【メンタル】ストレスの概念・理論とストレスマネジメントの実践

今回は、ストレスの概念・理論について整理する。

ストレスの語源

ストレスという言葉の由来は、中世のフランス語「ディストレス」である。

ラテン語の「加圧する」という意味から派生した言葉で、19世紀に入って物理学の正式な科学用語になった。ストレスは物体に何らかの力が加わって、結果物体の形が変わったり緊張した状態になるときの力を指す用語として物理学で用いられ、社会的には、身体的健康や心理的幸福感を脅かすと知覚される力を指す。

そうした力を生む出来事をストレッサーと呼び、ストレッサーにたいする人々の反応が、ストレス反応である。

ストレスと自己開示・自己呈示

ここで問題なのは、同じストレッサーに直面した場合でも、感じるストレスには個人差がある、という事実である。

ストレスの大きさはストレッサーそのものの深刻さにもちろん影響を受けるが、ストレスに対面する人の認識によって大きく影響が変わる。たとえば内罰的であるか他罰的であるかや、それまでの人生経験でどのように人に扱われてきたかは、その人のアイデンティティに大きな影響を与え今日のその人を形づくっている。

物事の受け取り方、という側面でより深くストレスについて考える場合、人との関わり、特に自己開示と自己呈示について正確に理解しておく必要がある。

自己開示とは、あるがままの自分について相手に伝える事である。自己開示による働きは3つあり、感情浄化・自己明確化・社会的妥当化がある。

感情浄化は心の葛藤の中心になっている思考や感情を他社に伝えて鬱積した感情を発散する浄化効果のこと。

自己明確化とは、自分の想いを話しているうちに自分の考えが次第にまとまりはっきりしてくる働き。

社会的妥当化とは、自己開示しているうちに何らかの意見や評価や反応がフィードバックされることで、今まで気づかなかった自分の別の側面を知ったり、他人の意見と比較して健全な自己評価ができるようになる働き。

自己開示と似て非なるものが、自己呈示である。

自己呈示は、「このように見てほしい・相手に見せたい」という自分のキャラクターを表現することである。

自尊心を維持したり高めたりする働きがあるが、主な行動としては、弁明・正当化・謝罪・取り入り(ごますり)・威嚇・自己宣伝・哀願などである。

このような具体的な行動から想起できるかと思うが、ありのままではない自分をプロモーションするために様々な行動を提示して認められようとする行為は、一時的に自尊心を満たしてくれるかもしれない。しかしながら、本当の自分を認めてもらえていない状態でいくら表面上尊敬されたとしても、それは自身が造り上げた偶像が認められたにすぎないため、承認欲求は本当の意味で満たされることはない。

むしろ、自分が造り上げた偽物が認められれば認められるほど、満たされない心の穴は大きく深くなっていく。それゆえに自己呈示ではなく自己開示をすることが大切なのである。

自己効力感と学習性無力感

自己効力感と学習性無力感は、ありのままの自分で生きていくために理解しておくべき感覚である。

自己効力感とは自分が行動を実行することについての現実的で確かな自信のことである。

学習性無力感とは、自ら状況をコントロールでいないだろうと予測し行動を諦めることである。あれこれ行動した挙句に避けられなかったという経験が、強固な無力感を形成する。

依存症の自助グループや信頼できる仲間に出会い、勇気をもって自己開示し、アクティブ・リスニング(積極的傾聴)される喜びと感動を積み重ねることで、その人の心を永い間閉ざさせてきた学習性無力感の壁を打ち破り、自己効力感を育てていくことが、ストレスに立ち向かい生きる力を回復することができるのではないだろうか。

つまり、そのように回復した自己認識をもって、自身も相手も尊重して率直にコミュニケートすること、アサーティブにコミュニケーションをとることができたなら、対人関係におけるストレスや認知の歪みは限りなく健全化していく。

対人関係で自己開示することが最も有効なストレスマネジメント

アドラー心理学では、すべてのストレスは対人関係だと説いている。私はアドラー心理学的側面から、最も有効なストレスマネジメントは、全て自己開示に通じるのではないか、と考えている。自分が受け入れられていない、という疎外感・自己肯定感の無さが、あらゆる認知の歪みと悲しみを生み、生きづらさを抱えさせているのが、現代社会におけるストレスの真の姿ではないだろうか。

それゆえに私はブログや自助グループで自己開示していくことが、今最もストレスマネジメントになっているし、愛や欲求を健全に自身の生きる力として昇華させる役割を担っている。

これからも自己開示により人として成長していきたいし、大切なものを大切にできる人間であり続けたいと思う。

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