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【社会福祉士】社会福祉法人は本当に必要なのか?

社会福祉法人は、1951年に制定された社会福祉事業法、現在の社会福祉法により創設された社会福祉事業を行いことを目的とする法人である。

 

なぜ、社会福祉法人は創られたのか?(創設に至った概観)

第2次世界大戦終戦の混乱期に要援護者への対応が急務となるなかで、社会福祉に関する事業を国や地域公共団体の「制度」が担う必要性と行政の資源不足・民間資源活用の必要性から、強い公的規制のもと助成を受けられる特別な民間の法人として社会福祉法人が創設された。

国や地方公共団体が社会福祉法人に委託する形(措置委託制度)をとり、公共性の高い社会福祉事業を行う非営利法人として発展してきた。

1990年代に始まった社会福祉基礎構造改革により、福祉サービスの利用の仕組みが行政による措置委託から利用者との契約に移行した。また、株式会社などの経営主体による福祉サービスの参入が進み、福祉サービスの供給体制が多様化した。このような状況から競合する他のサービスとの立ち位置を明確にするため、より公益性・非営利性を徹底し、国民に対する説明責任と地域社会貢献を果たす組織として再定義された。

これが社会福祉法人制度改革の概観である。

 

現代における社会福祉法人が抱える問題点

近年、社会福祉法人の抱えやすくなる諸問題がいくつか社会的に取り沙汰されている。理事長とその親族による法人の私物化、不適切会計により多額の内部留保を溜め込む利益重視体質の露見など、最大の特徴と存在意義である公益性・非営利性を損なう事案が一部の社会福祉法人で確認されている。財務諸表を公表している法人が半数に満たないという驚くべき不透明性が隠れ蓑となり、非常識な役員報酬を目当てに自治体OBの実質的な天下り先になっていたり既得権益化しているという悲しい現実もある。

 

社会福祉法人が存続するために必要なCSRの概念

特別養護老人ホームの業界に民間企業(株式会社)が参入意欲を示し待機しているなか、優遇措置を受け続け社会福祉法人が存続するとしたら、上記のような諸問題を解決し社会的信頼と存在意義を取り戻す必要がある。

社会福祉法人の財務諸表の原則HPでの公表が義務化されているものの、法令上の根拠がないとして、平成25年の規制改革会議への報告では財務諸表を公表している法人は約4割(4,876法人)であった。財務諸表の公表が無い場合に、法人の指定取り消しを行うべきではないだろうか。

厚遇を受け税金をつかっている以上、前述した説明責任を果たす意味でも、組織の性質が異なるとはいえ、東証一部上場企業と同等程度のクオリティーの財務管理と透明性の確保は一般市民が正確に状況を理解するうえで、必須であると考えることもできる。

財務管理の透明性の確保を徹底したうえで、活動内容・財務状況・地域貢献度を地域住民に定期的な評価制度を導入するとよいだろう。存在意義の有無に関して360度サーベイを実施し、一定の評価を得られない場合は優遇の停止するか組織を他事業者へ移譲して民営化が速やかに実行できるようにするのである。

このように外部評価にさらされる環境を提供すれば、社会福祉法人は変わらざるを得ない状況に迫られて、サービスとしての価値に応じて進化するか滅びるか、いずれにせよ変わることができる。

この改革により浮いた予算を活用して、参入意欲がありサービスの質と量を定期的に監査する条件つきで、株式会社・NPO法人による参入に補助金制度を活用して支援をより促すのも効果的であると考える。

設立のしやすさから、粗悪なサービスを提供するNPO法人が問題視されているが、あまり役に立ちにくくなってしまった社会福祉法人に流れている予算をサポートに回して安定経営ができるようにサポート体制を敷き、競合する法人が多数存在するようになれば、市場原理が働いてサービスが不十分なNPO法人は自然淘汰され、価格に見合った適切なサービスを提供でき従業員に適切な賃金を支払える組織による社会福祉事業だけが生き残る、という未来が実現できるのではないだろうか。

福祉は一般的な事業と比べて、資本主義経済原理とは対極の公益性重視の事業であり、経験の無い法人は参入しにくい状況だった。提供すべきサービスも明確かつ限定的で社会福祉法人の役割がはっきりしていたので存在意義は大きかったのだろう。

しかし現代において家族のあり方・ライフスタイル・価値観は多様化しており、個別のニーズに対応するには事業者とサービスを多様化してアンメットニーズに対応できる体制を整えるべきタイミングを迎えていると考えられる。

他の事業で売り上げた収益を社会福祉事業に投資して複数の事業を運営する経営主体による安定した事業提供体制を整えるほうが、安定したサービス提供を望めるのではないか、と考えてしまう。

【ヘルスケア】そういえば、しじみ(オルニチン)が二日酔いに効くのってなんでだっけ?

こんにちは、 ちあき です。

「飲んだ次の日はしじみの味噌汁だよね」

「しじみ汁飲んでおけば翌日すごく楽だわ」

しじみに含まれているオルニチン。これが肝臓の働きを助ける、ということは、一般的によく知られている概念だと思います。

でも、じゃあなんでオルニチンがお酒を飲んだときに効果があるのか?ということは意外に知られていません。

私も「あれ?なんでだっけ?」とわからなくなってしまったので、調べてみました。

脳に悪影響を及ぼすアンモニアを無害化する「オルニチン回路」

肝臓には、有害なアンモニアを尿素に変えて解毒を行う「オルニチン回路(別名:尿素回路)」というものが存在します。

オルニチンは、この回路においてアンモニアと結合し、有害なアンモニアを無害な尿素に分解する中間体として重要な役割を果たしています。

なぜアンモニアを解毒しないといけないのか?を一言でいえば、アンモニアが脳にあると、最悪脳細胞が死んでしまうからです。

脳では、アンモニアをGDH(グルタミン酸脱水素酵素)によって、α-ケトグルタル酸と結合させ、グルタミン酸を生成してアンモニアの無毒化処理が行われるのですが、この無害化によりα-ケトグルタル酸が消費されて減少します。

更にオキサロ酢酸も減少することで、エネルギー産生で不可欠なTCA回路によるNADH生成や、呼吸鎖によるATP生成が停止してしまいます。

思考力の低下、運動機能・体反射の低下や麻痺、おぼろげな記憶・記憶の欠落や記憶喪失、幻覚・幻聴、視力の低下、眠気、脱力感等が起きます。

このように、アンモニアは修復不可能な脳の神経細胞障害を起こし、最後には脳細胞を死滅させます。

だから、アンモニアを尿素に変えて無害化しないといけません。

オルニチン回路(尿素回路)の回転はなくてはならないものです。

「NADH」が増えすぎて脳に栄養(グルコース)がいかなくなるから飲むとしんどくなる

上述したオルニチン回路と連動する回路に、TCA回路(クエン酸回路)という回路があります。

どこで連動しているのか?

このTCA回路においてアミノ酸をエネルギーに変えるとき、アンモニアが発生するからです。この発生したアンモニアを、先ほどのオルニチン回路で無害化しているのです。

オルニチン回路が順調に回転することで、TCA回路も順調に回転することができるようになります。

つまり、2つの回路は表裏一体なのです。

では、TCA回路とはなんなのでしょうか?

TCA回路は、糖質・脂質・タンパク質から返還されたアセチル-CoAを取り込むことからスタートする、生物がエネルギーを生産する上で最も重要な回路です。

そのアセチル-CoAが酸化されピルビン酸になる過程で「NADH(還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)」が生成され、最終的にエネルギーの通貨であるATPを合成する原料になります。

ここで、アルコールの代謝過程を振り返ってみましょう。

アルコールは、

アルコール→アセトアルデヒド→酢酸・二酸化炭素・水

という順に無害化されるわけですが、

アルコールからアセトアルデヒドに分解してくれるのがADH(アルコール脱水素酵素)、

アセトアルデヒドを酢酸・二酸化炭素・水に分解してくれるのが、ALDH(アセトアルデヒド脱水素酵素)です。

この2段階のいずれの分解過程においてもNADHが産生されます。

つまり、アルコールを摂取しても、このNADHという物質が増加するわけですが、

このNADHが過剰状態になると、アセチル-CoAがピルビン酸になれず、結果的にオキサロ酢酸が減少してしまいます。

このピルビン酸とオキサロ酢酸の2つが減少してしまうと、肝臓でグルコースが作れなくなります。

グルコースを作るこの肝臓の働きを「糖新生」といいますが、この糖新生が抑制されてしまうことで、糖以外の物質からグルコースをつくることができなくなります。

脳は、グルコースを重要な栄養源にしています。

つまり、グルコースが足りなくなってしまうと、脳が栄養不足に陥ってしまうのです。

しじみを摂取することでオルニチンを補充すると、オルニチン回路の働きが促進され、アンモニア解毒がスムーズに進み、結果的にTCA回路を促進することでNADHを消費させることに繋がります。

したがって、脳のエネルギーをつくり出すための阻害要因となってしまっていたNADHを正常化できると考えられています。

日常的に酒を飲みすぎると脂肪が増えるメカニズム

このアルコール代謝には、ADHやALDHだけでなく、補酵素(NAD+、CoA)がそれぞれ必要ですが、飲酒中の肝細胞内のミトコンドリアでは、この補酵素の取り合いになってしまいます。

油に含まれる脂肪酸からエネルギーを生み出す(脂肪を燃焼する)ことを、「脂肪酸のβ酸化」といいますが、実は、この脂肪燃焼にも補酵素(NAD+、CoA)が必要なのです。

脂肪を燃焼できないでいると、肝臓内に脂肪が貯まりやすくなります。

そうすると、脂肪肝になってしまったり、中性脂肪としてトリグリセリド(TG)が血中に大量に漂い、高脂血症になってしまってしまうのです。

中性脂肪(TG)が血中にたくさんあると、細胞に取り込まれて脂肪として蓄えようとします。

筋肉に脂肪が取り込まれて、霜降り肉のような状態になり、体脂肪率と体重が増え、どんどん太ってしまう、というわけです。

おまけ:アルコール依存症患者が断酒後になぜか酢が欲しくなる理由

アルコールばかり摂取していて食事をとっていない状態のとき、いわゆる「連続飲酒状態」に入っていると、糖質も脂質もタンパク質も欠乏します。

脳がエネルギーにできるのは、糖(グルコース)と脂質と酢酸ですが、「連続飲酒状態」では脳に供給されるエネルギーは、唯一、アルコールを分解した結果産生される「酢酸」のみになります。

すなわち、こうした状況に陥ったことのある脳は、酢酸でエネルギーをえることに慣れてしまいます。

だから、アルコールを摂取しないようになると、酢酸が欠乏したと思い、アルコール依存症者の脳は酢を飲みたいと錯覚するのです。

 

オルニチンをとっていても、体に負担がかかるのに変わりない

オルニチンはオルニチン回路を促進するかもしれませんが、実際に毒であるアルコールを処理する仕事量は変わらず、解毒する肝臓の負担自体は変わらりません。

摂取したアルコールの量に応じて、アセトアルデヒドが発生するしアンモニアを発生しますから、代謝はできても、仕事の量は実質増えているわけですので、肝臓は疲れます。

だから、お酒を飲み過ぎたからといって、いくらしじみ汁を飲んだとしても、チャラになるわけではない、ということはよく認識しておくべき事実です。

そもそも、毒となるアルコールを摂取しなければオルニチンを摂取する必要はありません。

アルコールを摂取しなければ、オルニチン回路が障害されることもなく、TCA回路が障害されることもないからです。

毒で犯された体ができるだけ通常通り動くように一時的にドーピングする手段に過ぎないのです。

しかしながら世の中のサラリーマンはウコンやオルニチンのサプリを飲んでドーピングしてまで、連日飲み会に繰り出します。

この日本の文化というか、ドーピングしてまで酒を飲むのが一般的なのも、いかがなものかな?と個人的には思います。

それだけ、体に良くないことをしなくては紛れないストレスを抱える社会構造だという逆説的証明なのかもしれません。

「オルニチンを摂取しているから深酒をしてもいい」と安易に考えていると、いずれ肝臓が悲鳴をあげることになります。

できればサプリに頼らず、適量で飲めているうちに飲酒量を減らすのが、最も賢い選択だといえます。

そのことを身をもって体験し、一番よく知っているのが、我々アルコール依存症者なのかもしれないですね。笑

では、また!

【依存症】アルコール依存症特有の睡眠障害と対策とは?

こんにちは、 ちあき です。

連続飲酒をしていたころ、私は毎日酩酊してブラックアウト(酔って記憶がなくなること)し、ほぼ気絶するように夜眠りについていたので、夢を見ることがありませんでした。

アルコール依存症とわかって断酒しだしてから、自分が睡眠障害を持っていたことに気づきました。元々持っていた、というよりも、アルコール依存症だからこそ睡眠障害を合併したのでしょう。

今日は、私が悩まされている睡眠障害と対策についてまとめました。

睡眠障害① 悪夢をみる

なぜか、ものすごく悪夢ばかりみるようになりました。

夢はそもそも脳のストレス処理と情報処理のためにみるものであり、内容が悪かったからと言って悲観することはないのですが、悪い夢が毎日だと少し気が滅入ります。

よく見る夢と、その意味、そして対処方法は以下の通りです。

〇誰かを殺すまたは激しく攻撃する夢

取っ組み合いの喧嘩になり、だいたい素手で相手を死に至らしめるまで暴行を加え、なかなか攻撃が効かず返り血で血まみれになるまで攻撃したところで、目が覚めます。

相手は知らない人から職場の人まで様々ですが、激しい怒りと憎悪が向けられています。

おそらくこれは、飲酒できないことにより直面している社会ストレスと対人ストレスがあり、それを脳が解消するためにみていると考えられます。

夢占いにおいてこれらの夢には意味があるようです。

例えば、人を殴る、というのは、「愛情」を示しているといわれています。

「知らない相手を殴っている夢」は、自己愛を意味しています。自分を好きでいることの裏返しのようです。断酒している自分自身に対して、愛情を持つことができるようになってきたと解釈でき、素晴らしい変化だと思います。

「相手を殴っているのに相手に効いていない夢」は相手を愛しているのに振り向いてもらえない、という悲しみを意味しています。自分自身に対して、他人に対して、好意を寄せているのに応えてもらえないことへの鬱憤を夢で晴らしている状態です。これは、断酒と関連して考えれば、断酒継続していても周囲にまだ受け入れられていない、または評価されていないことへの苛立ちや怒りや悲しみを脳が夢の中で処理していると考えられます。

ただ、反対に「相手を殺す夢」は、単純に、殺した相手に対してストレスを抱いているか、現状を打破したいときにみることが多いと言われています。悩みながら断酒を継続し、飲酒していた忌まわしい時代を乗り越え打破したい、と思っているからだと考えられます。

〇飲酒して後悔する夢

飲むところから始まる夢もあれば、飲んでしまった後パニックになり、どう隠蔽するか悩む夢もあります。

この夢は、実はアルコール依存症から回復している証です。

というのも、意識上受け入れがたい願望が夢となっているとされており、「飲酒」が「受け入れがたい願望」と認識されているということなので、アルコールを断とうと強く心に決めているからこそみる夢だと言えるからです。現実には飲むことをすでにあきらめたからこそ、夢で願望を処理しようとしているといえます。なので、まだ飲もうと思っているのか…とか、正夢になっちゃうんじゃないか…などと落ち込む必要はありません。

あなたが回復している証です。

睡眠障害② REM睡眠行動障害

REM睡眠行動障害とは、夢に連動して腕や足が動いたり、寝言をはっきり話したりする事をいいます。

ある朝、夢の中で対戦相手の腕を圧し折ろうとしたのですが、「ちょ、痛い!」という声で目が覚めました。妻の腕を鷲掴みにしていました。「ごめん、ホントごめん」と慌てて謝る…こんなことがよくあります。

行動もしかりですが、自分の寝言で目が覚めたりします。時には、怒りの叫び声で目が覚めることも。

アルコール依存症に伴う睡眠障害としては、不眠、悪夢、多夢、過眠、昼夜逆転(リズム障害)、睡眠時無呼吸症候群(OSAS)などがあります。

断酒後は強度の不眠、あるいは振戦せん妄がみられます。一般的に断酒後も6ヶ月~数年は不眠が継続します。

アルコール依存症の睡眠の特徴としては、non-REM睡眠(深睡眠)が減少し、REM睡眠(浅睡眠)が増加します。REM睡眠に入るまでの時間と、より眠り始めて前半に眠りが浅くなりやすい傾向があり、睡眠・覚醒リズム(生体リズム)の変調をきたします。これは内因性うつ病と類似した症状です。

(参考文献:アルコール依存症に関連する睡眠障害(久留米大学 内村直尚):精神経誌(2010)112巻8号)

このREM睡眠が増加する傾向から、REM睡眠行動障害を誘発するものと考えられます。以前は酩酊していて意識していなかったものの、「飲酒していた頃はよりひどかった」という妻の証言から、過度のアルコール摂取を日常的に繰り返すことにより併発する可能性が高く、重症化しやすいように思われます。

薬剤治療を含めた対策は?

さて、ではこのような状況に対して以下に対応すればよいのでしょうか?

かかりつけ医に相談し私が実践して、症状が軽減した解決策は以下の通りでした。

〇朝日を浴びる+規則正しい食事+適度な運動+入浴

質の良い睡眠を得るために必要なのは、自然な眠りを司るホルモン「メラトニン」が寝る前に正しく分泌されることが重要です。

私たちの体は朝日を浴びて一日の体内時計をリセットします。朝日を浴びると、交感神経が優位になり、コルチゾールやアドレナリンなどの覚醒系ホルモンの分泌は開始されます。このとき、メラトニンを分泌するタイマーがセットされ、夜になると自動的にメラトニンが生成されて分泌される準備が整います。

特に朝食をしっかり摂ることが大切で、起きた後朝食をとることで、夜間の睡眠で枯渇状態だった体にエネルギーが取り入れられ、体内温度が上昇します。体内温度の上昇は、活発に日中行動するためのスイッチになります。

適度に体を動かして、身体的な疲労もある程度蓄積しておかないと、寝るときになって、頭は疲れているのに身体が元気で寝つきが悪くなることがあります。特にリズム運動(ウォーキングやジョギングなど)はセロトニンという安心に繋がるホルモンを分泌する助けになります。不安障害やせん妄を合併しやすい私たちアルコール依存症患者にとってうってつけの運動だと言えます。

しっかり入浴して一度体内温度をあげておくと、体は放熱して温度を下げようとします。実は寝るときには、身体の芯の温度(深部体温)が低下して眠りに入ります。少しぬるめのお風呂にしっかり入って一度温度を上げることが、効率的に深部体温をさげ、自然な眠りに入るためには重要と言われています。

〇睡眠薬によるREM睡眠行動障害治療

REM睡眠行動障害には、心療内科かかりつけ医から「リボトリール」というBZP系薬剤を処方されました。0.5mg×1日1回就寝前。これは本来抗てんかん剤ですが、REM睡眠行動障害にも適応があります。これで私はかなり睡眠時の異常行動が軽減されました。

しかし、眠気や注意力・集中力・反射能力等の低下がおこり、高所作業車や車の運転等の危険を伴う機械の操作には従事できなくなりますので、注意が必要です。

いかがでしたか?

意外に同じ症状に悩む人は多いと思います。断酒会でも「あるある!」と話題になります。睡眠障害が出てくるくらい、やはり体が酒でおかしくなっているんだと思います。無理せず正しく対処して、確実に断酒を継続していきたいですね。

では、また!


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【依存症】発達障害(ASD)とアルコール依存症って関係があるの?

こんにちは、 ちあき です。

 

私は発達障害があり、「ADHD寄りのASD」です。

発達障害と障害扱いされていますが、普通の脳と少し違うだけで、個性の一つだと思います。

なんでも「普通」から外れていたら「障害」にして治療対象にしてしまう文化に対しては、

いかがなものかと思いますが…。それは置いておいて、

ASDの特徴とアルコール依存症との関連について話してみたいと思います。

 

ASDの診断と具体的な特徴

最新のガイドラインであるDSM-5において、自閉症スペクトラム(ASD:Autism Spectrum Disorder)は、以下のA,B,C,Dを満たしていることが、診断基準になります。

 

 

A:社会的コミュニケーションおよび相互関係における持続的障害(以下の3点で示される)

1.社会的・情緒的な相互関係の障害。

2.他者との交流に用いられる非言語的コミュニケーション(ノンバーバル・コミュニケーション)の障害。

3.年齢相応の対人関係性の発達や維持の障害。

 

B:限定された反復する様式の行動、興味、活動(以下の2点以上の特徴で示される)

1.常同的で反復的な運動動作や物体の使用、あるいは話し方。

2.同一性へのこだわり、日常動作への融通の効かない執着、言語・非言語上の儀式的な行動パターン。

3.集中度・焦点づけが異常に強くて限定的であり、固定された興味がある。

4.感覚入力に対する敏感性あるいは鈍感性、あるいは感覚に関する環境に対する普通以上の関心。

 

C:症状は発達早期の段階で必ず出現するが、後になって明らかになるものもある。

 

D:症状は社会や職業その他の重要な機能に重大な障害を引き起こしている。

 

 

最新のガイドラインでは、自閉症は幼児期に特有ではなく、どの年齢でも発症すること(発見されること)のある発達障害として定義し直されています。

 

 

1.社会的コミュニケーションおよび相互的関係性における持続的障害。

 

2.興味関心の限定および反復的なこだわり行動・常同行動

 

 

 

つまり、具体的にはこんな人です。

 

・あいまいな指示を理解できず、文字通りに解釈するため、冗談やお世辞、皮肉が通じない。

・同じ発音の単語のうちどれが正解か、話の文脈から判断することができず、すぐに理解できない。

・「なんでもいいから今やりたいことは?」というような漠然とした質問で固まる。

・他人を傷つけることを平気で言ってしまう。

・名前を呼ばれないと自分のことを言われているのに気がつかない。

・カッとなりやすく、些細なことで争いになる。

・白黒はっきりつけたがる。

・暗黙のルールや常識が分からない。

・一度に二つのことは出来ない。

・先の見えないことには、とても不安になりやすい。

・興味の無いことは、極端に出来ない。

・初めて取り組むことやステップを知らないことについては、指示が無いと動けない。

・夢中になると「ストップ」がきかない。

 

・・・なんだか書いていて悲しくなってきますが、太字が特に私に当てはまるところです。

 

「こんなの扱いづらいイタイやつなだけじゃん」

「使えないやつなのを障害で言い訳すんなよな」

 

などという心無い言葉に何度心を折られたことでしょう。笑

 

 

ASDが陥る2次障害としてのアルコール依存症

親にも「いうことを聞きなさい」と言われ、

友達にも「お前空気読めよ」と言われ、

家庭・学校・職場など、あらゆるところで責められ仲間外れにされる発達障害。

誰にもこの発達障害を理解してもらえないで生きてきたASDが多いことでしょう。

そんなASDによる社外不適合は、うつや不安障害などの2次障害の原因になっているといわれています。

その一つに、依存症(アディクション)があります。

アルコールに限らず、ギャンブル・薬物・タバコ・ゲーム・ネット・SNSなどが依存症の対象になります。

アルコール依存症者においては、自閉性傾向を示す者の出現頻度が高いことが推測されています。

また,自閉性傾向群の生活面においては,非自閉性傾向群との有意な差はみられないものの,推測通り,幼少期から青年期に対人関係の難しさや社会的・職業上の問題を抱えている者が多いという結果だったそうです。

これは,自閉症スペクトラム障害の特性であるこだわりの強さ飲酒行動が結びついたことにより,アルコール依存症の発症につながったと考えられています。

また,自閉症スペクトラム障害から生じる抑うつ状態や不安感等の二次障害に対して,一時的な消失・抑制をするための自己治療薬としての飲酒が、結果として、二次障害をまぎらわすための併存障害である“アルコール依存症”として診断された可能性も考えられます。

参考文献: アルコール依存症における自閉性傾向の検討~自閉症スペクトラム指数(AQ)を用いた調査から~ 片桐千恵1), 宮崎恵1), 大庭佐知子2), 岩田こころ1), 山本哲也1), 三好弘之2), 河口剛1), 小杉好弘1) 1)医療法人弘心会小杉クリニック本院, 2)医療法人弘心会小杉記念病院 日本アルコール関連問題学会雑誌 13(): 131-135, 2011.

 

しかし、ASDとアルコール依存症の併存率に関するエビデンスは少なく、また、ASDと非ASDを比較して知能・遂行機能・動機付けの能力に優位差はなかったとしている論文もあります。

 

発達障害でも、アルコール依存はADHDで併存しやすい

国外の複数の研究で、アルコール使用障害患者におけるADHD併存率は、20~30%とされています。

国内では、鈴木らが男性アルコール使用障害患者に対するADHD(DSM』の診断基準を利用)の併存率は、20~30歳の若年群では19%、40~60歳の中年群では3%であったと報告しています。

ASDについてはアルコール使用障害患者における併存率に言及した文献は乏しく、Santoshらは小児期に広汎性発達障害と診断されていた患者は薬物/アルコール使用障害の発症リスクが健常成人より低く、発症したケースはすべてADHDが併存していたとしています。

 

ADHD特性が強い患者は治療継続率が低い傾向にあります。

また、固まった枠組みのなかに留まることができずに治療者、他患者とぶつかることも多いそうです。

 

この文献では、面白いことに、同じ発達障害でも「ASD特性はアルコール関連問題からの回復促進因子ともなりうる」と言われています。

 

初診から2年以上経過が追えているアルコール使用障害患者を対象にした河本らによる調査では、自閉症スペクトラム指数(AQ)のスコアが高い、つまりASD特性がより高い患者群において、断酒継続率が高かったそうです。

河本は同文献のなかで「強迫性」、「固執傾向」といったASD特性が、断酒継続に必要な自助グループへの定期的、ときには強迫的な参加、単調な生活の繰り返しの原動力になると考察しています。

参考文献: [2] アルコール使用障害と発達障害 宋龍平, 角南隆史 地方独立行政法人岡山県精神科医療センターFrontiers in Alcoholism 4(1): 25-30, 2016.

 

発達障害を知ることは、断酒継続のために自分を知ること

私は、「ADHD寄りのASD」なので、ADHDの要素(興味や考えが飛びやすく、会議のように一ヶ所にジッとして落ち着いていることが難しかったりする)もあります。

しかし、基本的にはASDであるため、「理論と科学的根拠に固執し、誰も信じず、かつ常に正しくあろうとする強迫性」をもっています。

その性質が、ストレスの原因になっているのと同時に、断酒継続の原動力となっているのだと思います。

この性質を知ること自体が、断酒を継続するために重要な「己を知る」というステップを踏むために重要です。生きづらさを感じている場合、もしかするとADHD・ASDにあてはまるのかもしれません。

 

しかし、障害が有る無しをうまくできない理由=「言い訳」にするというよりも、特性を知り、再飲酒(スリップ)を回避したり、生きる上でのストレスを減らすためにこの障害の知識を生かすべきである、と思います。

実際、私はこの診断が下ってから発達障害について本を読んだり先生に聞いたり文献を取り寄せて読んだりして、対処の仕方を適切にカスタマイズすることができたと思います。

 

そうした経験から、今回は発達障害、特にASDとアルコール依存症について書いてみました。

次回は、もう少しADHDについても文献を読んで勉強してから書いてみたいと思います。

では、また!


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【依存症】HSP と アルコール依存症

こんにちは、 ちあき です。
今日は、繊細な性質を示すHSPとアルコール依存の関連について以前自分なりにまとめたものを記事にしてみたいと思います。

■HSPとは?

HSPとは The Highly Sensitive Person の略語。
非常にセンシティブな人を差します。
障害ではなく、生まれつきの気質であり、全体的に感情の反応が強く、特に共感力が高い、ささいな刺激を察知するなどの特徴があります。
HSPは「気質」なので、
むしろ「特長」「長所」です。
ただ疲れやすいのでうまく休む必要がある人なのです。
HSPは、体や脳の内側からの情報を敏感にキャッチし、過剰に反応して、神経やホルモンを必要以上に活動させます。
特に過活動になるのは、前帯状皮質です。別名を、帯状回前部、前部帯状回 とも言います。
理性と感情の中継地であり、自律神経や痛みの中継地でもある部位で、脳のこの「前帯状皮質」で人は「疲れ」を認識します。
HSPは、人間関係の機微や感覚に対してオーバーロード(過負荷)を起こしやすくなってしまい、慢性のストレスを抱えた状態に陥ると、前帯状皮質の活性は低下してしまいます。
活性が低下すると、疲労感・無気力感が発生し、最終的に、自律神経に乱れが生じて、痛みを感じやすい慢性疲労状態になります。

■「前帯状皮質」とアルコールのHSP特有の関連性

これがアルコール依存症とどう関係するのか?
HSPで疲弊しやすい前帯状皮質を「抑制」したい脳にとって、アルコールはうってつけの「抑制」を与えてくれる化学物質だという因果関係がありました。
アルコールは、抑制系作用の薬物です。
特にGABA受容体に働き、「鎮静」させることで、気持ちがほぐれたように安心感を感じます。
アルコールがGABAの働きをするので、繰り返しアルコールが入ってきてGABAの代わりをしてくれる、と脳が理解すると「GABAは必要ない」と脳の総本部が考えて調整し、バランスを保とうとします。
結果的に腹側被蓋野でのGABAが減少します。その結果、ドーパミンが増加して楽しさや満足感を感じます。
ひとは、一般的にお酒を飲むと、腹側被蓋野を「抑制」していたGABAが無くなり、その先に神経が繋がっている、所謂『部下』的な立ち位置の前頭前野の「抑制」も上手くいかなくなり、酩酊時は理性的な行動ができなくなります。
したがって、HSPの人は、過剰に前帯状皮質が機能してしまい慢性疲労状態に陥るため、特に前帯状皮質の活動をアルコールによって「抑制」したい、「抑制」により慢性疲労状態を解消したい、という欲求に駆られやすいと考えられます。
繰り返しアルコールを摂取することにより、前帯状皮質が「抑制」される経験が積まれ、学習した脳が、脳内報酬系の回路を作り、「これは脳を休めるのに良い方法だ」と記憶します。
この記憶を再現すべく、飲酒を繰り返します。
繰り返し飲酒することにより、アルコールの作用に対して耐性を得てしまい、量が増えコントロール不能になります。
量が尋常でないほど増えても、獲得された耐性により十分だと感じるほど作用しなくなります。
いくら飲んでも満足できなくなり、胃や胆肝膵が痛むまで摂取する「連続飲酒」に陥入るというわけです。
吐きながらも飲み、ご飯も食べられなくなり、内臓疾患の急変で救急搬送されて入院になります。
だから、そこまで行かなくちゃ、(底つき)まで経験しなくちゃ誰にも何にでも、容易に止められないのです。
無意識に「脳の疲れを癒したい」と酒に口をつけたところから酒に頼り切ってしまうと、酒は、疲れを癒すどころか、全てを破壊し尽くし身体や心を蝕む魔物になります。
では、また!


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【依存症】禁煙したいひとへ②:論理的に「習慣」と「依存」を排除する方法

こんにちは、 ちあき です。

前回、

【依存症】禁煙したいひとへ①:タバコの実害を論理的に考えてみよう

と題して、タバコやアイコスのデメリットについてまとめました。

禁煙を決意する前、これらの話は耳が痛くて、正直当時は避けてきました。

でも、事実を踏まえて行動を変革することが、賢い人間がすることであり、禁煙したいと思っている賢い皆さんならできる事だと思います。

今回は、タバコをやめようと決意したきっかけのエピソードと、なぜ私たちならやめられるのかを逆説的に説明し、最後に方法論を紹介したいと思います。

 

私がタバコをやめようと思ったきっかけ

突然ですが、私は今の会社で「懲戒処分」になったことがあります。

タバコではなく、お酒が原因です。

私はアルコール依存症です。一度飲みだしたら止まりません。ある日、大事な日の前日に遅くまで酒を飲み、泥酔した状態で仕事に来て、大問題になりました。上司は本社の偉い人から「どういう教育をしているのか」とこっ酷く怒られ、青い顔をしていました。

当然私に対する憎悪はすさまじく、上司は、「こんなやつはもういらん」と懲戒解雇すべく証拠集めに乗り出します。

こういうときには埃を出し尽くそうと、いかに成果が上がっていなかったか、活動ができていなかったか、書類に不備があるか、等の点を列挙します。そして、叩きに叩かれます。

「お前がいなくなったらどれほど気が休まるか、はあ」

「辞めてくれ、と口に出さなければ意味がわからないほど馬鹿なのか?」

「お前が会社に残ったとしても数年でいられなくなるぞ」

他の社員とは連絡を取らせないよう情報を制限して孤立させて追い込み、依願退職という形を引き出そうとします。少し出社させて、何の仕事もなく誰に話しかけても無視される環境を作り、精神的に追い詰めます。

それが、大企業が人をやめさせたいときの常套手段です。実に合理的です。

それでも耐え続けて酒を断ち、辞めなかった私は、ある日支店長に呼び出されました。

 

上司の上司である支店長は、喫煙しますが飲酒はしない人でした。

アルコール依存症患者が断酒するのがどれほど大変なことか理解できない人でした。

彼が言った言葉が、私に禁煙を決意させました。彼は言いました。

 

「人の本質は変わらない。ゆえに、私はお前を認めることはない。

あれだけのことをして、酒を止めるのは当たり前だ。

朝早く起きて会社に行くのも当たり前だ。

成果を出してなければ、変わっていないのと同じだ。

周りが、私が、評価しなければ、お前は頑張っていないのと同じだ。

私はお前が成果を出していると思わないし、変わったと評価していない。

変わったかどうかは、他人が決めるのだ。

評価するかどうかは、他人が決めるのだ。

つまり、私が決めるのだ。だから、お前は頑張っていない。

何でもすると言ってすがりついたくせに、何も成していない。

私たち会社のことを考えるなら、私たちに少しでも恩返ししたいなら、

あのとき、決断してくれた方が、私はずっと良かったのに。 」

今まで、「申し訳ありません」しか言わなかった私も、このときばかりはキレました。

 

「それは、どういう意味ですか?」

こいつには、俺の何も、わかりはしない、と確信しました。
当時、仕事を干された状態で、得意先は一切回れませんでした。
書類整理など窓際に追いやられ、ただただ雑用すら願い出て、頭を下げてやらせてもらい、泥水をすすりながら、酒を断ち4ヶ月過ごしていたところでした。
「今、なんと言った? 今、なんと言った? 成果を出していない?
その冷遇状態を知っていて、成果を上げなければ認めない、だと?」
そう思った瞬間、全身の毛が逆立ち、血が逆流し、身体がカタカタと怒りで震えました。

 

あぁ。こいつは俺を認める気なんか1ミリもない。

そんなら、俺はこいつを全身全霊で全否定してやる。

死んでも絶対に、タバコを止めてやる。

目の前で偉そうに踏ん反り返っている、

こいつには、絶対に復讐してやる。

こいつには、絶対に目に物を見せてやる。

 

支店長が止められないタバコをやめて、支店長が知らない酒を断ち続けて、

絶対、絶対、絶対に、いつか絶対に、こう言ってやろう、と

紙に書いて持ち歩いていた言葉があります。

 

吸いたくなったとき、繰り返し読み返して車の中で音読しました。

 

「タバコなんか、止めるのは簡単だったな。

断酒の方が死ぬほどキツいよ。

まぁ、同じ立場ならあんたにはどっちもできないだろうけどな。

まだあんなもん吸ってんのか?

それなら、お前は俺に比べて成果を出していないことになるぞ?

成果を出してなかったら、『頑張ってない』んだろ?

ほら、悔しかったら今日からやめてみろよ。

俺に「断酒は当たり前」と言い切ったんだ、それより簡単なタバコくらい、スパッとやめられて当然だよな?

え?できない?別にそれでもいいよ、お前ごときは、そうなんだろ。

ただ、お前は俺に何もいう資格はなかったな。

ほら、俺をコケにしたことを泣きながら土下座して詫びろよ、根性なし。」

 

この悔しさが、断酒4ヶ月でドライドランク状態のなか、禁煙できるだけのマインドを形成してくれました。

 

止められない人ほど、逆に『意志が強い』から成功する!

実は、タバコをやめられない人は、意志が強いのです。

「いやいや、やめようと思っても止められないんだから意志弱いでしょ」と思うでしょ?

 

しかし、意志が弱い人なら、こんなに健康に悪くて、家族や職場から嫌な顔をされて、少ない小遣いを圧迫するような物を何年も買い続けられないと思いませんか?

様々な障壁があるにも関わらず「タバコを吸いたい」という一念を貫き通す人のほうが、周りに言われて「じゃあいいや」と止められる人に比べて、『意志の強さ』自体は明らかに強いのです。

つまり、「タバコを止めたい」という一念を貫き通す方向にベクトルをシフトすれば、これだけ強靭な意志の力を振り向ければ、必ず止められます。

今まであなたは、本気で止めようと思っていなかっただけです。

あなたが私と同じ意志の強いなかなかやめられなかった人なら、必ず止められます。

 

私が試して成功した方法・失敗した方法

では、どのようにしてやめたのか?を紹介します。いろいろ試したので、成功した方法と失敗した方法をそれぞれ紹介します。

 

①成功した禁煙方法

・繰り返し繰り返し、タバコで味わった悔しさを思い出す

何でもいいので馬鹿にされたときのことや、タバコに対して何か言われたことを、いつ誰に何を言われたか、克明に記載しておき、何度も読み返します。

タバコが吸いたくなっても、吸いたくなったら、毎回音読して悔しさを鮮明に呼び戻します。

そうすれば、タバコが吸いたくなったら自然と音読していた言葉を思い出せるようになります。当時の悔しさや血が逆流するような怒りを瞬時に思い出せるようになります。

その連想回路が成立すれば、次第に吸いたいと思うこと自体に嫌悪感を感じるようになります。そうなれば、「タバコを吸いたい」を自然に回避できるようになります。

 

・ミンティア・ガムで口寂しさを軽減し「習慣」を断つ

喫煙の習慣がある場合、「起きた時」「コーヒーを飲むとき」「この喫煙所についたら」「食事を終えた後に」「セックスをした後に」「仕事終わりに」「運転しているときに」など、決まったタイミングで『タバコを咥え火をつける』というルーティーンが脳に刷り込まれています。

これが厄介で、特に吸う気がなくても、ある場面・あるタイミングになると勝手に脳が『ここでタバコでニコチンが摂取できる』と経験から連想して、タバコに手が伸びてしまう原因になります。

この習慣を変えるには、別のルーティーンに置き換える必要があります。

おススメなのは、ミンティアやBLACKガムなどのミント系の菓子類です。

これらは糖類を多少含んでいるものの依存性がないため、ルーティーンに置き換えても別の依存を生むリスクが少ないためです。

糖分が多いものにシフトしてしまうと、糖質の過剰摂取はインスリンの分泌過多を招き、食原性の低血糖症状を招きます。食原性低血糖は、抑うつ症状や不安障害の原因になります。

 

・襲いかかる眠気をカフェインで覚醒させて1ヶ月乗り切る

ニコチンを繰り返し摂取すると、脳にニコチン性アセチルコリン(nACh)受容体が形成されます。

喫煙者は、常にニコチンの血中濃度を高めておくことで、このnACh受容体が覚醒・興奮を促すドパミンを放出させるので、覚醒レベルが高く保たれているわけです。

しかし、ニコチンの摂取をやめると、このnACh受容体にニコチンが結合できなくなるため、ドパミン濃度が低下してしまいます。

したがって、覚醒レベルが低下して、強い眠気が襲いかかります。

眠気が1ヶ月程度続きますが、これは、脳がnAChの受容体の量を喫煙以前の受容体の数にリニューアルするために必要な期間が1ヶ月程度だからだと言われています。

ニコチンが枯渇して「ああ、もうニコチンは入ってこないからちゃんと他の回路でドパミン分泌を促さないといけないな」と脳が諦めて構造改革を行うのには、1ヶ月必要なのです。

それまで眠気と戦うために、一時的にカフェインに頼りましょう。

しかし、カフェインの過剰摂取は健康によくなく、頭痛や不眠の原因になります。

欧州食品安全機関(EFSA)が発表した成人において安全とみなされる量は3.0mg~5.7mg/kg。60kgの人だと180~342mg/回となります。インスタントコーヒー1杯で約60mgのカフェイン含有量なので、3~5杯/回が限度です。

また、カフェインの血中半減期は4~6時間で、短時間にコーヒーやエナジードリンクをがぶ飲みするのはよくありません。よく注意してください。

特に、最近出ているエナジードリンクには1本で120~140mgのカフェインを含有しているものが発売されています。これを2本飲むともう飲みすぎですが、これはあまり意識されていないので、特に気を付けましょう。

 

・禁煙アプリで節約できたお金や健康に良い効果を計測する

近年では、様々な禁煙アプリがあります。中には「これだけお金が節約できました」「これだけ髪の毛を守れました」「これだけ健康寿命が延びました」とカウントしてくれるアプリがあります。

ダウンロードして、今こうしてタバコを我慢している間にも着々と体やお財布に良い効果が起こっているんだ、ということを喜びとして実感しながら禁煙すると、充実感があります。

 

・現在禁煙してどんな身体的メリットが発生しているか確認する

これからどんどん体が健康になり、今までに失ったものを取り戻せるような気がして、「なんのためにやめてるんだろ」という虚無感に襲われたときに、継続する手助けをしてくれます。

 

②失敗した禁煙方法

・禁煙パイポ・ニコチンの入っていないリキッドタイプの電子タバコ

これは、前述した『口に咥える習慣』をなくすことが大切なのに、いつまでもそこから抜け出せないので、結局咥えるものをタバコにシフトしてしまいやすくなります。

私は禁煙を決意する前に、止めてみようとこの方法を試しましたが、結局ニコチン入りのリキッドに手を出したり、タバコに戻ってしまったりで失敗しました。

 

・ニコチンパッチ・ニコチンガム

これは、ニコチン依存が変わらないので、いつまでも苦しいだけです。脳がタバコを欲するのは、「習慣」と「ニコチン」に対する2重依存なので、片方だけでは文字通り片手落ちです。

「習慣」と「ニコチン」の両方を同時に断ち、脳に「もうニコチンには頼れない」と信じ込ませる必要があります。そうしないと、なかなかnACh受容体が減らず、脳の報酬系回路が変わってくれないので、長く苦しむことになります。

 

いかがでしょうか。

あくまで私が試し成功した・失敗した方法なので、もしかして読んでくださったあなたには合わないかもしれません。しかし、確実に止めて今解放されている私の実体験なので、決してウソではありません。

毎朝タバコでえづいたり、階段を上るたびに息が切れたり、臭くないか気にしながら会議室に戻ったり、デート中にイライラしたり…。

そんな毎日にさよならするチャンスは、すぐ目の前にあります。

 

では、また!

【依存症】禁煙したいひとへ①:タバコの実害を論理的に考えてみよう

こんにちは、 ちあき です。

私は何もタバコやアイコスを吸っている「人」が嫌いなわけではありません。

嗜好品の選択権は個々人にあると思ってます。

タバコやアイコスそのものが、個人的に嫌いなだけです。

ニコチン依存症になってしまったらたばこを手放せなくなるのは、脳医学的には仕方のないことで、その「人」そのものに罪はありません。依存性の物質である「ニコチン」こそが諸悪の根源です。

タバコをやめられない人に対して「意志が弱い人」とか「自堕落な人」とか「ヤニカス」などという評価をするのは、もはや前時代的といえるでしょう。

と偉そうなことを書いている私は、大学1年生から社会人8年目までの12年間、1日2箱~3箱を消費するチェーンスモーカーでした。

現在は卒煙して4年が経ち、タバコを欲しいとは全く思わなくなりました。

 

 

なぜタバコはやめたほうがいいのか?

タバコやアイコスを吸う人は、「いいじゃん、自分の勝手なんだから、誰にも迷惑かけてないし、税金払ってるんだから文句言われる筋合いはない!」と思うひともいるでしょう。

正直、やめるまえは私も思っていましたし、言ってました。(笑)

何より、他人に自分の行動を指図されるのが嫌なので、論理的に説明されればされるほど意地になって従おうとはしませんでした。

でも、うすうすは貴方も、「これなくていいなら、無いほうがいいよな」と思っていませんか?

ここでは、一度フラットかつ客観的に、タバコのデメリットについて整理してみましょう。

 

①臭いがくさいから

シンプルに、くさいです。

吸っている当時はわかりませんでしたが、止めてみてわかるこの悪臭。タバコを吸った直後は、コーヒーとの相乗効果で、吐く息はとんでもない毒ガスと化します。

営業職でもまだ喫煙する人はいて、会議のたびに喫煙所に行っては戻ってくるのですが、スーツも吐く息もくさいので、正直隣になりたくない、と思ってしまいます。

本人は気づいていないので、おそらく営業先でもそんな臭いを漂わせながら接客しているのか、と思うと、すこし顧客の心労がしのばれます。

 

②かかる経費が高いから

タバコは純粋に製品として高いと思います。

タバコでもアイコスでも1日1箱だとして、約500円/日。月間1.5万円=年間18万円。

アイコスの場合は、本体料金で約2万円の初期投資で、各部品の耐用年数が約1年なので、プラス2万円かかり、トータル年間20万円かかります。

耐用年数は、1日1箱の喫煙量で計算しています。チャージャーは約400回充電だから毎日充電すると1年1ヶ月で交換になりますし、ホルダーは約7,300回充電だから20本×365日=7,300で、ちょうど1年で交換になるという根拠に基づいています。

私が現在通っている専門学校の社会福祉士講座は約40万円。2年間の通学なので、年間20万円です。

つまり、タバコやアイコスを吸っている人は、ただタバコを嗜んでいるだけで、国家資格を取得できる専門学校の学費と同等の金額を毎年支出していることになります。

 

③人体に悪影響だから

こんなにお金がかかるタバコやアイコスが健康やメンタルに好影響だったら、年間18~20万円の投資も悪くはないのですが、残念ながら人体には悪影響しかありません。

ニコチンは体内に入ると様々な神経伝達物質を分泌促進させます。

一見いいように見えますが、「タバコによって」分泌促進されることが問題です。

タバコの刺激がなくては、なかなか分泌されないようになるからです。

だから、タバコがないと不安になったりイライラしたり集中できないような気がしたりする、という状況になります。

つまり、「タバコを吸うと集中力が高まる」のではなく、もともと何もなくても分泌できていたものが、タバコのせいで不自然に多量に分泌されることにより、タバコがないと通常の刺激では分泌されにくくなるので、「タバコを吸ってやっと標準レベルに戻れる」体になってしまっただけなのです。

ゆえに、タバコを吸うとストレスが解消されるのではありません。

タバコを吸っているからストレスが生じていて、タバコ由来のストレスなのを忘れて、あたかも全てのストレスがタバコを吸うと解消できていると勘違いしているだけです。

タバコが解消できるストレスは、タバコが吸えないストレスだけです。

また、メンタル面だけでなく、フィジカル面でもタバコの影響にいいものはありません。

血管を収縮させるため、血圧をあげます。末梢血管が収縮して皮膚の温度を下げます。ですので、高血圧や冷え性の原因になります。

高血圧は、3大生活習慣病のひとつで、慢性的に高血圧の状態が続くと、そうでない場合に比べて狭心症や脳卒中で死亡するリスクが高くなります。

タバコに含まれるタールは、肺に付着して肺胞を汚染します。

赤血球は通常、ヘモグロビンというたんぱく質と結合させて酸素を運ぶ役割をしています。しかし、一酸化炭素を摂取すると、一酸化炭素がヘモグロビンの中の多数のヘムのひとつに結合するとヘモグロビンの立体構造が変化して、酸素親和性が以上に強くなり、酸素を放出しにくくなるため、極度の酸素欠乏を引き起こす中毒症状となります。タバコを吸っていて長距離走をすると息切れをしやすいのはこのためです。

妊婦・子供に対する悪影響は、成人よりも高リスクです。

旦那さんが吸うたばこの副流煙はより有害で、妊婦さんが吸っていなくても、旦那さんの副流煙で間接的に喫煙状態になれば、血管が収縮して胎盤や臍の緒に十分な血液がいかなくなれば、胎児である赤ちゃんに十分に栄養と酸素が送られず、苦しい思いをさせています。

胎児がニコチン中毒になる可能性があります。

流産の確率が2倍・早産の確率が1.5倍になります。

子供が無事生まれても、発育遅延リスクが2倍、肺がんになるリスクが2倍、呼吸器系の病気になるリスクが2倍、乳幼児突然死症候群になるリスクが10倍になります。知能指数が低くなるというデータもあります。

奥さんが妊娠したのにタバコを吸っていて、何か言われたら「何をそんな神経質な」と笑っている人をよく見かけます。知識がないことは恐ろしいことだな、と思います。

 

④仕事に影響するから

喫煙者は、得意先から嫌われるリスクが高いことは明らかです。なぜなら、顧客がタバコを嫌いなケースがあるからです。どのような顧客にも好意的に対応できるよう努力するべき営業職などはもってのほかだと思います。星野リゾートなどホスピタリティの高い企業は喫煙者を採用しません。製薬会社でも、世界でTOP企業の一つ、ファイザー社は、禁煙補助医薬品を扱っている関係で社員は全員禁煙です。

また、営業職でなかったとしても、労働者として能力が低くなる可能性があります。仕事をさぼる時間が増加が増加するからです。

タバコに含まれるニコチンの血中濃度は、吸った瞬間に一気に上昇し、30分後には血中半減期(つまり半分になる)を迎え、1時間後には1/4になり、ニコチンに対する飢餓感が高まります。

喫煙者がだいたい1時間ぐらいでイライラしだすのはこのためです。

1時間に1回タバコを吸いに行っていたとすると、8時間勤務として8回。1回10分として80分。年間300日勤務だったとして、24,000分=400時間。

タバコを吸っていなかったら400時間自由に使える労働可能時間があると考えると、同じ能力でも喫煙者と非喫煙者をどう評価するかは明白です。実際、大阪府職員が2年で440回タバコ休憩で150m離れた別の建物に日参していたことがバレて処分を受け、依願退職しています。

参考:アイコスは特別ではなく少しマシな代用品

「アイコスとタバコは違う」「アイコスだからくさくないし他の人の健康に配慮している」と言うひとがいますが、それはあまり正しくありません。

 

科学的に解明できていないだけ、エアロゾルの有毒性について軽視するのは極めて危険です。

日本呼吸器学会において、非燃焼・加熱式タバコや電子タバコについても同様に健康被害の懸念を示す発表がなされています。

1.非燃焼・加熱式タバコや電子タバコの使用は、健康に悪影響がもたらされる可能性がある。

2.非燃焼・加熱式タバコや電子タバコの使用者が呼出したエアロゾルは周囲に拡散するため、受動吸引による健康被害が生じる可能性がある。従来の燃焼式タバコと同様に、すべての飲食店やバーを含む公共の場所、公共交通機関での使用は認められない。

有害物質や副流煙についても、決して安心というわけではありません。

新型タバコは周囲の人々への受動喫煙の危険が指摘されています。「煙が出ない、あるいは煙が見えにくい」とされていますが、特殊なレーザー光を非燃焼・加熱式タバコ使用者の呼気に照射すると、大量のエアロゾルを呼出していることが明白になります。燃焼式タバコ 使用者の呼出煙(“見える煙”)と同様に、大量の“見えにくいエアロゾル”を呼出しています。

世界保健機構では、「電子タバコのエアロゾルにさらされると、健康に悪影響がもたらされる可能性がある」と指摘しています。

世界保健機構がレビューした複数の研究では、電子タバコ使用者の呼出煙中のニッケルやクロムなどの重金属濃度は、燃焼式タバコの呼出煙よりも高い、PM2.5、ニコチン、アセトアルデヒド、フォルムアルデヒドなどの濃度は燃焼式タバコの呼出煙中より低いが、通常の大気中濃度の 14 – 40 倍(PM2.5)、10 – 115 倍(ニコチン)、2 – 8 倍(アセトアルデヒド)、20%高い(フォルムアルデヒド)、とされています。

燃焼式タバコの受動喫煙による健康リスクに対しては明確な科学的根拠がありますが、新型タバコの受動喫煙による健康リスクについて科学的証拠を得るにはかなりの時間を要します。有意な健康リスクではないとの主張もありますが、根拠はありません。

しかし、“見えにくいエアロゾ ル”中には通常の大気中濃度を上回る有害物質があるわけですから、「受動喫煙者の健康を脅かす可能性があると考えることが合理的である」、と世界保健機構は述べています。特に、呼吸器疾患を持つ患者さん、冠動脈疾患をもつ患者さん、などにとっては有害な影響がでることが懸念されます。また、何よりも、このような有害物質を含む呼出煙を吸わされることを望む方はいないでしょう。 新型タバコは、従来の燃焼式タバコに比べてタール(タバコ煙中の有害物質のうちの粒子成分が削減されていますが、依存性物質であるニコチンやその他の有害物質を吸引する製品です。従って、使用者にとっても、受動喫煙させられる人にとっても、非燃焼・加熱式タバコや電子タバコの使用は推奨できません。

 

タバコやアイコスを吸ってもいいことはない

いかがでしたか?

私は吸っていた当時、耳が痛い話を聞かされても「そんなの俺の勝手だろ!」と思っていました。

でも、よくよく冷静に考えてみると、それってこれらのデメリットに対する根拠にひとつも反論できてないですよね。

その深層心理にあるのは、「依存している」という事実を認めたくない気持ちです。

だから、真の理由である依存とは別の理由を話さざるを得ず、その理由は論理的かつ学術的に考えれば全く合理的ではない内容になってしまいます。

そして、賢い皆さんはじつは言いながら、もうそのことには気づいているのはありませんか?

ニコチンに脳みそを乗っ取られるなんて、馬鹿らしいと思いませんか?

賢い皆さんなら、必ずやめられます。

こんなアホな私でも、アルコール依存症で4回も再飲酒する私でも、止められたんですから。

たばこ税は年間約2兆2000億円ですが、毎年11万人以上の死者を出し、医療費支出増は約5兆円、家事や清掃等の諸経費で約1兆円かかってます。ですので、実質4兆円の赤字です。

よって、「税金払ってるんだから」は通用しません。

タバコをやめたほうがこの国の財政上明らかに有益です。

次回は、なぜ私はタバコをやめようと思ったのか、どうやってやめたのか、についてお話ししたいと思います。

では、また!

【依存症】厚労省監修の依存症啓発漫画がスゴすぎる件

韓国の金浦空港で航空会社の職員に暴行、警察に拘束された、厚生労働省のキャリア課長のニュースが話題になっていますね。

酔って空港に到着し、ホテルに帰ると言い出したり、殴りかかったり。

これら酩酊状態で行った行為を「覚えていない」ということでした。

これは「ブラックアウト」と呼ばれる状態です。

酔って行動したことについて記憶がない状態で、医学的には「異常酩酊」という酩酊状態だったといえます。

安易に非難する前に

「もしかしたら『お酒をやめられない病気』なのでは?」

と思い至った人は、世の中にどれだけいるのでしょうか?

 

話は変わりますが、

「厚生労働省 依存症対策推進室」監修による

「だらしない夫じゃなくてアルコール依存症でした」

という三森みさ先生が描いた漫画が巷で今、大変話題になっています。

この漫画が本当に素晴らしく、我が家は感動しっぱなしでした。

依存症当事者や家族がどんな点が共感され、高く評価されているのか、

恐縮ですがすこしだけ感想を交えながら紹介してみたいと思います。

 

⭐︎追記:ついに書籍化!(2020年3月2日)

 

 

オールカラーなのでWEB版と同じまま読めます。
■実はWEB版よりちょっぴり色味が明るくなってます。
■全国の依存症相談窓口の紹介付き
描き下ろし50ページ以上!
タフラブ(18p)とスリップ(27p)について、2話追加。
■最終話も調整して+10P以上変更
■WEB版の本編の扉絵6話分変更
描き下ろしの挿絵12個あります
裏表紙にちょっとしたおまけもつけておきました。
番外編も入ってます
全話ちょこちょこ作画修正しました
■WEB掲載時、スクロール用のコマ割りを書籍用に整えました。

名作と名高いweb版からさらに改良が加えられた本書は、アディクションに関わる人間は必携と言っても過言ではありません。

どんな作品か、少しだけ紹介と感想を書いています。

 

作品紹介

題 : 「だらしない夫じゃなくて依存症でした」

略称 : だら夫

作・画 : 三森みさ https://mimorimisa.com

監修 : 厚生労働省 依存症対策推進室、特定非営利活動法人アスク、時事通信社

取材協力 : 琉球GAIA、那覇断酒会、Karma

趣旨 :

「この漫画は、依存症全般に関する知識を普及する目的で制作しています。

アルコールの摂取・文化を否定する意図はありません。

また、この物語の登場人物は全て架空の人物ですが

依存症者・関係者の方の実体験談・見聞を参考に造形しております。」

とあります。

つまり、内容自体は、リアルな体験から語られたノンフィクションだということですね!

しかも三森先生によれば「聞いた話を希釈して、内容を読みやすいようライトにしている」とのこと。

壮絶な体験からエッセンスを抽出して読みやすくするのは、相当な苦労だったと想像します。

 

あらすじ :

大学の頃から付き合って結婚した「山下ショウ」と「山下ユリ」。

どこにでもある普通の夫婦の日常は、少しずつ影を落としていた。

ユリは気になる悩みがあった。

ショウが就職して社会人になり、お酒の付き合いがだんだん増えてきたころ、少しずつ彼のお酒の飲み方が変化してきたことだった…。

何よりもストーリーと登場人物がおもしろい

主人公的立ち位置の2人以外にも登場するキャラクターそれぞれに個性があり、それぞれが「あぁ、こういう人いるいる!」という親近感があります。

 

武田: ユリの勤務先の憧れの先輩。面倒見よくて社交的で明るくて優しくて気遣い抜群でしかもお酒飲まない。野球で小中高と抜群の成績を残し推薦で体育大学へ進むも、結果が出せなくなった不安からパチンコにのめり込み始める。ギャンブル依存症。

 

マユ:ユリの幼馴染。美大出身のアーティスト。個展を開くほど作品が評価されているプロ。育ってきた家庭環境が複雑。母親の再婚相手からのDV経験あり。薬物依存症。モデルは実際に活動されているフリーランスのプロカメラマンでミュージシャン・シンガーでもあるkarma(カルマ)さん。児童福祉×芸術をテーマにした「educart」でdirectorをなさってます。https://mobile.twitter.com/k6rm6

 

新藤:ショウの会社の先輩で、大学時代の武田の先輩でもあり、武田にパチンコを教えた人。お酒を飲むのが好きな面倒見の良い先輩キャラ。依存症について知らなかったが、後輩の武田からアルコール依存症やイネイブリングについて教えてもらい…。

 

これらの人々のピースが少しずつ合わさり、依存症からの回復に向かっていくのですが、毎回きになる終わり方をします。

続きが気になってたまんなくなります。

8話の終わりなんて…なぁ。

最後の一行で悶絶すること間違いなしです。

 

当事者と家族の両サイドの気持ちが描写されている

「依存症者の家族」のユリちゃんの視点、「依存症当事者」ショウちゃんの視点、それぞれの主観で物語が構築されていて、ココが「家族も当事者も共感できる」という最大のシナジー効果を生み出しています。

片側の描写のみで描かれる素晴らしい作品は今までにもありら私が好きな代表的な作品としては、以下の作品がとても勉強になりました。

 

◾︎当事者サイドの作品

まんしゅうきつこ先生の「アル中ワンダーランド」

吾妻ひでお先生の「失踪日記」「アル中病棟」

◽︎家族サイドの作品

菊池真理子先生の「酔うと化け物になる父がつらい」

 

依存症に悩む家庭では、当事者も家族もそれぞれに辛さを抱えていますが、病気についての正しい知識や周囲の理解がなくては、お互いのことを考え「許す」ことなど、到底できない修羅の中にあります。

 

いえ、正しい知識を持っていたとしても、もう一度愛したいのに、どうしても消せない記憶と憎しみと後悔を抱えて、パートナーとの深い溝を埋められずにいる依存症患者と家族のほうが多いでしょう。

 

私自身、アルコール依存症を患い、断酒を始めて4年。スリップ(再飲酒)を4回していて、直近の連続断酒期間もうすぐ2年7ヶ月になります。(2020年2月現在)

毎週断酒会に通い、支えてくれている妻の気持ちを分かったような気になっていました。

何も分かっていなかったのだ、とこの作品を通じて痛感しました。

妻と2人でこの作品を読みながら泣きました。

 

どんなサポートが望ましいか、具体的に書かれている

ユリちゃんは本当にすごすぎます。

正直、ここまで理想的な姿はなかなかできないし、ご家族は本人より辛い、と言われているので、出来なくても誰も攻めることなどできません。

「イネイブリングを止めるのはすっごく辛い(妻談)」のに、共感してアイメッセージで気持ちをアサーティブに伝えるなどして、ショウちゃんと共に回復する道を歩いて行く姿は、妻はすごく勉強になった、と言っていました。当事者にとっても、ご家族の気持ちと今までの言動の数々の背景を知る上で重要であり、ユリちゃんとショウちゃんを涙無くして応援できないでしょう。

 

依存症からの回復には、本人・家族、そして、周囲の理解が必要不可欠です。

 

アルコール依存症は過去「アル中」などと呼ばれて揶揄されてきました。

作中でもユリちゃんですら、最初のアルコール依存症に対する考えは以下の通りでした。

「私は『酔っ払うと暴力を振るって、飲んでばかりで仕事もせず、酒が切れると手が震える。』ろくでもない人がアルコール依存症になると思い込んでいた。」

依存症のイメージは、皆さんの頭の中に間違って固定されているかもしれません。

 

「意志が弱いやつがなる病気」

「だらしないダメなやつがなる病気」

「依存症になったらもう社会的に終わり」

という間違ったステレオタイプの依存症患者のイメージが未だに是正されず、それが回復を妨げています。

 

この作品は、

「依存症は誰でもなる可能性がある病気」

「心の穴を埋めるためになってしまう病気」

「回復を目指すことができる病気」

という真実を、当事者たちではない方々にも依存症を正しく知ってもらうことを考えて構成してくれています。

新藤先輩が、そのモデルケースの最たるものです。

依存症について知らなくて、後輩のショウちゃんが凹んだら良かれと思って飲みに誘う、どこにでもいる面倒見のいい先輩。

私は、断酒を継続して1年半を越えたころに立候補して時間をもらい、「私は依存症です」と会社の同僚全員に定例会議で10分間のプレゼンで病気を公表して社内で勉強会をすることで、理解してもらえる環境を自分から整えようとしました。

しかし、この方法はすごく精神的にシンドイのでお勧めできません。(笑)

プレゼンでは緊張で口がカラカラになって唾も飲み込めないし、脂汗が止まらなかったです。

 

全く理解してもらえていなくて辛かった時期、私の会社での日々は、こんな言葉を常に投げかけられる毎日でした。

「飲まなくなってつまらなくなったなぁ」

「本当は飲めるのに飲まないなんて失礼」

「酒も仕事のうちなのに、できねーやつ」

「依存症ってほどじゃないよ普通でしょ」

 

 

面倒見の良い新藤先輩みたいな優しい人ほど

「本当は飲みたいのに我慢しててかわいそう」

とか

「酒癖が悪いだけだから気にしない方がいい」

とか

言ってしまいやすいことを、この作品はよーく踏まえています。笑

そのうえで、先輩が正しい知識を知り、本来持っている優しさをどう発揮すれば本人のためになるか、理想的な姿が描かれています。

私の妻が

「こんな先輩が一社に1人、一家に一台みたいな感じでいてくれたら、すごくいいのに!」

と叫んだほどです。笑

 

ハラスメントがさかんに取り沙汰される現代。アルハラも例外ではありません。

会社のマネージャークラスは必見、といっても過言ではないでしょう。

 

また、ご家族が陥りやすい「イネイブリング」についても、丁寧に描かれています。

 

「次、飲んだら、離婚だから」

「何回同じこと繰り返すの?」

「いっそ事故で死んでくれたらいいのに」

「あなたには断酒なんて無理」

「妻の私のことなんてお酒以下なの?」

 

今まで突き刺さってきたこれらの言葉は、家族も悩み苦しみ、本人のためを思って必死にやってきた結果なのだと、当事者である私たちも理解できます。

私はユリちゃんを妻に重ねて、純粋にただ感謝しかないな、と思い至り、救われた気持ちになりました。

アルコールだけでなくいろいろな依存症を知ることができる!

私はアルコール依存症については当事者なので勉強してきましたが、ギャンブル依存症や薬物依存症についてはあまり知りませんでした。

この漫画を読んで「あぁ、おんなじだ」と思いました。

依存対象が違うだけで、スリップの仕方とか、全く同じでした。

武田先輩のスリップの話、すごく共感しました。

「節酒でいけるんじゃないか?」って試すんですよ。

最初は1缶でやめられて「なんだ節酒できるじゃん」って思います。

でも翌日から2缶になり、

その翌日には1ケースになり、

1週間で元通り。

頭の回路が故障してる事を体感します。

ギャンブル依存症も同じなんだなーってすごく共感できました。

 

いかがでしたか?

依存症に悩んでいる人も、

「ひょっとして私も?」と揺れている人も、

全然関係ないや、と無関心だった人も、

全てのひとに、知ってもらいたい。

できるだけ多くの人に、読んでもらいたい。

作者の三森先生のTwitterをリアルタイムで読ませていただいて、キャラクターとストーリーに文字通り命を削りながら魂を込めて下さったのだと、胸が熱くなりました。

本当に頭が下がります。

キャラクターに感情移入しすぎてメンタル持っていかれかけながらも、執筆してくださった三森先生には感謝してもしきれません。

本当に、本当に、ありがとうございます。

素晴らしい作品を世に出してくれて。

私たちのことを理解してくれて。

未だ見ぬ人たちに道を指し示してくれて。

 

こんなにも心揺さぶられる作品を、見なきゃ損ですよ!

 

なんと!

こちらから無料で読むことができます。

こんな素晴らしい作品が無料?!

https://www.jiji.com/ad/korosho/izonsho_manga_v01.html

(↑こちらは2020/3/31まで有効です。)

 

⭐︎追記:もう見れなくなる無料web版が、さらに豪華なって、ついに書籍化されました!(2020/3/2)

 

https://mimorimisa.com/memo/20200212/

これはぜひ、常に手元に置いておきたい。。

届いたら断酒会に持って行こうと思ってます。

 


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【依存症】依存症における「スリップ(再飲酒)」の4つのタイプ

こんにちは ちあき です。

断酒から1年半~2年たつと、完全に安定期に入るといわれている断酒期間ですが、2週間前後、2~3ヶ月前後、6ヶ月~1年前後の3つのタイミングで特に再飲酒(スリップ)しやすいことを以前記事にしました。

今回は、再飲酒に陥ってしまうときの4つのタイプについて整理したいと思います。

 

①抑うつ型

→ 抑うつ気分・意欲低下・不安定・疲れやすい・食欲減退

飲酒なしの社会生活にはまだ不慣れな時期に、知らず知らずのうちに精神的疲労感が増大しており、それがストレスとなって抑うつ状態になります。

このストレスをお酒で晴らしたい欲求にかられ、スリップすることがあります。

 

②衝動型

→ 著しいイライラ感・衝動的な行動・不機嫌で怒りやすい・攻撃的になる

些細なことでイライラしやすくなります。運転していて無理な割り込みをされたときなど、普段ならそんなに癪に障らないことにカッとなってしまいます。

私の場合、特に約束を破られたり予期せぬ予定変更をされたりすると激しくイライラしました。車の中で声が枯れるまで叫んだり、ハンドルをこぶしから血が出るほど殴ったりしないと収まりませんでした。

 

③神経症型

→ 頭痛・食欲不振・心気症

慢性的な頭痛に悩まされたり、極度に食欲が落ちたり増進したりして極端に痩せたり太ったりします。これも、今までアルコールでごまかしてきた生きづらさに直面することによるストレスによるものです。発汗・下痢や便秘などの消化器症状・頭重感など、自律神経障害の症状に見舞われ、不眠に悩まされる人もいます。

 

④精神病型

→ 躁うつ病状態・精神病状態

理由のない万能感(何でもできるという不自然な力の漲り)に満たされて、大量の株を購入してしまったり、会社を立ち上げてしまったり、多額の借金をしてすべてギャンブルに投じてしまったり、突飛な行動をするのがこのタイプです。

また、「誰かに監視されている」「携帯電話が傍受されている」「仕事中に休憩しているとき、サボっていないか追跡調査されている」などの根拠のない妄想に苛まれ、精神衰弱してしまうこともあります。

私はMRとして営業している日中、車の中で休憩していても、「常に監視されているような気」がして、実は未だにどこにいても落ち着けません。

休憩していても携帯電話の着信があると、何の用件なのか気になるのですが、電話する気力がないのでコールバックができず、毎日目がピクピク痙攣します。

 

意識していなくても、実はストレスがかかっている

できるだけ無理せず安静にしているのでストレスはかかっていない、と錯覚しがちですが、飲酒しない社会生活を始めるだけでも、実はかなりストレスがかかっています。

今まで飲酒して脳を抑制し感覚を誤魔化していた生活から一変して、すべてを素面のまま受け止める生活になっただけで、かなり環境の変化が起きています。

精神的疲労感が増大しているにもかかわらず、「疲れていないはずだ」「こんなことではだめだ」と頑張りすぎると、ストレス過多になり、お酒の魔力に囚われやすくなってしまいます。

まずは、激しい気分の動揺・焦燥・攻撃性UP・不機嫌・抑うつ・不眠・食欲不振などの症状が出てもしかたがない、と割り切るのも大切です。

断酒しているだけでも相当の努力をしています。

 

 

これは、なかなかお酒を飲まない人や家族には理解してもらえないかもしれません。

でも、断酒している人間ならわかってくれます。今、あなたがどれだけ苦しいか。

だから、断酒会やSNSで同じ立場の人と交流することが、この時期救いになるのです。

そのうえ、転職したり、再就職するなどして、家族や職場など対人関係が変化したりすれば、尚更です。

「今まで入院していたのだから早く社会復帰しなくては」

「家族や会社の信頼を取り戻すためにも頑張らなければ」

などと無理をして働きやすいのですが、これが大きな落とし穴になるのです。

焦ってはいけません。断酒に向き合っているだけでも、あなたは偉い。

2年間はまともなメンタルで居られなくて当然です。

なかなか安定しない自分を、ある程度、許してあげましょう。

 

 

いかがでしょうか。

私も自分を許せなくて焦り、何度も失敗しました。

そもそもこの病にかかる人は、自堕落でいい加減な人ではなく、「真面目で几帳面で完璧主義」の人が多いと言われており、余計に再飲酒(スリップ)しやすいのですが、社会的な評価や偏見は正反対のキャラクターとして認識されているので、しばしば誤解され必要以上に叱責を受け、ますます自分を責めることになりやすいのです。

そんなときは、1日1日断酒を続けている自分に〇をあげてほしいと思います。

では、また!


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【依存症】アルコールの作用とアルコール依存症のメカニズム

こんにちは、 ちあき です。

ミュージシャンで俳優のピエール瀧容疑者がコカインを使用した疑いで逮捕された事件が話題になっていますね。

瀧容疑者は「20代からコカインや大麻を使用していた」などと供述していることが捜査関係者への取材でわかりました。

若年から常用していたところを考えると、瀧容疑者は「薬物依存症」だった可能性があります。

メディアで面白おかしく揶揄されているのを観ると、苦々しくてたまりません。

知識のないひとが、心が弱いだとか適当な事を言って人格否定することで、当事者と家族の依存症からの回復はどんどん困難になってしまいます。

私は、ピエール瀧さんの回復を心から応援しています。

依存症は、だれにでもありえる、本当にすぐ隣にある身近な病気のひとつです。

依存症は、だらしないからなるわけでも、ダメな人がだからなるわけでも、悪い人だからなるわけでも、心が弱いからなるわけでもありません。

決して、人格の問題ではないのです。

実は、成人を過ぎた半数以上の人々が口にしているアルコールも、コカインに近い依存性を持っているのですが、ほとんどの人がそんな認識を持っていません。

今日は、アルコールが脳にどう作用して、どこをおかしくし、その結果何が起こるのか、を医学的側面から分析したいと思います。

なぜ酒が止まらなくなり、なぜ思考がおかしくなるのか?

依存症は、決してあなたの意志が弱いわけでも、あなたの性格が悪いわけでもないんです。

脳を溶かし脳を騙す?「アルコール」という物質の特性

 

脳は、半分以上が脂質で構成されており、残りが蛋白質です。

アルコールは、水溶性が高く、分子が小さく、脂質を溶解します。

つまり、水に溶けやすくて小さくて脳を溶かす物質、ということです。

 

脳の血液脳関門『BBB(Blood Brain Barrier)』というバリアをスルリと通り抜け、血液に乗って脳に入り込みます。

 

だから、酒を飲み続け体内にアルコール血中濃度が常時高かった人は、ずっとアルコールに脳が漬かっていた頭だったといえます。

その場合、6ヶ月しないと健康な人の脳には近づけません。

ただ、断酒していれば脳萎縮と脳機能はある程度回復すると言えます。

酒を止めても6ヶ月までドライドランクなどに悩まされるのは、脳の機能が回復していない、アルコールの影響から完全に抜け切れていないからだとされています。

 

なぜ酔っぱらうと理性が働かなくなるのか?

飲み会でよくある光景ですが、酔うと気が大きくなったり、感情的になったり、セクハラやパワハラしてしまう人、いますよね?

 

それは、本性が現れた、などと勘違いされていますが、正確には間違いです。

 

本当の理由は、理性を司る『前頭葉』という脳の部分に血がなかなかいかなくなるからです。

 

アルコール依存症の脳は、前頭葉の血流が低下しています。

つまり、理性を働かせる部分に血が行かず、理性が働かなくなっているのです。

 

そうした脳の血流低下により、アルコール依存症であろうとなかろうと、酩酊すれば理性は働かなくなり欲望が剥き出しになります。

さらに連続飲酒や習慣飲酒になっていると常時理性が働かなくなっていて、当然なのです。

酒を飲んでバケモノになるのは、医学的にはこのような背景があります。

 

飲酒運転をしてひき逃げしてしまうのも、酒を飲めば誰でも正常な判断ができないから。

「責任感がない」「人として間違っている」などと飲酒による失敗をした人の人間性や人となりを叩いたり、「お酒が悪いんじゃない」「私は酔ってもそんな風にはならない」と自分を棚に上げて飲酒による悪影響を見て見ぬふりをするのは、間違っていると考えています。

だって、現実に脳を溶かし脳の血流を低下させ、倫理的な判断を阻害しているのは、酒なんですから。

お酒が悪いし、動物学上のヒト科である限り同じである以上だれでも酔ったらそんな風になるし、責任感があろうが人として全うだろうが間違いはあるのです。

 

 

なぜアルコールをたくさん飲んでしまうようになるのか?

アルコールは麻酔薬なので、中枢神経を抑制する方向に働きます。

興奮剤かと思いきや、脳の活動を抑制する物質です。

アルコールはドーパミン受容体(=ドーパミンを出させるスイッチ)に作用して、快楽のホルモン、ドーパミンを放出させます。

 

しかし、あまりにドーパミン受容体を刺激し続けると、カラダが、

「おいおい、出しすぎだよ」

同じ量のアルコールではあまりドーパミンを出さないようにしたり、ドーパミン受容体自体を少なく調整したりします。

(この変化をダウンレギュレーションと言います。)

 

そうなってしまうと、同じ量アルコールを飲んでもドーパミンが足りなくなります。

ということは、快感が足りない、と感じます。

だから、もっと大量にお酒がほしいと脳が勘違いしてしまいます。

こうして、酒量はどんどん増えていきます。

だから、アルコール依存症はあんなに狂ったように大量のお酒がほしくなるのです。

 

だから、私たちに飲むという選択肢はない
(再飲酒しやすい時期と注意点)

私が通院する病院で学んだ再飲酒しやすい時期の変遷や要因をまとめると、以下のような図になります。

 

①断酒後2週間前後

…自覚症状の軽減に基づく安心の時期。治療の動機づけがまだ不十分であり、病識が欠けていることが多い。

 

②断酒後2〜3ヶ月

…断酒継続のための精神的緊張の弛緩の時期。一般的に緊張が高かった状態から緩みやすい。(私はここで結構やられました。)

 

③断酒後6ヶ月〜1年前後

…断酒生活への憧れからくる病識の退行の時期。正常飲酒ができるんじゃないかと勘違いしてしまう。「もしかしてお酒とうまく付き合えるかも」という思いが沸き上がりやすい。

 

 

断言できますが

この病気になってしまったら

適量飲酒など

絶対に無理です。

 

なぜなら、「コントロール障害」だからです。

もうすでにコントロールできなくなっているのです。

 

どうしてか?

 

脳が変質しているからです。

アルコールが体内に入ると

際限なく求めてしまう

ドーパミン報酬系回路がすでに出来上がっていて、

1滴でもアルコールが入れば

スイッチがいつでも入るからです。

 

 

断酒会やSNSで酒害を繰り返し思い出して、言葉やtweetに出して、ほかの人のtweetを読んで、はっと気づくことがあります。

その繰り返しにより、1日1日を、薄氷を踏むように、断酒しながら進んでいけます。

 

「やはりお酒をやめていてよかった」

「お酒は飲んではいけないな」

と確認させてくれます。

その気づきが途絶えると、

「あれ?いけんじゃね?」

という謎の自信を脳が創り出します。

 

4回スリップして、

私はそれが間違いであることを

嫌というほど思い知りました。

 

 

誰でもおそらく、

いけるかも

と思ってしまうときはあります。

飲んでいたころの心情をふと思い出して、

郷愁のような感情を抱くときもあるでしょう。

 

でも、それは脳が作り出しているまやかしです。

この記事を思い出して、「いやいや、ダメダメ」と理論的に自分を説得する材料にしていただければ幸いです。

では、また!


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