【依存症】アルコール依存症特有の睡眠障害と対策とは?

こんにちは、 ちあき です。

連続飲酒をしていたころ、私は毎日酩酊してブラックアウト(酔って記憶がなくなること)し、ほぼ気絶するように夜眠りについていたので、夢を見ることがありませんでした。

アルコール依存症とわかって断酒しだしてから、自分が睡眠障害を持っていたことに気づきました。元々持っていた、というよりも、アルコール依存症だからこそ睡眠障害を合併したのでしょう。

今日は、私が悩まされている睡眠障害と対策についてまとめました。

睡眠障害① 悪夢をみる

なぜか、ものすごく悪夢ばかりみるようになりました。

夢はそもそも脳のストレス処理と情報処理のためにみるものであり、内容が悪かったからと言って悲観することはないのですが、悪い夢が毎日だと少し気が滅入ります。

よく見る夢と、その意味、そして対処方法は以下の通りです。

〇誰かを殺すまたは激しく攻撃する夢

取っ組み合いの喧嘩になり、だいたい素手で相手を死に至らしめるまで暴行を加え、なかなか攻撃が効かず返り血で血まみれになるまで攻撃したところで、目が覚めます。

相手は知らない人から職場の人まで様々ですが、激しい怒りと憎悪が向けられています。

おそらくこれは、飲酒できないことにより直面している社会ストレスと対人ストレスがあり、それを脳が解消するためにみていると考えられます。

夢占いにおいてこれらの夢には意味があるようです。

例えば、人を殴る、というのは、「愛情」を示しているといわれています。

「知らない相手を殴っている夢」は、自己愛を意味しています。自分を好きでいることの裏返しのようです。断酒している自分自身に対して、愛情を持つことができるようになってきたと解釈でき、素晴らしい変化だと思います。

「相手を殴っているのに相手に効いていない夢」は相手を愛しているのに振り向いてもらえない、という悲しみを意味しています。自分自身に対して、他人に対して、好意を寄せているのに応えてもらえないことへの鬱憤を夢で晴らしている状態です。これは、断酒と関連して考えれば、断酒継続していても周囲にまだ受け入れられていない、または評価されていないことへの苛立ちや怒りや悲しみを脳が夢の中で処理していると考えられます。

ただ、反対に「相手を殺す夢」は、単純に、殺した相手に対してストレスを抱いているか、現状を打破したいときにみることが多いと言われています。悩みながら断酒を継続し、飲酒していた忌まわしい時代を乗り越え打破したい、と思っているからだと考えられます。

〇飲酒して後悔する夢

飲むところから始まる夢もあれば、飲んでしまった後パニックになり、どう隠蔽するか悩む夢もあります。

この夢は、実はアルコール依存症から回復している証です。

というのも、意識上受け入れがたい願望が夢となっているとされており、「飲酒」が「受け入れがたい願望」と認識されているということなので、アルコールを断とうと強く心に決めているからこそみる夢だと言えるからです。現実には飲むことをすでにあきらめたからこそ、夢で願望を処理しようとしているといえます。なので、まだ飲もうと思っているのか…とか、正夢になっちゃうんじゃないか…などと落ち込む必要はありません。

あなたが回復している証です。

睡眠障害② REM睡眠行動障害

REM睡眠行動障害とは、夢に連動して腕や足が動いたり、寝言をはっきり話したりする事をいいます。

ある朝、夢の中で対戦相手の腕を圧し折ろうとしたのですが、「ちょ、痛い!」という声で目が覚めました。妻の腕を鷲掴みにしていました。「ごめん、ホントごめん」と慌てて謝る…こんなことがよくあります。

行動もしかりですが、自分の寝言で目が覚めたりします。時には、怒りの叫び声で目が覚めることも。

アルコール依存症に伴う睡眠障害としては、不眠、悪夢、多夢、過眠、昼夜逆転(リズム障害)、睡眠時無呼吸症候群(OSAS)などがあります。

断酒後は強度の不眠、あるいは振戦せん妄がみられます。一般的に断酒後も6ヶ月~数年は不眠が継続します。

アルコール依存症の睡眠の特徴としては、non-REM睡眠(深睡眠)が減少し、REM睡眠(浅睡眠)が増加します。REM睡眠に入るまでの時間と、より眠り始めて前半に眠りが浅くなりやすい傾向があり、睡眠・覚醒リズム(生体リズム)の変調をきたします。これは内因性うつ病と類似した症状です。

(参考文献:アルコール依存症に関連する睡眠障害(久留米大学 内村直尚):精神経誌(2010)112巻8号)

このREM睡眠が増加する傾向から、REM睡眠行動障害を誘発するものと考えられます。以前は酩酊していて意識していなかったものの、「飲酒していた頃はよりひどかった」という妻の証言から、過度のアルコール摂取を日常的に繰り返すことにより併発する可能性が高く、重症化しやすいように思われます。

薬剤治療を含めた対策は?

さて、ではこのような状況に対して以下に対応すればよいのでしょうか?

かかりつけ医に相談し私が実践して、症状が軽減した解決策は以下の通りでした。

〇朝日を浴びる+規則正しい食事+適度な運動+入浴

質の良い睡眠を得るために必要なのは、自然な眠りを司るホルモン「メラトニン」が寝る前に正しく分泌されることが重要です。

私たちの体は朝日を浴びて一日の体内時計をリセットします。朝日を浴びると、交感神経が優位になり、コルチゾールやアドレナリンなどの覚醒系ホルモンの分泌は開始されます。このとき、メラトニンを分泌するタイマーがセットされ、夜になると自動的にメラトニンが生成されて分泌される準備が整います。

特に朝食をしっかり摂ることが大切で、起きた後朝食をとることで、夜間の睡眠で枯渇状態だった体にエネルギーが取り入れられ、体内温度が上昇します。体内温度の上昇は、活発に日中行動するためのスイッチになります。

適度に体を動かして、身体的な疲労もある程度蓄積しておかないと、寝るときになって、頭は疲れているのに身体が元気で寝つきが悪くなることがあります。特にリズム運動(ウォーキングやジョギングなど)はセロトニンという安心に繋がるホルモンを分泌する助けになります。不安障害やせん妄を合併しやすい私たちアルコール依存症患者にとってうってつけの運動だと言えます。

しっかり入浴して一度体内温度をあげておくと、体は放熱して温度を下げようとします。実は寝るときには、身体の芯の温度(深部体温)が低下して眠りに入ります。少しぬるめのお風呂にしっかり入って一度温度を上げることが、効率的に深部体温をさげ、自然な眠りに入るためには重要と言われています。

〇睡眠薬によるREM睡眠行動障害治療

REM睡眠行動障害には、心療内科かかりつけ医から「リボトリール」というBZP系薬剤を処方されました。0.5mg×1日1回就寝前。これは本来抗てんかん剤ですが、REM睡眠行動障害にも適応があります。これで私はかなり睡眠時の異常行動が軽減されました。

しかし、眠気や注意力・集中力・反射能力等の低下がおこり、高所作業車や車の運転等の危険を伴う機械の操作には従事できなくなりますので、注意が必要です。

いかがでしたか?

意外に同じ症状に悩む人は多いと思います。断酒会でも「あるある!」と話題になります。睡眠障害が出てくるくらい、やはり体が酒でおかしくなっているんだと思います。無理せず正しく対処して、確実に断酒を継続していきたいですね。

では、また!


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