【メンタル】ずっと憎んできた、不倫をした父を赦せた話

私は、不倫をした父を憎んできました。

そんな風に父に寂しい思いをさせた母を憎んできました。

そんな寂しさに付け込んで父をたぶらかした不倫相手を憎んできました。

でも、ここ数日で、もう憎まなくていい、いやむしろ憎むことなんてできないんだ、と思い至りました。

うまく書けないかもしれないけど、書いてみます。

父と母

父は自身のことについては寡黙で、人に合わせるタイプでした。

しかし、芯の強さは垣間見え、仕事に対する拘りや熱意は狂気すら感じるほどの熱量でした。おそらく、父はASDで高機能自閉症だったように、今思えば分析できます。

母は、繊細で傷つきやすく、ADHD的な空気の読めなさも相まって、直情型でした。

HSP的な些細なことが気になってしまい神経をすり減らすところがあり、たびたび最も当たりやすい父にあたっていました。

私が中学生・妹が小学生のとき、父は仕事の忙しさがピークに達していて、ほとんど家に帰ってくるのは深夜で、早朝から出かけていきました。

私の中では、家族だけどいつも一緒にいない人、という遠い存在になっていきました。話しかけようにも、何を話したらいいかわからない、父という人。

そういう距離感は父にも伝わっていたのか、父のほうも子供に対して一定の距離があるような接し方になっていきました。

母は、自分のことで精いっぱいだったのでしょう。

よく父が帰ってこない、何も手伝ってくれない、と愚痴を聞かされました。それを聞くのが、私は本当に嫌でした。

「なんで、一生一緒にいようと思うほど一番好きな人なのに、直接言わないで僕に悪口をいうのだろう」

一度「でも、一番愛している人だから、お父さんと結婚したんでしょ?」と聞きました。

母は「そのときは2人いて悩んでいたけど、お父さんにしたのよ」と言いました。

私はそれを聞いて「この家族は偽物だ」と強いショックを受けたのを覚えています。最も愛していると思っている間柄でさえ、嘘があるのか。じゃあもう何も信じられないじゃないか。

この経験が、私は浮気をしたくない、してはいけない、悪口はその人がいないときにその人以外に言いたくない、という強固な想いが生まれたのだと思います。

そんな折、父は不倫をしました。

職場で一緒に働いている女性でした。

私は知りもしませんでした。

ある日、中学校に迎えに来た母が、いきなりコンビニに止まったので

「どうしたの?」と聞いたら

「この番号に電話をかけて、『お父さんを盗らないでください』と言いなさい」といいました。

「なんで?」と聞いたら「お父さんが好きになった人だからよ」と言いました。

わけがわからなかったけど、電話しました。知らない女の人の声がしました。

「どなた?」「〇〇の息子です」「・・・・・えっ」

「えーっと、お父さんを盗らないでください」

「誤解です、そんな関係じゃないの」

「知らないけど、そう言えって言われたので、じゃ、よろしくお願いします」

電話を切った後、心の底からマグマが噴き出すみたいに、怒りなのか憎しみなのか、よくわからない気持ちになりました。

家に帰ってから、父が帰ってきました。

私の部屋に来た父は、憔悴していました。見たこともない、情けないみっともない顔をして、恐る恐る「ただいま」と言いました。

私は、震えました。

「なんでそんな顔するんだよ、そんな顔するならやるなよ」

「あの知らない声の人は俺たちより大事なの?ならそっちにいけばいいじゃん」

「どうせこの家は偽物なんだから、全部ぶっ壊れてしまえばいい」

そう思って殴った壁がへこみましたが、それは今でも実家に残っています。

こんな経験から、私は、一番愛している人と結婚しよう、そうでなければ結婚などしないほうがいい、不幸になるだけだ、と強く思うようになりました。

不倫は何よりも不誠実な行いだと、問答無用で憎んできました。父も母も、他人も、信じられないと思うようになりました。

妻以外の女性を愛して

そんな私に衝撃的な出会いがありました。

私は、妻以外の人を、深く愛してしまいました。

肉体関係はないし、顔も拝見したことがない人です。相手も同じ。

妻は、私とは違うからこそ、人として尊敬していて愛しています。

それは変わらない。今までの人生と積み重ねてきた経験が信頼になり、愛情になり、今がある。

私は、それはゆるぎないものだと思ってきたし、他の女性にアプローチされることは何度かありましたが、いつもすげなく断ってきました。

「妻が一番だから結婚したんだ、他の人に入る余地なんてない、お前は何も知らないじゃないか」

と、微動だにしない自分の妻への愛情と信頼に誇りを持っていました。

でも。

同じほど尊敬でき、心の美しい女性が現れて、私はひどく狼狽しました。

妻とはまた違った性質の美しさに出会い、どうしようもなく惹かれる自分を止めることができなくて焦りました。

違うから尊敬するの真逆で、同じだからこそ尊敬し信頼できる関係性というのが、これほど安らぐものでかけがえのないものだったとは、思わなかったし、経験がなかった。

自分のこの想いが、ひどく醜く汚らわしいものに思えて、自己嫌悪しました。

父と同じじゃないか、母と同じじゃないか、あの知らない女性と同じじゃないか。

あんなに憎んできたのに、お前も同じじゃないか。

そう思えば思うほど、気持ちを押し殺さなくては、否定しなくては、と思いました。

でも、無理でした。

その人に気に入られたい、魅力的だと思われたい、男性として評価されたい、そういう気持ちがにじみ出てきてしまったのをきっかけに、あるときその人を含めた集まりで白状しました。

「気持ち悪い」「そんな風に思っていたの?」「裏切るなんて最低」

そういう反応を覚悟して白状したのに、その人は嬉しいと言ってくれた。

みんなも否定せずに聞いてくれた。

それで、私は「これは想っていてもいいことなんだ」と思うことができるきっかけをもらったように思います。

「変えられないもの」として想いを誇りに生きていく

今まで「さっさと病気か何かで死ねばいい」と本気で思うほど憎んできた両親と不倫。

母は、何より父と不倫相手との精神的な繋がりを憎んでいました。

「あれは本気で惹かれている、単なる浮気じゃない、本気だから許せない」と。

まさにその通りになっている自分を受け容れてみて、私は覚悟を決めました。

相手の方が、この想いは「変えられないもの」なんだ、ということを教えてくれて、私はハッとしました。

そのとおりだと思いました。

私は妻を愛しているし、子供もいる。家庭を守る父親になったのだから、不倫で身を持ち崩して、ということは間違っている。

何より、妻と同じかそれ以上に大切に思っているその人の人生を無茶苦茶にしたくない。そんな困難な道を歩ませるのは、私が嫌だ。

こんなに浮気や不倫を文字通り死ぬほど憎んできた私に、深く愛させるほど、絶望的なほど魅力的なその人なら、きっといい相手が見つかる。そして、その人と、私が悔しがるくらい幸せになって、願わくば私を忘れるほど眩しい世界にいってほしい。

そして、この「変えられないもの」は、醜く穢れたものなんかじゃない。

恋愛や主従を超えた、美しく尊い愛なのだと思います。

「浮気はだめだ」「不倫はだめだ」

そんなことはわかっているし、倫理的にそうなのには、まったくもって異論がないです。

しかし、大切に想うことそれ自体を、誰が否定できるでしょうか。

誰が、止められるでしょうか。

そう思ったとき、本当の意味で、父を赦せる気がしました。

私たちがどうでもいいから、裏切ったんじゃなかったんだね、お父さん。

私たちが頼りないから、信じてくれなかったんじゃなかったんだね、お父さん。

お父さん、ごめんね。

私は、愛する人が増えました。

それは、幸せなことです。だから、誇りをもってその人をこれからも愛し続けるし、

妻や子供たちを大切にしていきます。

妻への信頼が私の今までの人生を支えてきたし、それは今なお揺るぎない柱の一つで、それはこれからもそうだし、色々な影響を考えるとそうあるべきでしょう。

私にとっては、妻との信頼関係とその方との信頼関係には、優劣はつけられない、性質の違う、ただかけがえのない大切なもの、と胸に刻んで生きていきます。

だから、幸せを本当に心から、祈っています。

そうして、生きていく。その覚悟を持てたことは、その人なしにはできなかったことでした。

ありがとう。愛しています。心から。

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