【依存症】「Move to Earn(M2E)」の闇(仮想通貨・NFT・M2E・ブロックチェーンゲーム)

Move to Earn について

Move to Earn (M2E) とは、文字通り「動いて稼ぐ」というコンセプトの、仮想通貨を用いたビジネスモデルのこと。

Move to Earnのやり方
  1. 仮想通貨取引所で口座を開設します。
  2. 各ゲームのウォレットにトークンのソラナやイーサリアム送金します。
  3. アプリをダウンロードして登録します。
  4. 毎日歩いたり、走ったり、ゲームをプレイして稼ぎます。
  5. 稼いだトークンを換金したり、そのまま保有して増えるのをまったりします。

引用:https://maru7.jp/move-to-earn/

「ブロックチェーンゲーム」に分類されています。

Youtubeで動画検索すると、こんなふうにたくさんのスマホアプリがあって紹介されており、結構流行ってきました。

 

「STEPN」というアプリがパイオニアで、2022年1~2月くらいから流行り始めました。

簡単にいうと、仮想通貨を買って、その仮想通貨で仮想の靴を買って、スマホを持って歩くとポイントが貯まり、そのポイントが仮想通貨に変換できるので、歩くだけでお金が生まれる、という仕組みです。

いかにも怪しいですよね。

でも実際に儲かった人が特に初期にたくさん現れたのです。

それで大変話題になり「俺も俺も」と新規参入者がどんどん増えました。

仮想の靴は最低10万円くらい(2022年8月2日現在)、高い靴は100万円ちかくするものもあります。

10~100万円の先行投資をして、原資回収から収益化を目指して仮想通貨をもらうために毎日毎日歩く、という人が急増したんですね。

最初「Solana」という仮想通貨で成立する「S国」という仮想のフィールドでやり取りして儲かった人が出ましたが、だんだん通貨の単価が下がっていきました。

そこで、次に出てきた「さらに儲かるらしいぞ!」という「BNB」という仮想通貨で成立する「B国」というフィールドがリリースされました。

最初はプラスが出ていた人も大損して、損を取り返したいプレイヤーは次々参入しました。

どんどん上がるBNBの単価。

しかし、100万円以上の追加投資がかかります。

意を決して借金してまで突っ込んで行ってみると、BNBも大暴落。

今、BNBが上がっている最中に参入したプレイヤーは、阿鼻叫喚の地獄絵図です…。

 

M2Eアプリがプレイヤーを依存させる巧妙な仕組み

なぜここまで多くの人をハイリスクな世界に引き込み、アプリにハマらせることができたのでしょうか。

ここにはGAFAMなどのビックテックが開発してきた「依存症ビジネス」のセオリーがあります。

 

ネットスマホゲーム・SNSには「6つの罠」があります。

①人間を操る「目標」という魔法

②予測不能なフィードバック

③段階的に進歩・向上していく感覚がある

④徐々に難易度を増していくタスクがある

⑤解消したいが解消されない緊張感がある

⑥社会的な結びつきがある

ひとつひとつ、みていきましょう。

 

①人間を操る「目標」という魔法

人間は目標を与えられると、無意識にそれを達成しようとしてしまいます。

自分に何も目指すべきものがない人ほど、他人が決めた目標に引っ張られます。

アプリ内で「1日10,000歩達成すると○○」とか「1ヶ月で20万歩達成すると○○」というキャンペーンがあるのはそのためです。

何かインセンティブがある目標を与えることで、意図する行動(STEPNの場合は「歩く」)に誘導します。

 

さらにM2Eには「歩くことは健康に良い」「健康にいいことは素晴らしいこと」という大義名分があります。

非難される行動ではないことが、参入に対する精神的抵抗をなくすとともに、仮想通貨をよく知らなかった人々やゲームに興味がなかった健康志向の人々も、カm…じゃなくてプレイヤーとして市場に引き込むことに成功しました。

なかなか悪魔的で上手いやり方だなと思います。

 

②予測不能なフィードバック

人間は元々狩猟民族です。

狩猟民族は、獲物が取れて食事にありつける日もあれば、何も取れずに飢える日もあります。

だから「獲物が取れた!」という予測不能な出来事に対して、喜びを爆発させ、取れなくても「あの喜びがまた来るはず」と期待することで生きる希望をもち、命を繋いできました。

その習性は今も脈々と引き継がれています。

ギャンブル依存症の場合、当事者は、ギャンブルにつぎ込んでつぎ込んで、借金までして、明らかに損しているし生活が破綻しているのに、数回当たったときの喜びと興奮が忘れられず「明日はくるはず」「いつかまた当たりがきて大金持ちになる」と損切りすることができません。

ドーパミンという快楽を感じる神経伝達物質の神経回路が強烈に当たったときのことを記憶していて、対象行動を取ることをやめられなくなってしまいます。

これをプロセス依存といいます。

まさにこのプロセス依存を引き起こさせるための仕組みとして「ランダムで宝箱が見つけられる」「広告動画を観るとランダムでポイントが入る」「持っているアイテムをお金をかけて配合するとランダムでレアなアイテムになる」といったものをゲームシステムに仕込みます。

また、不定期に「お祭り」をします。

今だけ期間限定で、あのほしかったアイテムが50%OFF!とか、アイテムを強化する要素をプレゼント!とか。

そうすると、人間は本能的に期待を寄せアプリのことが忘れられなくなります。

 

③段階的に進歩・向上していく感覚がある

同じようなことの繰り返しだと人は飽きてしまいます。

自分が頑張った分だけ自分がレベルアップしていくようなシステムだと、行動が報われるので、もっとやろう・もっと頑張ろうという気にさせられます。

「次のレベルになればもっと稼げるようになる」

「もっといいアイテムに進化させよう」

「アイテムをさらに強化しよう」

「課金してさらにアイテムを買おう」

そうすればもっと効率よくポイントが稼げるよ、というふうにシステムを設定します。

STEPNでは実際にレベルアップ制度があります。

段階的にレベルアップすることで、プレイヤー間にはレベルの上下関係が発生します。

人間は群れのなかで序列をつける動物的側面があるので、人より上に立ちたいと願い、下だと不安になるようにできているので、プレイヤーのランキング内で上位に君臨するためにも、頑張ります。

上位であることが自分のアイデンティティとなるので、ゲームをやり続けなくてはならなくなり、抜けられなくなります。

 

④徐々に難易度を増していくタスクがある

運営側はギリギリ達成できるくらいの難易度を提示します。

たとえば、新しいアイテムが1億とかだと、もう一般庶民に手は出せません。難易度が高すぎて敬遠します。

でも100万円くらいなら、借金すれば何とかひねり出せます。ギリギリ達成できるかもしれないところにぶら下げるのが重要で、リスクを背負って飛びつくように煽ります。

「新しいフィールドでは1日で数十万円の利益も夢じゃないよ」

「もう利益を出している人は勇気を出して飛び込んだひとだよ」

「それができない人とできる人が、成功できるかどうかの分岐点」

等と言って、巧みにプライドを刺激します。

 

また、どんどんバージョンアップして、制限を追加したりします。

たとえば、1日に歩ける時間を制限して課金しないと制限が解けないようにしたり、アイテムが消耗して修理が必要な仕様に変更したり、確率が低いがよりレアなアイテムが得られるガチャ機能を追加するなどです。

そうやって最初は無料で単純だったものを、複雑でお金がかかるシステムに改悪していくわけですが、ずっとやっているプレイヤーはどんどん厳しくなるシステムに逆にハマって抜けられなくなる、というわけです。

 

⑤解消したいが解消されない緊張感がある

これは仮想通貨を使ったことがもろに効いてくるんですが、「激しい相場変動という緊張感」が実現している罠です。

前の日には1円だったものが、次の日には数千円になっていたり、逆に暴落したり。

常に安心することができません。

自分が投資した数百万が数百円になるかもしれない…そんな強い緊張感は、仮想通貨を用いた貨幣システムである限り絶対に解消できません。

強い緊張があればあるほど、投資した金額が化けたときの興奮や快感も並大抵ではありません。

毎日が刺激的。そういう異常な精神状態に陥らせることで、四六時中M2Eのことだけをプレイヤーに考えさせることができます。

 

⑥社会的な結びつきがある

知る人ぞ知るM2E。

広いようで狭いその世界は、選民意識を刺激します。

周りが知らない状態でM2Eを始めたプレーヤーは「世界では流行っているけど日本ではまだ限られた人しか知らない最先端のこのゲーム。やっている俺は他人より賢くてスゴイ( *´艸`)」と内心思っています。

そして、同じようにM2Eをやっている人を見つけると、仲間意識を持ちます。

SNSが発達している現代社会ならではですが、そういう仲間をネット上で見つけて繋がることができるので、コミュニティーというか一種のコロニーが出来上がります。

同じように借金してまで参入した人、最近始めた人、儲かった人、大損した人、そんな人たちが入り混じり、WEB上で社会的な繋がりを形成しています。

歩くという行為は孤独です。

稼ごうと焦れば焦るほど、1日1~2万歩という過酷な目標をかかげ、そのつらくて孤独な作業に挫けそうになるのですが、そんなときに心の支えになるのが社会的な繋がりです。

M2Eをやっていて同じ夢を追いかける仲間のコミュニティーがあることで、限界まで頑張る(実際には意図的に頑張らされている)し、現実のM2Eを知らない人との繋がりよりもオンラインという仮想空間での繋がりを重視するようになります。

居場所がそのコミュニティーになると、ますますそこから抜けられなくなります。

コミュニティーを離れた結果、待っているのは、現実には存在しない概念に振り回されて単に歩きまくり足腰を痛めかけている、疲れ果てた孤独な自分のリアルだからです。

 

まとめ

「歩くだけで年収数百万儲けられる」

そんな美味しい話は、残念ながらありません。

一時的に儲けが出たとしても、ずっと続く営みではありません。

仮想の世界の仮想のお金で、仮想のアイテムを買って、仮想の空間の顔も分からない人との繋がりに居場所を求める。

それは、空虚な現実逃避です。

「自分の将来がどうなるかわからない」

「今の仕事をやめて楽して稼ぎたい」

そんな不満や不安を忘れるために、それらしいサービスにハマってしまう人に、私はとても共感します。

仕事はクソつまんないし、ウクライナで戦争してて日本も滅びそうだし、何の意味もないワクチンやマスクをするのが当たり前の狂った世論が主流だし、そりゃあもう嫌になっちゃうでしょうよ、生きていくのが。

 

わかる。わかるよ。

 

だからハマってしまう人というのは、ダメでもアホでもないし、悪くないと思います。

巧みに本能的な部分を煽って依存させるようなコンテンツをつくっている側が悪いに決まってます。

 

本当に大切なものは、実際に自分の身体で触れられる、この現実世界にあります。

一時の欲望や快楽で、本来大切にすべきものを見失わないようにしましょう。

 

しかし、一度味わった「稼げる」という感覚は脳に強烈に記憶されているので、新しいM2Eがローンチされるというニュースを聞けば気になり「またあのときのように稼げるんじゃないか」「今度こそ出資者リストが豪華だし大丈夫なんじゃないか」「今度こそ初期から参入して先行者利益を狙えるんじゃないか」と思ってしまうことでしょう。

それが依存です。そして、依存だということを当事者は否認するでしょう。

今後、この分野の依存症に苦しむ人は増えてくると確信しています。

借金問題・横領着服・訴訟・経済苦による自殺、などで表面化してくることでしょう。

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