こんにちは、ちあき です。
出産から早いもので8日が経ちました。妻の体調は落ち着き、脱腸していた肛門も治癒して切開した会陰も出血が止まりつつあります。食欲も戻ってきて、一安心です。
さて、前回、前駆陣痛で妻がどれだけの痛みを味わったかを時系列でまとめさせていただきましたが、今回は本陣痛から出産までの戦いについてまとめてみたいと思います。
12/24の朝9時、妻、ついに入院
本陣痛の70%くらいの痛みが10分ごとに襲ってくる悪夢のような一夜が明け、「もっと痛くなってきた、耐えられそうにない」と妻が言い始めました。
トイレに行くと、お印(出血)が確認できました。出血するか破水した場合は速やかに病院に連絡するように、と前回の電話で告げられていた妻は、「電話できる!」と携帯を秒で手に取りました。
妻本人が電話しないといけないので、息も絶え絶えになりながら病院に電話をかける妻。
「急いで病院に来てください!」
おいおい、さっき追い返しといて急げなどとよく言えたもんだぜ、と思いながら、車を走らせました。
妻はすぐに内診にまわされ、子宮口は40%くらい開いているとのこと。
「100%まで開かないとダメですからね、でもこの分なら早そうなので、分娩台で待機していてください。旦那さんもそばについていてあげてくださいね!」
おお!いよいよか!妻とそう話しながら分娩室に待機する私たち。
分娩室にて、12時間経過
朝9時にきて、夜9時。あれー?早そうってのはどうなったんだ?
その間もずっと10分おきに本陣痛の80%くらいの痛みが訪れます。この頃「お尻のあたりを押すほうが腰をさするよりも楽になるから頼む」と言われて、ひたすら10分おきに肛門と尾てい骨の間を押し続けました。
分娩室に通されてから、赤ちゃんの心拍と陣痛の強さを測定する医療機器をおなかに巻いている妻。別室でもモニタリングできる機器のようで、ナースステーションに実況中継されているようなのですが、この機械、ちょっと寝がえりを打つとすぐズレる。あまり様子を見に来ないくせにナースがその機械がずれて測定できなくなった時だけ現われて「あまり動かないで」という無理な注文を言い残して去っていくのでした。
ネットには楽な体勢で本陣痛を待つように書いてあるにもかかわらず、横向きに寝ることを強要されながら固い分娩台で痛みに耐え続けて、夜9時の段階で妻はもうすでに虫の息でした。
夜になってからは肛門付近のいきみ逃しよりも、背中の痛みが強く、しばらくさすっていましたが、最後のほうは両手を握って一緒に息を吐いては吸っての繰り返し。
そんな妻に「生まれるのは明け方かなー」などと死刑宣告に近い内容を笑顔で言い、全く気遣うそぶりもないナースに殺意を覚えました。
間隔を置かない本陣痛到来!
11:20頃、「ずっと痛い、もうヤダ、もう無理!」と叫びだしました。
この痛がり方は今までと違う、と思い、すぐさまナースコール。
のんきで空気の読めないナースがやってきて、「痛みの感じ方は人それぞれ」などとパブロンのCMみたいなどうでもいい話をしようとしだすので、
「至急Drを呼んで子宮口を内診してください。あなたは見ていないから知らないでしょうが、今までと痛がり方が明らかに違います。子宮口が開いたので痛みが変わったはずです。感じ方人それぞれはいまどうでもいいです。急いでください。」
と強く指示し退室しました。
案の定、Drが内診後「100%開いています。もう生まれます!」と言いに来ました。
オラ言った通りだろうが!何が痛みの感じ方は人それぞれじゃ!隣でお前らが爆笑しながら談話している間ずっと分娩室で妻の腰さすっとったんじゃ、わかるわ!お前らプロだろ!しっかりしろや、このボケ!
怒り狂いながら、分娩台が開脚している分娩室に再入室しました。
速攻終わった出産、我が子誕生
分娩室に入ると、開脚してDrにオマタを向けた状態で妻が死にそうな顔で座っています。
「ああ、こういうのドラマで見るな」という光景。
おそらくいきめないだろう、と判断されたのか、吸引機器を準備されていました。
「はい、いきんでいいよ~」
妻の頭を支えて力が入りやすいようにサポートします。
1回目のいきみで、先生がポツリと「あ、これ自力でいけるな」と言いました。
2回目のいきみで、妻曰く「お尻が爆発した」そうですが、もう出てきました。笑
あまりにもあっけなく出てきました。妻はさんざん我慢したいきみをこれでもかと渾身の力を込めてやりすぎ、直腸が裏返り脱肛しました。
胎盤もきれいに出てきて、グロに耐性がある私はとてもきれいだなと思いました。
最後は、あれ、もう終わり?というくらいあっさりしていました。妻はすべての力を出し切り、矢吹丈の「燃えたよ…真っ白に…燃えつきた…真っ白な灰に…」というテロップがはいりそうな穏やかな顔で目を閉じていました。マジでそのまま死ぬんじゃないかと思いました。
無力な私がやって妻から喜ばれたことまとめ
①手を握る
これがなくては耐えられなかった、独りではない、と安心できたといいます。力を込めて握り返しすぎると、妻が力を入れられないので、少し負けるくらいの強さで男性陣は妻の手を熱く握り返しましょう。
②そばにずっとついている
なんか文字にすると幽霊かストーカーのようですが、独りきりにされるのではなく、つらいとき常にそばにいてくれたということが、とても心の支えになった、と言います。我々の効能としては、できることは全然なく役立たずであろうとも、同じ苦しみの時間を放っておかれるのではなく共感していたかどうか、という心情的な作用が強いと思われます。
③「しんどいね」「あともう少しだよ」「ちゃんとそばにいるからね」
この三つを声かけ続けました。つい、「がんばれ」と言いたくなるところですが、鬱を患っている私からすると、死ぬほど頑張っているのに「がんばれ」と言われることと、痛みも知らないくせに「がんばれ」といわれるのはとても気分が悪いし発言した相手を敵視させる言葉だと認識していたので、言わないようにしました。事実、この3つで、特に「しんどいね」と共感する言葉が最も高評価でした。
④妻の変調をいち早く医療関係者に伝える
本陣痛の痛みは尋常ではないそうで、事実妻は叫ぶことしかできませんでした。とても「Drを呼んで」などという指示は出せる状況ではありません。半狂乱です。痛みの感じ方や、妻の必死の訴えを聞いてナースコールをできるのはそばにいる夫だけです。私が内診を指示せず放置されていたらと思うとぞっとする、と妻は言います。妻が頼れるのはそばにいる一番頼りになる夫=あなたです。
⑤そばにいるために予定日周辺は必ず休暇を取る
有給とはこのような有事のためにあります。迷わず取得しましょう。会社によっては育児休暇や配偶者の分娩に伴う特別休暇なるものがあります。事前に会社の制度をチェックして、予定日周辺1週間を休み、いつでも妻を病院に搬送したり、必要なものを買いそろえて持って行ったりできる時間を確保しましょう。飲み会などもってのほかです。飲み歩いていて、酒臭いままタクシーで駆け付けたら、もう生まれてた、なんてことになったら、妻から「くそやろう」という永久背番号をいただくことになるでしょう。
いかがでしたか?大変でしたが、結果として妻はとても満足してくれました。私としてはそのあとも大変で、いずれまた書きたいと思いますが、この記事が出産を控えた旦那さんたちの役に立ったらいいなと思います。
では、また!