働きながら社会福祉士を目指してきました。
先日の国家試験で無事合格点を取ることができました。
☆第32回社会福祉士国家試験 合格基準情報:更新しました(3/13)☆
ボーダー:88/150点(58.6%)
共通免除:37/67点(55.2%)
合格率:11,612人/39,629人 29.3%
実は今回、私は仕事の都合で、試験1週間前まで全く準備ができませんでした。
育児・家事・仕事…毎日忙殺されており、「直前にやったってもうダメかな…」とも思いましたが、何十万円もかけて有給も代休もつぎ込んで専門学校を卒業したのに、最後まであきらめるわけにはいかない、ということで、5日間徹底して対策しました。
その結果が上記の結果というわけです。
もしかしたら誰かの参考になるかもしれないので、一度振り返ってみたいと思います。
社会福祉士国家試験って?
今回私が挑んだ試験の概要について、まずは整理して皆さんと共有したいと思います。
そもそも「社会福祉士」とは?
社会福祉士は厚生労働省の主管する国家資格であり、国家試験に合格することで資格を取得できます。
資格の種類は「名称独占資格」と呼ばれるものであり、社会福祉士と名乗って働くためには資格が必須であるものの、「業務独占資格」とは異なり、相談対応業務などは資格がなくても行えます。
しかし、さまざまな相談に応じるためには、福祉、行政、医学、心理学など、複数の分野にわたる深い専門知識が不可欠です。
このため、相談対応業務を担うソーシャルワーカーになる場合、社会福祉士の資格取得を目指すことが一般的となっています。
就職する際にも、国家資格がないとそもそも採用対象とならないケースも数多くありますので、ぜひ資格を取得しておくべきです。
社会福祉士国家試験の難易度は?
社会福祉士国家試験の合格率は、近年25%~30%前後という低い水準で推移しています。
社会福祉士国家試験では、全18科目に及ぶ幅広い内容の問題が出題されますので、覚えなければならない知識量は膨大です。
合格するために必要な勉強時間はおよそ300時間がひとつの目安とされており、1年ほどの期間を設けて受験対策を行うケースが一般的です。
社会福祉士国家試験の合格基準は2つあり、1つは全科目合計で約60%以上得点すること、2つめは全科目で1点以上得点することです。
つまり、8割も9割も得点できる実力は必要ない一方、ひとつでも0点の科目があると、全体でいくら高得点を取っても不合格となってしまいます。
このため、社会福祉士国家試験においては、得意科目を伸ばすことよりも、苦手科目をなくすことのほうがはるかに重要です。
社会福祉士国家試験合格率は?
社会福祉士国家試験の合格率は30%弱を推移しています。
平成30年度の合格率は29.9%となりました。
結構厳しいです。
前提:狂っていると思うほど「勉強一色」に生活を振り切る
さて、私はASD(自閉症スペクトラム)なので、複数のことは同時にできません。
何かが気にかかると、気もそぞろで、いくら勉強しても記憶にも残らないし、簡単なミスをしてしまいます。
だから、勉強すると決めたなら、24時間勉強の為だけに時間を使うことを覚悟します。
そのためには、子どもと妻には実家に帰ってもらい、家事と育児に煩わされないように協力してもらい、仕事は一切せず、勉強だけに集中できる環境を創ること。
誰に何を思われるとか、何を言われるとか、一切気にする必要はありません。
今すべきは、試験勉強。
今考えるべきは、試験に合格すること。
それ以外は、何もかも試験が終わってから考えればいい。
そう覚悟することが大事です。
そうすると、1本の芯が自分のなかにスッと通り、シンプルな覚悟ができます。
食事と睡眠と、適度な運動。
それ以外のありとあらゆるリソースは、全て今この時は勉強だけに向ける覚悟。
それを持ち鉄の意志で実行する、強固な狂気を持ちましょう。
勉強方法:覚悟は決まった。では、何をするか?
私がやったことは3つ。使ったツールも3つです。シンプルです。
〇やったこと:
①過去問題集を解く ②全く知らない人に説明を聞いてもらう ③動画で単語を覚える
●使ったツール
①過去問題集 ②LINE電話 ③Youtube
順に説明していきます。
勉強法①:過去問題集を4年分、2回やる
過去問題集は4年分のものを購入しましょう。
本当は6年分(3年分を2冊買う)やると完璧ですが、最低限4年やっておく必要があります。
なぜか?
あらゆる試験はだいたい3~4年周期で同じ問題が出題されることが多いからです。
なぜなら、重要な点や問題に出しやすいポイントはだいたい決まっているからです。
試験の出題者は、手を変え品を変え、毎年試験問題をつくってくださるわけですが、同じ内容の試験である以上、バリエーションは限られ、どうしても一定の傾向が生まれます。
私たちは試験に受かることを目的としています。
つまり、主眼に置くべきは、内容を理解することではなく、得点を取ることです。
なので、最悪問題の内容が理解できていなくてもいい。
「この選択肢は間違い」「この選択肢はあっている」ということが判別できるかどうか、これだけが重要と言っても過言ではありません。
そう考えると、過去問は過去に出題されたことのある問題の結晶です。
過去問を解くことが、最も合格に必要な内容を把握し、出題傾向を見るのに最適な勉強法なのです。
1週目:解くのではなく、解答を書き込む
勉強していないし、テキストも見ていない私のような人が1回目に問題を解いてわかるでしょうか。
いいえ、全くわかりません。
ウンウンうなっていても正解はほぼ出てきません。時間の無駄です。
なので、以下の流れでどんどん問題に書き込んでいきます。
①問題を読む
②少し考える
③解答を見る
④正解の選択肢にアンダーラインを引く
⑤不正解の選択肢の間違っている個所を、正しい内容に修正する
問題解いてないじゃん、と思う人もいるでしょう。
でも、これで何がいいかというと、とにかくこれを繰り返すことにより、正しい選択肢の文章だけが頭に入っていき、間違った選択肢を見ると「得も言われぬ違和感」が生まれるようになります。
たとえば、社会福祉士国家試験では、こんな選択肢が来ると「怪しい」という感覚をもつようになりました。
1、末尾が否定形で終わる「~してはいけない」「~ではない」
2、「全て」や「全く」という極端な表現
3、「都道府県」と「市町村」(入れ替えられているパターン)
4、根拠法(内容はあっているが根拠法が違うパターン)
このように、入れ替えやすいポイントや、出題のパターンはだいたい決まっています。
4年分解くことにより、だいたいこういうのは合っていて、こういうのは違う、という傾向を学びます。
2週目:科目ごとに正解の選択肢を読み込む
社会福祉士は合計18科目あります。
1週目は、通しでそれらすべてを出題の流れのままに現在から過去の時系列で解いていきました。
2週目は、科目ごとに4年分、書き込んでいった正解文を読んでいきます。
なぜか?
科目ごとに、毎年だいたい出題されている問題や傾向が似通っていることに気づけるからです。
「この問題、さっきの年の過去問にもなかったっけ?」という選択肢の設問が必ず出てきますし、この科目はだいたいこういうことを質問してくるな、というのがわかります。
それに合わせて、1週目に書き込んだ正解になっている選択肢を読み、正解だけを頭に叩き込みます。
つまり、「解かない。正解を書き込み、読み込む。」
これが私にとって最も効率の良い試験勉強方法です。
勉強法②:この試験について知らない人に説明する
しかし、150問あるこの試験を4年分、600問を2回もやるのは、人間、飽きます。
しかも5日で終わらせなくてはならないので、1日当たり240問やる計算になります。
簡単に、メンタルが死にます。
そこで、人に教えるつもりで聞いてもらう、というのがあります。
私はLINE電話で聞いてもらいました。
「それ知ってるよ!前こんなので出てたよ」とか
「へー。じゃあこういう場合はどうなの?」とか
読んでいる正解の問題文について声に出して読み、ときには質問してもらいましょう。
そうすることで、「この問題はあのときこう話したやつだな」というふうにエピソード記憶になりやすくなります。
短期記憶はすぐに失われますが、一度人と話した経験としてエピソード記憶にして海馬に記憶させてしまえば、そう簡単に忘れないで済みます。
「あ!またシーボーム報告出てきたわー、何回やんねん」などと突っ込みを入れたりしながら、楽しく親しい人と話しましょう。
相手に反応させるのは負担をかけてしまうと気が咎めるなら、電話だけ繋げてもらって、相手には聞き流してもらっているだけでもいいでしょう。
電話の向こうに誰かいる。
それだけで人はなかなかどうして、張り切ってしゃべるものです。
言葉に出したり、線を引いたり、考えながら手や口を動かすことで、聴覚や視覚でも情報を脳に入れることができるので、脳の機能から考えても、格段に覚えやすくなります。
勉強法③:解くのにも読むのにも飽きたら、観る(Youtubeを活用)
私は、Youtubeで「ほいくん」さんの動画を観て聴いて、頻出単語を覚えていきました。
非常にテンポが良く、絵心あふれる絵を描いてくださったり、笑えて最高でした。
最後に振り返りをしてくれるのがとてもよく、おすすめです。
これを聞きながら寝たり、なんとなく問題をやる気がしないときや話すのが疲れたときには、諦めてこの動画をみながら休憩しました。
人名、制度名、年号など、歴史系の問題と知識系の問題は、覚えていなくてはどうしても解けない、逆に言えば、覚えていさえすれば選択肢を絞り正解を導き出すことができる要素が必ず存在します。
そういう意味では、暗記は避けて通れません。せめて楽しくやりましょう。
まとめ:
いかがでしたか?
私は5日間、6時に起きて20時に寝る生活の中で、1時間のランニングと1回15分の食事以外は、生活のすべてを、勉強につぎ込みました。
それだけ突き詰めて狂ったようにやれば、嫌でも頭は試験問題だけでいっぱいになります。
もうこの5日間は、これ以上できなかった、とふっ切れます。
腱鞘炎になりそうな手でたくさん書き込んだ過去問題集は、会場に持っていきましょう。
「私はこれだけたくさんの問題をやった」という確固たる事実。
それが手元にあると、自信になります。努力の証は、お守りになります。
私のやった勉強は、こんな感じです。
参考になれば幸いです。