悔しさでいっぱい

11 ( ) 仕事上の悩みが一日中頭から離れない

12 ( ) 身近にいる好みのタイプの異性にむしょうに惹かれている

13 ( ) 時間を持て余していてギャンブルがむやみにしたくなっている

14 ( ) 自分は他の人よりひどくないと思う

15 ( ) 飲みたい気持ちが早くも薄れたので、もう回復できたと思う

16 ( ) 一日が長く感じ、そわそわザワザワして落ち着かないときがある

17 ( ) 半ば意識が飛んで、自分が今何をやっているのか分かっていないことがある

18 ( ) 酒ぐらい一人で簡単にやめられると思う

19 ( ) 抗酒剤を飲まなくても酒はやめられると思う

20 ( ) ノンアルコールのビールなら飲んでみたいと思う

21 ( ) これだけ断酒を続けたから、一杯ぐらい大丈だと思う

22 ( ) 自分はたとえ酒席に出ても絶対に飲まない自信があると思う

23 ( ) 体験談を語るときは、通り一遍の話を繰り返している

24 ( ) 自助会のミーティングからしばらく足が遠のいている

25 ( ) 他の人の体験談はどの人の話も同じに聞こえ飽き飽きする

 

いかがでしたか?

 

私はほぼすべて当てはまり、最初のスリップを経験しました。

実際にスリップを繰り返して見返してみると、やっぱり当時は異常な状態だったのかな、と思います。

特に、

・1杯くらいなら大丈夫だと思う

・酒席に出ても絶対に飲まない自信がある

このふたつ。大丈夫じゃなかったし、酒に近づいたから実際飲んでしまいました。

 

1年経つまでは、お酒を遠ざけるのが一番です。

君子危うきに近寄らず、というやつですね。まだまだ気を付けなくてはなりません。

 

では、また!


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